ちんこと女神さま

halsan

文字の大きさ
6 / 17

姫とちんこと女神さま 起

しおりを挟む
そいや!そいや!そいや!そいや!

「今日も賑やかですね、ちんこ」
「そうだね女神さま」

 ここはちんこと女神さまが平和に暮らす池の底。
 池の周辺にはちんこを模したご神体やら祠やらが祭られています。
 ここ最近では、ピザの食べ過ぎでお腹を壊した二人が、つい召喚してしまった雷や豪雨を鎮めるためなのか、お賽銭に加え、奉納品も増えてきました。

 御利益祈願についても、当初は子宝祈願だけだったのですが、崇神としての側面が信者を刺激したのでしょう。
 最近では様々な祈願がなされ、お祭りも祈願に応じて賑やかに催されているようです。

「今日は立派なすっぽんが奉納されていたから、コラーゲンたっぷりのすっぽん鍋にするね」
「まあ、コラーゲンたっぷりだなんて!今以上にちんこがぷるぷるしちゃうわね」
「女神さまのお肌もぷるぷるつやつやさ」
「いやん、ちんこったら」

 すっぽんに滋養強壮効果があるのを熟知している女神さまは、今晩の眠れぬ夜に頬を赤らめ、想いをはせました。
 今日も池の底は平和です。

 さて、これはとある王国でのこと。
 
「いよいよ首が回らなくなってきたわ」
「どういたしましょう姫さま」

 王宮では、姫さまとお付きのメイドが二人で頭を抱えています。
 
 二つの大国に挟まれたこの国は、歴代の王さまは権謀術数によって何とか両国に飲みこまれること無く、王国としての体面を維持してきたのです。
 ところが今の王様は脳筋であるため、賢い統治ができませんでした。
 一方の姫さまも放蕩が過ぎ、各方面に多額の借金をこしらえてしまったのです。
 
 姫さまは借金を返済するために一計を案じました。
 それは、脱がせ師として有名な魔法使いを通じて、自らが出演するアダルトビデオを高額で販売することです。

 アダルトビデオを高額で販売するためには、ただ単にきれいなねーちゃんなだけではだめなのです。
 例えば大手アイドルグループの脱退直後とか、惜しまれて結婚引退したのに離婚してしまった直後だとかの電撃デビューが必要なのです。
 
「姫さま」だけでも相当協力なブランド力なのではありますが、さらに高額で販売するためには、一層のサイドストーリーが必要です。
 なので姫さまと脱がせ師の魔法使いは、次のような仕込みアングルを考え出しました。
 
 それが「悪い魔法使いに囚われ、塔の奥に閉じ込められてしまった姫さま」だったのです。
 ズバリタイトルは「囚われ姫の白昼夢」
 国家の代表たる姫さまが塔に監禁され、あんなことやこんなことを強要されてしまうかもなのです。
 これならば色々な方面のマニアが引っ掛かりそうです。

 こうして姫さまは、アダルトビデオを合法的に売り出せる年齢が来るまで、己の価値を高めるために、塔に閉じこもったのです。
 
 ところがそんな姫さまの悪巧みに気付かない愚かな王さまは、姫さま救出のためになけなしの国庫を散財して勇者を集めました。
 しかし王さまは脳筋なので、塔の周辺に仕掛けられているであろう、罠の対策や魔法の対策などには考えが及びません。

 それどころか、王を諌めようとした賢い忠臣たちを、こともあろうに「むつかしい言葉ことばろうしておう傀儡かいらいとせんとする逆臣ぎゃくしんども」(棒読み)などと断罪し、処刑してしまったのです。
 
 それでなくても国力が衰退している王国なのに、訳が分からない理由で脳筋王に粛清されてしまうようではやってられません。
 国内の賢い若者たちはこの国を見切り始めました。
 そうです、こんな国の王侯貴族になるくらいなら、地方公務員となって定年まで勤め上げ、余生は近所のサッカー少年団のコーチでもしながら、ちまちまと年金生活を送るというライフプランを、若者たちは選択するようになってしまったのです。
 
 それでも、姫さまのアダルトビデオが電撃販売されれば、状況は一変したのかも知れません。
 優秀なマニアどもがヤリサー姫のためならと、国の運営に手を挙げたかもしれません。

 ところが悪い魔法使いは、修行中の勇者ちんこによって成敗されてしまいました。
 姫さまもちんこに救われてしまいました。
 そして最後の望みであった「ちんこに借金を肩代わりさせる」というプランも、ちんこが女神さまの元に帰ってしまったことにより、崩壊してしまったのです。
 
 とにかく姫さまは借金を返さなければなりません。
 同時に国の運営もしなければなりません。
 しかし悲しいかな彼女は脳筋王の娘。
 彼女にもそんな知恵などある訳がありません。
 これって詰んだのかしら。

 するとメイドがおずおずと手をあげました。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

処理中です...