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1章
10 葛藤 4
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鼻血を拭き拭き、タリンが痛みに唸りながら立ち上がる。
「ぐおぉ……なんか今日は怒ってねーか?」
「怒ってねーよ!」
青筋を浮かべて怒鳴るガイに、タリンは「チッ」と舌打した。
「露骨に嘘つきやがって。まぁいい、命を狙われる事を怒っているんだろうが、それもすぐに恐怖に変わるぜ」
そう言って背負っていた大きな鈍器を両手に握り、身構えた。
「攻撃呪文アイテムを使って戦うお前の戦法をこちらもやれればお前にアドバンテージは無い。そして俺は攻撃魔法を破損率0で使える武器を手に入れた!」
両手持ちの戦鎚……モールと呼ばれる打撃武器だ。
タリンが構えたそれは各所にREDランプのような結晶がはめ込まれており……それらが赤く輝いたかと思うと、燃え盛る炎に包まれる!
「この【バーニングトーチ】があればいくらでも炎の嵐を起こせる。武器としての威力も折紙付きだ。終わったなガイ! 明日の朝刊載ったぞテメー!」
嬉しそうに叫びながらタリンはモールを高々と掲げた。
「さっそく行くぜ! やれ!」
『わかったわかった』
打撃部分から合成音のような声がする。
(また元聖勇士を材料に使った武具かよ。魔王軍なんぞに入ったらおちおち死んでられねぇな)
呆れるガイ。
だが武器の威力を前に目を見開いた。
モールを包む炎が渦を巻いて広がり、辺りを炎が埋め尽くしたのだ!
ガイに迫る炎の波。
「チィッ!」
舌打ちしながらガイは腰の鞄からアイテムを取り出した。水領域・氷属性の珠紋石を。
それを投げると魔法【アイスボール】が発動し、球状に広がる凍気と氷片が炎とぶつかる。
氷球は炎と相殺し、ガイの周囲には無残に焼け焦げた草叢が露わになった。
しかしタリンは声高に笑う。
「ハッハァ! お前はアイテムを消費するが俺は武器の効果で使い放題! それになぁ……」
ガイの腰にある聖剣を指さした。
「お前の武器は木刀、つまり木製だろ! こっちは炎属性で常時燃焼! 打ち合わせればどうなるか、やってみようじゃねぇか!」
炎を纏うモールを手にタリンは勝ち誇る。
その周囲では炎が渦巻き、増々燃え盛っていた。
「そしてここは森と草の中にあるフィールドだ! 見ろ、よく燃えるじゃねぇか。ここだと炎属性が圧倒的有利! 俺様絶好調! 俺のォ……勝ちだァッ!」
そしてモールを構え直し、そこから炎を吹きながら、猛然と殴りかかってきた。
「新必殺技ァ! ファイヤーアサルトタイガーー!」
『パワーの大半は俺だがな……』
タリンとモールの声が重なり、炎が虎のような形をとって、ガイへ襲い掛かる!
一方、ガイは……
珠紋石を二つ取り出し、聖剣に装着した。
『エア・ポケット。ホワールウインド』
聖剣が魔法を読み込む。
【エア・ポケット】大気領域第3レベルの防御呪文。空気の結界が害を為す大気の侵入を防ぐ。
【ホワールウインド】大気領域第4レベルの攻撃呪文。激しい旋風が敵を包み、風の刃で切り刻む。
「真空竜巻・一文字斬りぃ!!」
跳び込みながら聖剣を横薙ぎに繰り出すガイ。
その一撃は竜巻を生み、炎を周囲へまき散らした。周囲一帯が炎に呑まれる……真空の壁で守られたガイ本人を除いて。
よってタリン本人も逆流する炎に炙られてしまった。
「熱っつうぅぅ!」
思わず悶えて転げまわるタリン。武器も手放し、技は不発。
まぁ仕方がない。タリン自身が炎無効というわけではないのだ。彼が焼かれなかったのは巻き込まれないよう武器が放っていてくれたからであり、他者の干渉でそのコントロールが狂えば被害は当然受ける。
だがタリンはいつまでも転げ回ってはいられなかった。
背後から腕を回され、体がホールドされたのだ。
「んなっ!?」
「武器を打ち合わせずに戦う事にするぜ」
ガイが素手で組みついてきたのだ。
次の瞬間、タリンの視界が凄まじい勢いで回り、そして衝撃!
「ぐえっ!」
悲鳴をあげるタリンに、流れるようなバックドロップが決まっていた。
背中が地につくや、続く激痛が胸を襲う!
「ごぉっ!」
悲鳴をあげるタリンに、鋭いニードロップが決まっていた。
体勢を立て直す暇もなく体がひっくり返され、背中と脚が砕けそうなほどに捻じれる!
「Noーーーー!」
悲鳴をあげるタリンに、完璧なスコーピオン・デスロックが決まっていた。
「泣け! 喚け! 叫べ! そして逝ねー!」
ガイが怒りをこめて叫び体を揺すって圧を加え続ける。
「つーぶーせ! つーぶーせ!」
ガイの肩でイムが陽気に発破をかけた。
「ウギャアァー!」
もはや脱出は不可能……タリンは戦士ではあるが、素手の近接格闘の練度は大した事がなかった。逆に工兵として高レベルに達しつつあるガイは軽戦士としての技術も高めており、その極め技のクラッチをきる事はタリンにはできない。
投・打・極の三連打を受け、燃える草原というリングの中、タリンの命運は尽きたかに見えた。
だがしかし。
急に激しい地震が起こり、ガイの極め技の邪魔をする!
「ぐうっ!?」
地面に投げ出されるガイ。
受け身をとって立ち上がるものの、タリンからは離されてしまった。
腰をさするも地面に伏せたまま、しかしタリンは不敵に笑う。
「へ、へへ……どうやら第二作戦で仕留める必要があるようだな」
森の向こうから巨体が立ち上がった!
「伏兵か」
巨体を睨むガイ。
タリンはへっぴり腰でよろよろと立ち上がる。
「ああ……それも大型兵器のな! どうだガイ、いくらその木刀が魔法の武器でもケイオス・ウォリアー相手じゃどうしようもねぇだろ!」
タリンが待機させていたケイオス・ウォリアー……魚の頭を持つ機体が、まだ火の残る空き地に踏み込んできた。
絶対絶命のガイ。
だがしかし。
ケイオス・ウォリアーの反対側から、燃える空き地に巨大な虫が乱入してきた!
「そういう備えをしていないと思うのかよ」
落ち着きはらって言うガイのすぐ側まで。
「ぐおぉ……なんか今日は怒ってねーか?」
「怒ってねーよ!」
青筋を浮かべて怒鳴るガイに、タリンは「チッ」と舌打した。
「露骨に嘘つきやがって。まぁいい、命を狙われる事を怒っているんだろうが、それもすぐに恐怖に変わるぜ」
そう言って背負っていた大きな鈍器を両手に握り、身構えた。
「攻撃呪文アイテムを使って戦うお前の戦法をこちらもやれればお前にアドバンテージは無い。そして俺は攻撃魔法を破損率0で使える武器を手に入れた!」
両手持ちの戦鎚……モールと呼ばれる打撃武器だ。
タリンが構えたそれは各所にREDランプのような結晶がはめ込まれており……それらが赤く輝いたかと思うと、燃え盛る炎に包まれる!
「この【バーニングトーチ】があればいくらでも炎の嵐を起こせる。武器としての威力も折紙付きだ。終わったなガイ! 明日の朝刊載ったぞテメー!」
嬉しそうに叫びながらタリンはモールを高々と掲げた。
「さっそく行くぜ! やれ!」
『わかったわかった』
打撃部分から合成音のような声がする。
(また元聖勇士を材料に使った武具かよ。魔王軍なんぞに入ったらおちおち死んでられねぇな)
呆れるガイ。
だが武器の威力を前に目を見開いた。
モールを包む炎が渦を巻いて広がり、辺りを炎が埋め尽くしたのだ!
ガイに迫る炎の波。
「チィッ!」
舌打ちしながらガイは腰の鞄からアイテムを取り出した。水領域・氷属性の珠紋石を。
それを投げると魔法【アイスボール】が発動し、球状に広がる凍気と氷片が炎とぶつかる。
氷球は炎と相殺し、ガイの周囲には無残に焼け焦げた草叢が露わになった。
しかしタリンは声高に笑う。
「ハッハァ! お前はアイテムを消費するが俺は武器の効果で使い放題! それになぁ……」
ガイの腰にある聖剣を指さした。
「お前の武器は木刀、つまり木製だろ! こっちは炎属性で常時燃焼! 打ち合わせればどうなるか、やってみようじゃねぇか!」
炎を纏うモールを手にタリンは勝ち誇る。
その周囲では炎が渦巻き、増々燃え盛っていた。
「そしてここは森と草の中にあるフィールドだ! 見ろ、よく燃えるじゃねぇか。ここだと炎属性が圧倒的有利! 俺様絶好調! 俺のォ……勝ちだァッ!」
そしてモールを構え直し、そこから炎を吹きながら、猛然と殴りかかってきた。
「新必殺技ァ! ファイヤーアサルトタイガーー!」
『パワーの大半は俺だがな……』
タリンとモールの声が重なり、炎が虎のような形をとって、ガイへ襲い掛かる!
一方、ガイは……
珠紋石を二つ取り出し、聖剣に装着した。
『エア・ポケット。ホワールウインド』
聖剣が魔法を読み込む。
【エア・ポケット】大気領域第3レベルの防御呪文。空気の結界が害を為す大気の侵入を防ぐ。
【ホワールウインド】大気領域第4レベルの攻撃呪文。激しい旋風が敵を包み、風の刃で切り刻む。
「真空竜巻・一文字斬りぃ!!」
跳び込みながら聖剣を横薙ぎに繰り出すガイ。
その一撃は竜巻を生み、炎を周囲へまき散らした。周囲一帯が炎に呑まれる……真空の壁で守られたガイ本人を除いて。
よってタリン本人も逆流する炎に炙られてしまった。
「熱っつうぅぅ!」
思わず悶えて転げまわるタリン。武器も手放し、技は不発。
まぁ仕方がない。タリン自身が炎無効というわけではないのだ。彼が焼かれなかったのは巻き込まれないよう武器が放っていてくれたからであり、他者の干渉でそのコントロールが狂えば被害は当然受ける。
だがタリンはいつまでも転げ回ってはいられなかった。
背後から腕を回され、体がホールドされたのだ。
「んなっ!?」
「武器を打ち合わせずに戦う事にするぜ」
ガイが素手で組みついてきたのだ。
次の瞬間、タリンの視界が凄まじい勢いで回り、そして衝撃!
「ぐえっ!」
悲鳴をあげるタリンに、流れるようなバックドロップが決まっていた。
背中が地につくや、続く激痛が胸を襲う!
「ごぉっ!」
悲鳴をあげるタリンに、鋭いニードロップが決まっていた。
体勢を立て直す暇もなく体がひっくり返され、背中と脚が砕けそうなほどに捻じれる!
「Noーーーー!」
悲鳴をあげるタリンに、完璧なスコーピオン・デスロックが決まっていた。
「泣け! 喚け! 叫べ! そして逝ねー!」
ガイが怒りをこめて叫び体を揺すって圧を加え続ける。
「つーぶーせ! つーぶーせ!」
ガイの肩でイムが陽気に発破をかけた。
「ウギャアァー!」
もはや脱出は不可能……タリンは戦士ではあるが、素手の近接格闘の練度は大した事がなかった。逆に工兵として高レベルに達しつつあるガイは軽戦士としての技術も高めており、その極め技のクラッチをきる事はタリンにはできない。
投・打・極の三連打を受け、燃える草原というリングの中、タリンの命運は尽きたかに見えた。
だがしかし。
急に激しい地震が起こり、ガイの極め技の邪魔をする!
「ぐうっ!?」
地面に投げ出されるガイ。
受け身をとって立ち上がるものの、タリンからは離されてしまった。
腰をさするも地面に伏せたまま、しかしタリンは不敵に笑う。
「へ、へへ……どうやら第二作戦で仕留める必要があるようだな」
森の向こうから巨体が立ち上がった!
「伏兵か」
巨体を睨むガイ。
タリンはへっぴり腰でよろよろと立ち上がる。
「ああ……それも大型兵器のな! どうだガイ、いくらその木刀が魔法の武器でもケイオス・ウォリアー相手じゃどうしようもねぇだろ!」
タリンが待機させていたケイオス・ウォリアー……魚の頭を持つ機体が、まだ火の残る空き地に踏み込んできた。
絶対絶命のガイ。
だがしかし。
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