そして倫理は崩壊し、落日の魔法使いはダンジョンの発生した世界に沈む

ナントナクカイテク三号

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1章

8 どうしようもない闘争

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 相変わらず警戒して進み、何度か罠を回避しているとポイントを12ゲットした。

    そのあたりでまた部屋を発見した。

    枝分かれした右の通路に入っていくと前回と同じように何もいなかったが変色しているところが前回よりも多い。それに部屋が以前のものよりも広い。

 壁に変色している場所の数だけ亀裂が入る。ならば、オレがやるべきことは一つ。手近な壁にショートソードを思いっきり突き刺し、引き抜くのを3回繰り返した。

    そろそろ武器の方が限界そうだ。

 もう一回別のところに突き刺し、今度は引き抜かずそのまま放置。【収納空間】から新しいショートソードを取り出して同じように刺す。

 刺す、刺す、刺す。

 以前と違って十か所は処理できた。ショートソードを引き抜いたところで棍棒を持ったゴブリンに殴りかかられる。

 これは想定済みだ。盾を構えて横に流し、そのままショートソードを胴体に突き刺した。

    そのまま体重がオレにかかるが、ショートソードを手放し、走って移動しながら新しいのを取り出す。

    見渡せば全ての変色した場所からゴブリンが誕生していた。

「どんだけだよ。あと20体近いな。いきなり30体湧くってナニ?」

 このダンジョンのクソゲー仕様に壁壁しつつも、たくさん戦えることに歓喜している自分がいる。

    挨拶代わりに不用 意に近づいてきた一体の首を斬り落とす。出来る気がしたからやった。

    これを入れて2本しかショートソードは残っていない。が、何とかしよう。

 ステータスを開き急いで【数的不利】を取得。このスキルは一回の戦闘で自分と相手の頭数の比率が大きい分だけ能力がその戦闘の終わりまで上がるスキルだ。この状況にはもってこいである。

    弱体化はしないようだ。オンオフを切り替えることが出来るようで、スキルを発動すると体に力が満ち溢れるのが分かる。

「これは酔っちゃいそうだ。」

 力に酔いしれることはやっちゃいけないことである。何より戦いを楽しめない。

    オレは気を引き締め直し、ショートソードをゴブリンの目に突き刺す。ぐにゃりという感触と骨を無理やり貫く感触の後に、そのゴブリンは光となって消えた。

 ダンジョンの前提条件として人間側が一人であることや少ないことを想定していないのかもしれない。この強化度は異常だ。今だったら車だって持ち上げられるかもしれない。

 ともあれ、そんな感傷に浸っている場合でもない。ゴブリンが棍棒持って襲い掛かってくる。

    しかし、先程と比べて、だいぶスローモーションのように感じた。数体同時にかかってくるが複数回同時に首を突く。

    まだ、ショートソードが使える状態をたもっている。先程までこんな動きは出来なかった。代わりにオレの筋肉が嫌な音を奏でた。しかし敵は待ってくれない。

 あと、15体。

 盾を前にしてタックルすることで一旦距離を取り、下級外傷ポーションを飲む。瓶はその辺のゴブリンの顔に投げつけた。スキルに【投げる】があったがまだ上げていない。

 オレはショートソードを構え直し、それを前に持ってくることで目だけで状態を確認する。血で汚れていて分り辛いが捻じれてはいないようだ。

    それに安心しつつ、ショートソードで迫りくるゴブリンの首を突く。真直ぐつかなければいけないが、斬りにかかるよりかはショートソードの消耗は激しく無い。

「あ、正しく突けば体への負担は軽微みたい。」

「ぎぃゃぁいぃぃ!!」

「「「ぎぃゃぁ!」」」

 感想を抱いている間に、オレに激しく突かれたゴブリンは光となって昇天した。どのゴブリンかの音頭で波のように一斉同時攻撃をしてくる。

    オレはゴブリンの虚を突く形で駆け出し、ジャンプ。先頭のゴブリンを踏み台にしながら相手の後方まで逃げることに成功した。

    背後なんて気にしていなかったゴブリンを、1体、2体斬り殺した。その頃になると漸く方向転換したゴブリンたちがオレに襲い掛かってくる。

 切り裂く。切り裂く。ショートソードを投げつける。返り血に濡れた。新しいショートソードを取り出し、切り裂く。

    そして、喉を突く。突く。突く。立ち位置を変えながら変則的に囲まれないように立ち回る。

 あと10体を下回った。首を突く。半身になって振り下ろしをかわし、膝を顔面に突き刺すことで陥没させて殺す。

    即死はしなかったようなのでそのゴブリンを他のゴブリンに投げつけ、反対方向のゴブリンに斬りかかる。

「遅い、遅い、遅い!」

 オレはハイテンションになっていた。正確に首を突き。正確に首を刎ねる。一体の首を切り裂くが、衝撃。前に倒れかける。

    背後の壁が崩れている。先程まで変色もしていなかった。そこから一体発生していた。

 まさか、変色から出てくるというのはダンジョンが仕掛けたブラフだったようだ。あまりに殺意の高いダンジョンだ。

 低い姿勢のままショートソードを横に薙ぐ。複数のゴブリンの足を破壊しその間に転がって脱出する。

    気を抜き過ぎた。

    いや、勘違い。騙されていた。勝手に思い込んでいただけかもしれない。最近頭を殴られてばかりだ。終わったら鉢がねでもつけよう。

 痛みを堪え立ち上がる。ショートソードを構える敵は向かってくる。

    ならば、迎えに行く必要はない。かわし、切り裂く。いなし、切り裂く。転ばせ、突き刺す。盾で殴り殺す。

    数度繰り返すうちにゴブリンは沈黙した。

「はあー。」

 大きく息を吐いた。【収納空間】から下級外傷ポーションを取り出し一気に飲み干す。

    手にしていたショートソードはもう使い物になりそうにない。ドロップしたものと一緒にならないように遠くへと投げ捨てた。

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