58 / 65
サバゲ―終了
しおりを挟む
「予想通りの動きだな」
「そうですわね」
「そうだなゲンボクちゃん」
リザが生み出した光学衛星のモニターには、予想通り山中に足を踏み入れていく偽サバゲープレイヤー達が映り込んでいる。
おおかた山中をローラー作戦で探索するのだろう。
ご苦労なこった。
山中からリザの痕跡など見つかりっこない。
但し唯一の懸念は、リザが墜落した「原因」を発見されてしまうことだ。
そいつは恐らく俺の三番目の金玉と同類であろう。
アリスに残された記憶によれば、複数の胞子が一つの惑星に落下することは極まれにあるらしい。
但しその状況は非常に限られる。
というか一つの理由しかないそうだ。
それはマザーからほぼ同時に宇宙へとばらまかれた胞子が、いわゆる「スリップストリーム」の状態になってしまう場合。
宇宙とて完全に真空ではないので、先に行く胞子の後ろには低圧域ができる。
そこにもう一つの胞子が追随するそうだ。
しかしこの状態は前を行く胞子にとっても後ろを行く胞子にとっても、歓迎される状態ではない。
胞子の目的はどこかの惑星で食物連鎖の頂点に立つ種族に取りつき、それを支配すること。
なので複数の胞子が同一の惑星に落ちてしまうのは、無駄な争いを発生させてしまうだけなのだ。
だが残念ながら惑星を発見するまでの胞子は仮死状態に近いので、それぞれが道を譲り合うことはできない。
しかも先を行く胞子が惑星を発見すると、すぐに後ろの胞子も同じ惑星を発見し、エリアを固定してから探索を開始するので、落下時刻に差異は出るものの、落下地点はほぼ同じ場所になることが多いらしい。
恐らく俺の金玉が先行し、後ろにリザを墜とした胞子がいたのだろう。
こうなってしまった場合は「互いに仕方がない」ということで、最終的には眷属同士でつぶし合う。
こうした最終戦争を「ハルマゲドン」というそうだ。
そのまんまだな。
つまり、あの山中にはリザを墜とした胞子が眠っている可能性があるということ。
理想はそのまま発見されないで山中に埋もれていてほしいが、そうでない場合は、できれば俺はそれを自由の国の軍隊に発見してほしいと考えていた。
なぜならばそれが一番マシだから。
誰であろうと支配されてしまえばそれまで。
しかし軍隊ならば、あるいは胞子に憑りつかれずに回収ができるかもしれないし、誰かが憑りつかれたとしても、軍や本国が対処するだろう。
実はここがポイントなのだ。
なぜならば自由の国の軍隊以上に、初動で胞子に対し適切な対応できる組織なんかないからだ。
ここで自分とアリス達を引き合いに出すのは的外れかもしれないが、例えば俺達が自由の国の軍と相対した場合、局地戦での俺たちの勝利はあり得る。
しかし例えば、各々が隔離されたらどうする。
兵糧攻めにあったらどうする。
そう、少なくとも俺達は、とある漫画に出てくる地上最強の生物などではないのだ。
ということで、完全に他力本願になっている俺たちにできるのは、モニターを監視することだけ。
軍人さんたちは注意深くしかし迅速に山中を探索していく。
期待通り午前中は何もなかったらしく、サバゲーフィールドを中心にきれいな反円を描いていた軍人たちの位置が中央に集まってくる。
昼食の後、再び半円状に広がっていく軍人たちの軌跡を追っていると、リザがあることに気づいた。
「おや?」
「どうしたリザ?」
するとリザがモニターの一部を切り替えた。
「マーガレットとやらが、農道を登っていくのだが」
動きを見るからに、何か特別なミッションがあるわけでもなく、単に退屈しのぎのハイキングなのだろう。
「一応監視しておいてくれ」
「わかった」
農道の先は、もともとはダムにつながっていたのだが、過去に土砂崩れが発生してから放置されている。
この状態も俺達にとっては有利なんだ。
なぜならば、恐らく今日の探索で何も出なければ、次に軍はダムの向こう側にある隣県の市から山中の探索に入るしかない。
つまりこの村に関わる探索は、今日で終了となるはず。
案の定、軍人たちが描く軌跡は大きく半円状に広がり、北方面は県境に達している。
このまま探索が終了すれば全く問題はない。
しかし、問題は起きてしまった。
間もなく17時というところで、マーガレットを先頭に自称サバゲーマニア共が村役場に戻ってきた。
「いかがでしたか?」
愛想笑いを浮かべている俺にマイケルと名乗った、この団体の代表らしいにーちゃんが答えた。
「タノシマセテイタダキマシタ アリガトウ」
「また来るかい?」
「イエ、ジュウブンタンノウシマシタ」
まあそうだろうな。
あれだけ探索しても何も出てこなければ、次はさらに北側の隣県に出向くしかない。
「ところでマーガレットさんは?」
「タイクツシスギテネムッテイマス」
退屈ね。
兄貴の目線ではそう見えるのだろうな。
こうして俺達は、事件がない限りはもう二度と来ないであろう、自称サバゲーマニアである自由の国の軍隊を見送った。
今後必ず事件が起きるという確信を持ちながら。
「そうですわね」
「そうだなゲンボクちゃん」
リザが生み出した光学衛星のモニターには、予想通り山中に足を踏み入れていく偽サバゲープレイヤー達が映り込んでいる。
おおかた山中をローラー作戦で探索するのだろう。
ご苦労なこった。
山中からリザの痕跡など見つかりっこない。
但し唯一の懸念は、リザが墜落した「原因」を発見されてしまうことだ。
そいつは恐らく俺の三番目の金玉と同類であろう。
アリスに残された記憶によれば、複数の胞子が一つの惑星に落下することは極まれにあるらしい。
但しその状況は非常に限られる。
というか一つの理由しかないそうだ。
それはマザーからほぼ同時に宇宙へとばらまかれた胞子が、いわゆる「スリップストリーム」の状態になってしまう場合。
宇宙とて完全に真空ではないので、先に行く胞子の後ろには低圧域ができる。
そこにもう一つの胞子が追随するそうだ。
しかしこの状態は前を行く胞子にとっても後ろを行く胞子にとっても、歓迎される状態ではない。
胞子の目的はどこかの惑星で食物連鎖の頂点に立つ種族に取りつき、それを支配すること。
なので複数の胞子が同一の惑星に落ちてしまうのは、無駄な争いを発生させてしまうだけなのだ。
だが残念ながら惑星を発見するまでの胞子は仮死状態に近いので、それぞれが道を譲り合うことはできない。
しかも先を行く胞子が惑星を発見すると、すぐに後ろの胞子も同じ惑星を発見し、エリアを固定してから探索を開始するので、落下時刻に差異は出るものの、落下地点はほぼ同じ場所になることが多いらしい。
恐らく俺の金玉が先行し、後ろにリザを墜とした胞子がいたのだろう。
こうなってしまった場合は「互いに仕方がない」ということで、最終的には眷属同士でつぶし合う。
こうした最終戦争を「ハルマゲドン」というそうだ。
そのまんまだな。
つまり、あの山中にはリザを墜とした胞子が眠っている可能性があるということ。
理想はそのまま発見されないで山中に埋もれていてほしいが、そうでない場合は、できれば俺はそれを自由の国の軍隊に発見してほしいと考えていた。
なぜならばそれが一番マシだから。
誰であろうと支配されてしまえばそれまで。
しかし軍隊ならば、あるいは胞子に憑りつかれずに回収ができるかもしれないし、誰かが憑りつかれたとしても、軍や本国が対処するだろう。
実はここがポイントなのだ。
なぜならば自由の国の軍隊以上に、初動で胞子に対し適切な対応できる組織なんかないからだ。
ここで自分とアリス達を引き合いに出すのは的外れかもしれないが、例えば俺達が自由の国の軍と相対した場合、局地戦での俺たちの勝利はあり得る。
しかし例えば、各々が隔離されたらどうする。
兵糧攻めにあったらどうする。
そう、少なくとも俺達は、とある漫画に出てくる地上最強の生物などではないのだ。
ということで、完全に他力本願になっている俺たちにできるのは、モニターを監視することだけ。
軍人さんたちは注意深くしかし迅速に山中を探索していく。
期待通り午前中は何もなかったらしく、サバゲーフィールドを中心にきれいな反円を描いていた軍人たちの位置が中央に集まってくる。
昼食の後、再び半円状に広がっていく軍人たちの軌跡を追っていると、リザがあることに気づいた。
「おや?」
「どうしたリザ?」
するとリザがモニターの一部を切り替えた。
「マーガレットとやらが、農道を登っていくのだが」
動きを見るからに、何か特別なミッションがあるわけでもなく、単に退屈しのぎのハイキングなのだろう。
「一応監視しておいてくれ」
「わかった」
農道の先は、もともとはダムにつながっていたのだが、過去に土砂崩れが発生してから放置されている。
この状態も俺達にとっては有利なんだ。
なぜならば、恐らく今日の探索で何も出なければ、次に軍はダムの向こう側にある隣県の市から山中の探索に入るしかない。
つまりこの村に関わる探索は、今日で終了となるはず。
案の定、軍人たちが描く軌跡は大きく半円状に広がり、北方面は県境に達している。
このまま探索が終了すれば全く問題はない。
しかし、問題は起きてしまった。
間もなく17時というところで、マーガレットを先頭に自称サバゲーマニア共が村役場に戻ってきた。
「いかがでしたか?」
愛想笑いを浮かべている俺にマイケルと名乗った、この団体の代表らしいにーちゃんが答えた。
「タノシマセテイタダキマシタ アリガトウ」
「また来るかい?」
「イエ、ジュウブンタンノウシマシタ」
まあそうだろうな。
あれだけ探索しても何も出てこなければ、次はさらに北側の隣県に出向くしかない。
「ところでマーガレットさんは?」
「タイクツシスギテネムッテイマス」
退屈ね。
兄貴の目線ではそう見えるのだろうな。
こうして俺達は、事件がない限りはもう二度と来ないであろう、自称サバゲーマニアである自由の国の軍隊を見送った。
今後必ず事件が起きるという確信を持ちながら。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ママはヤンママ女子高生! ラン&ジュリー!!
オズ研究所《横須賀ストーリー紅白へ》
キャラ文芸
神崎ラン(♂)の父親の再婚相手は幼馴染みで女子高生の高原ジュリー(♀)だった。
ジュリーは金髪美少女だが、地元では『ワイルドビーナス』の異名を取る有名なヤンキーだった。
学校ではジュリーは、ランを使いっ走りにしていた。
当然のようにアゴで使われたが、ジュリーは十八歳になったら結婚する事を告白した。
同級生のジュリーが結婚するなんて信じられない。
ランは密かにジュリーの事を憧れていたので、失恋した気分だ。
そう言えば、昨夜、ランの父親も再婚すると言っていた。
まさかとは思ったが、ランはジュリーに結婚相手を聞くと、ランの父親だと判明した。
その夜、改めて父親とジュリーのふたりは結婚すると報告された。
こうしてジュリーとの同居が決まった。
しかもジュリーの母親、エリカも現われ、ランの家は騒然となった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる