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召喚勇者の章
メデュエット
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ジローは城下に赴き、まずは手頃な食堂の扉をくぐってみることにする。
「いらっしゃい。お客さん、初めてだね」
「ああ、旅をしていてな。オススメの飯を頼む」
彼はカウンター席に陣取ると、何か情報になるものはないかと、まずは聞き耳を立てる。
しかし聞こえるのは雑談ばかり。
「まあ、そうだよな」
ゲームじゃあるまいし、そうそう簡単に情報が集まるわけでもない。
「お待ち」
主が皿に飯を盛ってきた。
「おう、美味そうだな。ところでさ、この国にはおっかない魔女がいるらしいな」
ジローはそれとなく食堂の主に「石の魔女」について話題を振ってみる。
すると主よりも先に後ろのテーブル席から声がかかった。
「メデュエット様のことかい? 君はあの方をおっかないなんて、何も知らないんだね!」
ジローが振り返った先には吟遊詩人らしい風体の痩男がテーブル席に座っていた。
「良かったら詳しく教えてくれよ、そっちに座ってもいいかい?」
ジローは出来る限りの笑顔で男に声をかける。
「ああいいぜ、こっちに来いよ!」
こうしてジローは石の魔女の情報にありつくことができた。
「メデュエット様はとんでもない美人でね」
吟遊詩人がまるで自分の身内のように魔女の自慢を始めた。
「おう、俺も最初にメデュエット様にお会いした時は、あまりの美しさに脳天に稲妻が走ったぜ」
連れの男も頷きながら魔女の美しさを持ち上げる。
ジローは訝しんだ。
少なくともこの二人は魔女のことを恐れていない。
それどころかフレンドリーに名前で呼んでいる。
「その方の名前はメデュエット様というのか。だけど、そのメデュエット様とやらは、王国の敵なのではないのかい?」
ジローは素知らぬ顔で二人に話を振ってみた。
すると二人も、店の主さえも、ジローのことを小馬鹿にするような顔で見た。
続けて吟遊詩人がジローの耳元でそっと囁いた。
「敵なもんか、あれは王子と王が一方的に悪い。この街の連中は、口には出さないが、みんなそう思っているぜ」
連れの男たちも声を抑えながら言葉を続けた。
「メデュエット様たちは魔族には違いないが、別に俺達を襲うわけでもないしな。石像にされた兵達の家族には災難だったけれど、遺族には王女様がそれなりに生活の保証をしてくれている。まあ、その出処はオレたちの税金だけどな」
「北の街道も今ではすっかり墓地扱いだよ。あそこも定期的に勇者様の石像が増えるくらいしか動きはないしね」
吟遊詩人が勇者のことを小馬鹿にするような口振りで続けた。
店の主も残念そうな口振りで言葉を重ねる。
「あの一件以降、バルロムさんしか街に顔を出さなくなったのは残念だ」
「バルロムさん?」
ジローは新たに登場した人物について皆に尋ねた。
「ああ、バルロムさんはメデュエット様の執事だよ。あの事件より以前はメデュエット様も街を訪れていたのだけどな。今ではバルロムさんだけが時々街に顔を出して日用品を購入していくんだ」
「そうか。ありがとう。参考になったぜ。俺も石の魔女という言葉は金輪際使わないようにしておくよ。礼と言っちゃなんだが、今日の飯は俺に奢らさせてくれ」
「おう、悪いな。この街のことはなんでも聞いてくれよ!」
ジローはバルロムとやらが通う雑貨屋の場所を彼らから聞き出すことに成功すると、食堂を後にした。
「いらっしゃい、何かお探しですか?」
雑貨屋の主が人の良さそうな顔をジローに向けてくる。
「ちょっと人を探しているんだけどね」
その言葉に主は怪訝そうな表情となる。
も、ジローは構わずに言葉を続ける。
「バルロムさんって方にお会いしたいんだ」
「いらっしゃい。お客さん、初めてだね」
「ああ、旅をしていてな。オススメの飯を頼む」
彼はカウンター席に陣取ると、何か情報になるものはないかと、まずは聞き耳を立てる。
しかし聞こえるのは雑談ばかり。
「まあ、そうだよな」
ゲームじゃあるまいし、そうそう簡単に情報が集まるわけでもない。
「お待ち」
主が皿に飯を盛ってきた。
「おう、美味そうだな。ところでさ、この国にはおっかない魔女がいるらしいな」
ジローはそれとなく食堂の主に「石の魔女」について話題を振ってみる。
すると主よりも先に後ろのテーブル席から声がかかった。
「メデュエット様のことかい? 君はあの方をおっかないなんて、何も知らないんだね!」
ジローが振り返った先には吟遊詩人らしい風体の痩男がテーブル席に座っていた。
「良かったら詳しく教えてくれよ、そっちに座ってもいいかい?」
ジローは出来る限りの笑顔で男に声をかける。
「ああいいぜ、こっちに来いよ!」
こうしてジローは石の魔女の情報にありつくことができた。
「メデュエット様はとんでもない美人でね」
吟遊詩人がまるで自分の身内のように魔女の自慢を始めた。
「おう、俺も最初にメデュエット様にお会いした時は、あまりの美しさに脳天に稲妻が走ったぜ」
連れの男も頷きながら魔女の美しさを持ち上げる。
ジローは訝しんだ。
少なくともこの二人は魔女のことを恐れていない。
それどころかフレンドリーに名前で呼んでいる。
「その方の名前はメデュエット様というのか。だけど、そのメデュエット様とやらは、王国の敵なのではないのかい?」
ジローは素知らぬ顔で二人に話を振ってみた。
すると二人も、店の主さえも、ジローのことを小馬鹿にするような顔で見た。
続けて吟遊詩人がジローの耳元でそっと囁いた。
「敵なもんか、あれは王子と王が一方的に悪い。この街の連中は、口には出さないが、みんなそう思っているぜ」
連れの男たちも声を抑えながら言葉を続けた。
「メデュエット様たちは魔族には違いないが、別に俺達を襲うわけでもないしな。石像にされた兵達の家族には災難だったけれど、遺族には王女様がそれなりに生活の保証をしてくれている。まあ、その出処はオレたちの税金だけどな」
「北の街道も今ではすっかり墓地扱いだよ。あそこも定期的に勇者様の石像が増えるくらいしか動きはないしね」
吟遊詩人が勇者のことを小馬鹿にするような口振りで続けた。
店の主も残念そうな口振りで言葉を重ねる。
「あの一件以降、バルロムさんしか街に顔を出さなくなったのは残念だ」
「バルロムさん?」
ジローは新たに登場した人物について皆に尋ねた。
「ああ、バルロムさんはメデュエット様の執事だよ。あの事件より以前はメデュエット様も街を訪れていたのだけどな。今ではバルロムさんだけが時々街に顔を出して日用品を購入していくんだ」
「そうか。ありがとう。参考になったぜ。俺も石の魔女という言葉は金輪際使わないようにしておくよ。礼と言っちゃなんだが、今日の飯は俺に奢らさせてくれ」
「おう、悪いな。この街のことはなんでも聞いてくれよ!」
ジローはバルロムとやらが通う雑貨屋の場所を彼らから聞き出すことに成功すると、食堂を後にした。
「いらっしゃい、何かお探しですか?」
雑貨屋の主が人の良さそうな顔をジローに向けてくる。
「ちょっと人を探しているんだけどね」
その言葉に主は怪訝そうな表情となる。
も、ジローは構わずに言葉を続ける。
「バルロムさんって方にお会いしたいんだ」
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