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2章
18 死亡‥‥! 1
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ガイとミオンとイム。三人はシナナ村を去り、カサカ村への帰路についていた。既に道程の七割に至る所だ。
助手席でミオンがガイに訊く。
「ご両親に顔を見せないで良かったの?」
「見るまで待とうとは言えねぇよ」
ガイは苦虫をかみ潰したような顔だった。
実はガイの実家には行ったのだが……
――数日前。シナナ村・ガイの実家――
村を出て二年以上帰らなかった実家。自ら帰らなかったというのに、目の前にするとやはり懐かしさが込み上げてくる。
村の隅にある農家の戸をガイは叩こうとした。
その時……家の中から大きな呻き声が二つ聞こえた。
『ふんぬ! ふんぬ!……ふおぉぉう!』
中年男の、何か一生懸命がんばってから感極まって迸らせる低い声。
『はぁん! はぁん!……おほぉぉう!』
中年女の、何か一生懸命喘いでから感極まって快感を噛みしめる高い声。
「……」
家の中が静かになった時、ガイは沈黙したまま金縛りにあっていた。
気まずさの中、目を逸らしながらミオンが呟く。
「……お取込み中、みたいね」
イムが肩で「?」と首を傾げた。
いたたまれずに戸を乱暴に叩くガイ。
「親父、おかん。ガイだ。帰省したんだけど!」
すると家の中が慌ただしくなった。
『な、なにィ!? ちょっと待て、服着るから!』
ガイは思わず額を抑える。
「昼間から何やってんだ……」
『そりゃお前、一人息子が町に出ちまったから次の子を作らんといかんだろうが!』
家の中から焦りきった中年男の怒鳴り声が返って来た。
ガイは脱力して崩れそうな膝を必死に踏ん張る。
「そうだな。俺が悪かった、親父が正しい。じゃあもう行くわ」
『おう、次が産まれたら手紙を送るからな。その時に顔を見せにこい』
家の中から返って来た中年男の声は、どこか穏やかになっていた。
まぁ出てこないのはまだ服を着ていないからだろうが。
『体に気を付けるんだよ。なんなら納屋に漬物があるから持って行きな』
穏やかな中年女の声も返ってきた。
まぁ出てこないのはまだ服を着ていないからだろうが。
――そして時間は数日後。帰路にある運搬機の操縦席へ――
おそらくこの世で最も聞きたくないタイミングの親の声を思い出し、ガイは非常に鬱になる。
「沢庵は貰ったしもう用はないさ」
「よくつかってるよ~」
大根の漬物の切れ端をポリポリと齧り、イムはご満悦だった。
微妙で何を言えばいいのかわからない空気の中、ミオンはモニターMAPに映った機影に気づく。
「ガイ、これは?」
言われて気づき、ガイは前方に目を凝らした。
すぐにケイオス・ウォリアーが一機、視界に入ってくる。
「なんだ? えらくボロボロの機体だな」
思わずガイが呟いたぐらい、その機体は損傷していた。
移動力に優れる犬頭型の機体、Bダガーハウンド。
だが装甲はあちこち焼け、砕け、右腕は半ばから吹き飛んでいた。
応急の修理をした形跡さえ無い。
そして……その機体から通信が入ったのだ。
「ガイか? その運搬機に乗っているのはガイなのか?」
一瞬の後、ガイは気づく。
その機体はカサカ村にあった物の一つ。
乗っているのは……
「レレンか? どうしたんだ」
苦しそうな悔しそうな、レレンの呻き声が返ってきた。
「村が、襲われた……!」
「なんだって!?」
ガイとミオンは驚愕し、思わず顔を見合わせる。
ゾウムシ型運搬機を街道の外に停め、ガイ達は機体を出迎える。
半壊したダガーハウンドが膝をつき、そこからレレンが降りてきたが……
「お前もボロボロじゃないか!」
「ひどい……」
ガイとミオンは思わず言ってしまう。
半獣人の姿に変身したままのレレンは、全身に血の固まりきっていない傷を負い、各所を惨く変色させたままだった。機体同様に手当の跡さえない。
苦し気な息を漏らしながら表情だけ平静を装い、レレンは二人に訴えた。
「私は大丈夫だ。これでも耐久力は人間以上だからな……それよりも、現状を報告しないと……」
だがその顔色も青ざめた半死人のものだ。
ガイはその顔と、傷の一つ……そこからの出血を見て、黙って傷を探り始める。
レレンが痛みに「うっ……」と呻いて顔を顰めるが、それでも傷やその周囲に触れ、ガイは確信した。
「毒まで受けているな。それもかなりキツい奴だろう」
「いいから、話を……」
レレンがガイを止めようとするが、それをミオンが遮る。
「レレン。貴女がちゃんと話ができる状態でないと、ガイに正確な情報が伝わらないかもしれないのよ? そのケガだと相当切羽詰まった状況なんでしょう?」
ガイが鞄から一本の薬瓶を取り出した。
「解毒剤のポーションより、もっと上級の回復薬を使おう。飲めるか?」
「すまない……」
レレンはうつむいた。
泣きそうな顔を見られまいと。
手当が終わって一息つくレレン。
表情もだいぶ落ち着いてから、彼女はガイ達に話し出した。
「あのジュエラドンという怪獣に村が襲われたんだ」
そこで一度、奥歯をぐっと噛みしめる。
「今度は……魔王軍の残党も同時に、だ。マスターボウガスとマスタールーパー……あの影針と名乗った暗殺者が手を組んでいた。あいつらが率いる部隊が、あの怪獣を操っていた」
ガイとミオンが驚愕する。
「なんだって!?」
「より完全な制御に成功したというわけね……」
その声に苦さがありありと出ている。予想以上に悪い事態を知らされて。
そしてそこへ、嘲るような声がかかった。
「ま、そういうわけだ」
そして同時に、少し離れた茂みの中から何体もの人影が現れた……!
助手席でミオンがガイに訊く。
「ご両親に顔を見せないで良かったの?」
「見るまで待とうとは言えねぇよ」
ガイは苦虫をかみ潰したような顔だった。
実はガイの実家には行ったのだが……
――数日前。シナナ村・ガイの実家――
村を出て二年以上帰らなかった実家。自ら帰らなかったというのに、目の前にするとやはり懐かしさが込み上げてくる。
村の隅にある農家の戸をガイは叩こうとした。
その時……家の中から大きな呻き声が二つ聞こえた。
『ふんぬ! ふんぬ!……ふおぉぉう!』
中年男の、何か一生懸命がんばってから感極まって迸らせる低い声。
『はぁん! はぁん!……おほぉぉう!』
中年女の、何か一生懸命喘いでから感極まって快感を噛みしめる高い声。
「……」
家の中が静かになった時、ガイは沈黙したまま金縛りにあっていた。
気まずさの中、目を逸らしながらミオンが呟く。
「……お取込み中、みたいね」
イムが肩で「?」と首を傾げた。
いたたまれずに戸を乱暴に叩くガイ。
「親父、おかん。ガイだ。帰省したんだけど!」
すると家の中が慌ただしくなった。
『な、なにィ!? ちょっと待て、服着るから!』
ガイは思わず額を抑える。
「昼間から何やってんだ……」
『そりゃお前、一人息子が町に出ちまったから次の子を作らんといかんだろうが!』
家の中から焦りきった中年男の怒鳴り声が返って来た。
ガイは脱力して崩れそうな膝を必死に踏ん張る。
「そうだな。俺が悪かった、親父が正しい。じゃあもう行くわ」
『おう、次が産まれたら手紙を送るからな。その時に顔を見せにこい』
家の中から返って来た中年男の声は、どこか穏やかになっていた。
まぁ出てこないのはまだ服を着ていないからだろうが。
『体に気を付けるんだよ。なんなら納屋に漬物があるから持って行きな』
穏やかな中年女の声も返ってきた。
まぁ出てこないのはまだ服を着ていないからだろうが。
――そして時間は数日後。帰路にある運搬機の操縦席へ――
おそらくこの世で最も聞きたくないタイミングの親の声を思い出し、ガイは非常に鬱になる。
「沢庵は貰ったしもう用はないさ」
「よくつかってるよ~」
大根の漬物の切れ端をポリポリと齧り、イムはご満悦だった。
微妙で何を言えばいいのかわからない空気の中、ミオンはモニターMAPに映った機影に気づく。
「ガイ、これは?」
言われて気づき、ガイは前方に目を凝らした。
すぐにケイオス・ウォリアーが一機、視界に入ってくる。
「なんだ? えらくボロボロの機体だな」
思わずガイが呟いたぐらい、その機体は損傷していた。
移動力に優れる犬頭型の機体、Bダガーハウンド。
だが装甲はあちこち焼け、砕け、右腕は半ばから吹き飛んでいた。
応急の修理をした形跡さえ無い。
そして……その機体から通信が入ったのだ。
「ガイか? その運搬機に乗っているのはガイなのか?」
一瞬の後、ガイは気づく。
その機体はカサカ村にあった物の一つ。
乗っているのは……
「レレンか? どうしたんだ」
苦しそうな悔しそうな、レレンの呻き声が返ってきた。
「村が、襲われた……!」
「なんだって!?」
ガイとミオンは驚愕し、思わず顔を見合わせる。
ゾウムシ型運搬機を街道の外に停め、ガイ達は機体を出迎える。
半壊したダガーハウンドが膝をつき、そこからレレンが降りてきたが……
「お前もボロボロじゃないか!」
「ひどい……」
ガイとミオンは思わず言ってしまう。
半獣人の姿に変身したままのレレンは、全身に血の固まりきっていない傷を負い、各所を惨く変色させたままだった。機体同様に手当の跡さえない。
苦し気な息を漏らしながら表情だけ平静を装い、レレンは二人に訴えた。
「私は大丈夫だ。これでも耐久力は人間以上だからな……それよりも、現状を報告しないと……」
だがその顔色も青ざめた半死人のものだ。
ガイはその顔と、傷の一つ……そこからの出血を見て、黙って傷を探り始める。
レレンが痛みに「うっ……」と呻いて顔を顰めるが、それでも傷やその周囲に触れ、ガイは確信した。
「毒まで受けているな。それもかなりキツい奴だろう」
「いいから、話を……」
レレンがガイを止めようとするが、それをミオンが遮る。
「レレン。貴女がちゃんと話ができる状態でないと、ガイに正確な情報が伝わらないかもしれないのよ? そのケガだと相当切羽詰まった状況なんでしょう?」
ガイが鞄から一本の薬瓶を取り出した。
「解毒剤のポーションより、もっと上級の回復薬を使おう。飲めるか?」
「すまない……」
レレンはうつむいた。
泣きそうな顔を見られまいと。
手当が終わって一息つくレレン。
表情もだいぶ落ち着いてから、彼女はガイ達に話し出した。
「あのジュエラドンという怪獣に村が襲われたんだ」
そこで一度、奥歯をぐっと噛みしめる。
「今度は……魔王軍の残党も同時に、だ。マスターボウガスとマスタールーパー……あの影針と名乗った暗殺者が手を組んでいた。あいつらが率いる部隊が、あの怪獣を操っていた」
ガイとミオンが驚愕する。
「なんだって!?」
「より完全な制御に成功したというわけね……」
その声に苦さがありありと出ている。予想以上に悪い事態を知らされて。
そしてそこへ、嘲るような声がかかった。
「ま、そういうわけだ」
そして同時に、少し離れた茂みの中から何体もの人影が現れた……!
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