フェアリー・フェロウ~追い出されたフーテン野郎だが、拾い物でまぁなんとか上手くいく~

マッサン

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2章

16 魔獣咆哮 7

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――カサカ村、工場――


 帰還したガイ達はミズスマシ型運搬機を格納庫に収納した。
 そこから降りた機体を次々とハンガーに立たせる。

 運搬機から降りたミオンはガイのSサバイブキマイラを見上げた。
「装備のパワーを増幅して再現。そんな事ができるのね」
「各地で研究はされています。実装できた機体がいくつあるのかはわかりませんが。今回は師匠が製法を得てきた【ガマーオイル】のおかげで完成しました」
 スティーナが説明する通り、この技術はまだ確立されているとは言い難い。設備に使う材料でさえ模索中なのである。実戦投入できている機体など、この大陸全土でも五指であまる程度だろう。

 とはいえそれを知らぬレレンが興味深そうに訊いてきた。
「他の武器を差し込んでも再現できるのか?」
「いいえ。師匠の聖剣専用です。他の武器に合わせるなら、ほぼ一からの造り直しになりますね。まだまだ途上の技術なんです」
 スティーナの言う通り、ガイ機が聖剣の機能を取り込めたからといって、他の武器や他の機体でも……というわけにはいかないのだ。

 タリンが機体を降り、機嫌よくをする。
「デカブツ怪獣も倒しちまったし、あの残党どももこれでお終いか。赤い鎧のヤツ、きっと吠え面かいてたに違いねぇ!」
 だがガイは赤い鎧の戦士――マスターボウガスとの戦いを、戦慄と悔しさとともに思い出していた。
(今回は負け同然だった……あいつは何者なんだ)

 そこまで考えて「あ、そうだ」と気づく。
「レレン、ありがとう。あんたがいなかったら全滅もありえたよ」
 ガイに礼を言われ、元魔王軍の親衛隊は「フッ……」とこそばゆそうに笑った。
「まぁ、お役に立てたならなによりだ。これからも私の力を使ってくれ」

 そんな話を横目に、鍛冶屋のイアンが唸る。
「危険な奴でしたな。もう出くわさないと良いのですが」
「ははっ、切り札潰されちゃ出てこれねーよ。今ごろ次の怪獣探してどこかの僻地でもうろついてんじゃねーのw」
 上機嫌で侮りを口にするタリン。
 しかし骸骨馬となったシロウがのろのろと近づいてきた。
『わからんぞ。予備で二匹目をあらかじめ持っているかもしれないだろ』
 レレンが唸る。
「む……ありえる。魔王軍では怪獣を何種類も飼育していたからな」
「マジで!?」
 驚くガイ。

 だがすぐに、自分がこれまで戦ってきた何体もの怪獣を思い出した。

 げんなりするガイに、それを見たレレンが少し慌てて付け加える。
「しかし流石にあそこまで強力な物はいなかった筈。魔王軍が滅んだ今、あれが隠されていた最後の切り札だと思いたいが……」


――翌日。ガイ邸宅――


「朝よ、ガイ。起きて。いつまでも寝てると、私も一緒に寝ちゃうわよ?」
 朝日の中、今日もガイは甘優しい声で起こしてもらった。
「おはよう。すぐ起きるよ」
 そう言って布団を除けて身を起こす。
 ベッドに腰掛けていたミオンは、ガイの背に身を寄せてくすくすと笑った。
「もっと寝たいとか思っちゃった?」
「ぐずぐずしてると飯が冷めちゃうし」
 ちょっぴりぶっきらぼうにガイが言うと、ミオンは笑いながらも「そうね」と言って離れ、部屋から出ていく。

 ガイを起こす前にミオンが朝食を用意しているのはいつもの事だ。
 このやりとりもだいたいいつもの事だ。
 ガイが早く目が覚めた日も、便所に行きたくならない限り布団から出ずに寝たふりをして待っているぐらいには当然の日常なのだ。

 イムも目を覚まし、まぶたを擦りながらふらふらとガイの肩へ飛んできた。
 彼女が停まってからガイは寝間着のまま台所へ向かう。

 豆乳スープと揚げパンがガイとミオンの、果物の切り身がイムの朝食。
 それらをガイ達がとっていると、戸の方に人の気配を感じた。
「入れよ」
 ガイが促すとスティーナが申し訳なさそうに入って来る。
「その、今、いいんですか? 食事の途中ですし、その後も夫婦の時間がナニかとあるのでは……私は戸の向こうで待っていますけど」
「ナニかって何だよ……」
 ガイが眉をしかめて言うと、スティーナは熱く語り出した。
「それはその『今日も美味しかったよ』とか『でも君の方が美味しいよ……』とか『こんな時間から、もう、仕方のない人ね|(はぁと)』とか。そして求め合う二人はじっとりとしっとりとでもとても熱くて……」
「すまん早く要件を頼む」
 どんどん鼻息の荒くなるスティーナにガイは強張った顔で要求した。

 深呼吸して落ち着いてからスティーナが告げる。
「師匠。また隊商が襲われました。村からの輸出も一部ストップです」
「本当に別の怪獣がいたのかよ!」
 思わず額を抑えるガイ。

 だがスティーナの報告は――
「それが……目撃情報によると、私達が戦った物と同じ奴ではないかと」
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