youth of one time ~僕たちが過ごす非日常~

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夏の忘れ物~隠された事実~

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ほとばしる汗、照り付ける太陽、夏バテのボク。


「あれ?二階堂君元気ないね?」


「そりゃ吉永は扇風機の真ん前に居るんだから、さぞ快適だろうな」


「おかげさまで」


「むかつくな」


授業が終わると吉永がボクの席へ来て話しかけてくる。


「二階堂くん!今日学校終わったらどっか行かない?」


「ごめん、今日バイトなんだよね~」


「そっか。」


「ねぇねぇ二人とも!!」


これも毎度おなじみ岩崎カットイン


「今日放課後家に来ない?」


「あ~今日は二階堂君がバイトで・・・」


「行く行く!!」


「裏切られた!!」


最近は、暇さえあればレインボーロックに行っている。だってあそこ冷房が効いてるんだもの。そして岩崎さんとたくさんお話ができる。もちろんお客さんがたくさんいるときは邪魔しないようにしてるけど。


「吉永ごめんよ、バイトあるって言ったのは嘘だ」


「嘘だったの!?ひどいな~。僕もレインボーロック行く!!」


今日はアイスコーヒーを頼もう・・・ブラックで。


ちりんちりん


風鈴の心地よい音がなんとも夏らしい。季節ごとにドアの音が変わるのね。


「じゃ、ここで待ってて!適当に何か頼んでいいよ!今日はサービスするね!」


待つこと5分。岩崎さんがやってくる。ちなみにだがボクはアイスコーヒーを頼んだ。ブラックを頼んだんだが苦くて結局ガムシロを頂いた。まだまだ子供というわけか。


「ねぇ!夏休みなんだけどさぁ、泊りでどこかいかない?旅行だよ旅行!!」


あと1週間で夏休みに入るのだ。そしてアルバイトに勤しむだけの寂しい夏休みを想像していたのだが、どうやらそうならずに済みそうだ。


「お!旅行いいね!!どこ行こうか!?・・・やっぱ海とか?」


「海は近くにあるだろ、いつでも行けるじゃないか。」


言い忘れていたが、うちの地域は海沿いの街で教室の窓から海が眺められる位である。行こうと思ったら毎日海で泳げるわけで、正直飽きが来ている。


「アタシも海はちょっと・・・泳ぐの苦手だし」


海は嫌だと僕は言ったが、少し後悔してることもある。・・・岩崎さんの水着姿が見れたかもしれないことだ。だがその願いも一瞬でかき消された。


「山登りなんかどうかな?自然に囲まれたのどかな所!あと川辺でバーベキューとか!」


「山かぁ~。たまには海から離れるのも悪くないかもね!」


「ボクも涼しい場所に行ってみたいから山は大賛成!あとさ~せっかくだし小島さんも呼ばない?」


「お!小島さんって二階堂君と一緒に働いてる・・・あと岩崎さんのお友達だっけ?」


「え?いいの?やったぁ!!泉水と遊ぶの久しぶりなの~!高校入ってからまともに遊んでなかったから・・・」


ホントに嬉しそうだ。小島さんの話題になるといつもに増して楽しそうに話す岩崎さん。そんな彼女を見てるとこっちまで嬉しくなる。


「じゃ、もう日にち決めちゃおうか!8月初めの月曜日と火曜日は?」


「僕は大丈夫だよ~!」


「ボクも大丈夫。小島さんにも言っておくよ」


「いや、私が連絡しとく!」


「うん、わかった」


夏休み最大の楽しみが決まった。それまでにボクは小島さんの連絡先を聞いておこうっと・・・


旅行の前日、荷物の準備を済ませて床に就きさぁこれで寝れば次の日に・・・なるはずなんだがどうも眠れない。何だろうこの気持ち。味わうのは小学校以来だ。


小学校の修学旅行、これは単に行き先の京都が楽しみだったから。八ツ橋食べて、湯葉食べて・・・食べてばっかりの京都だったのを覚えている。


そして中学校の修学旅行、これがめちゃくちゃつまらなかった。東京での遊園地だったんだが仲良いやつと誰一人と同じ班になれず、遊園地内にあったファーストフード店で一人時間つぶしをしていただけ。唯一楽しかったといえば、旅館の寝室でやった麻雀くらいか。なんと九連宝燈あがってしまったのだ。九連あがると死ぬという迷信があるらしいが、ボクはまだまだ元気です。


てなわけで、こんなワクワクしているのは久々なのだ。・・・ちょっと吉永に電話しよ。でももう寝てるか


「・・・もしもし」


「まさか寝てた?」


「いや、なんだか寝れなくて・・・」


吉永、お前もか。


「二階堂君、さては寝れなくてボクに電話をかけて来たんだな~?ま、でも明日はすごく楽しみだよね~!友達と旅行なんてボク初めてだから・・・最高の旅行にしたいな~」


「そうだな~自分にとってもそしてみんなにとっても「楽しかった」と思える旅行にしたいと思うよ。そして、心の片隅にでもいいからその旅行の思い出を忘れずにいれたら良いなって。」


「やだ、二階堂くんそんなカッコイイ事言わないでよ~!」


「茶化すな!」


「ま、そろそろ寝よっか。明日も早いし」


「そうだな、じゃお休み」


「うん、また明日ね~!」


時計の針が十二時を指している。部屋の窓から外を見てみると、満天の星がボクの目を奪う。この星空を4人で見れたら、どれだけ幸せなのだろう。考えてるうちに眠くなってきた。もう布団に入るか。





カーテンから零れ落ちる光がまぶしくもあり、清々しい。天気は快晴、これ以上ない旅行日和。


待ち合わせのバス停には見覚えのある二人の少女・・・


一人は、ショートパンツにTシャツの健康的スタイル。もう一人はロングワンピースに日傘。そして・・・サングラス。


「今日はサングラス付けてるんだね・・・岩崎さん」


「あ、今日は日が出てるから日焼け対策!別に目立とうってわけじゃないの!!」


「そういうことか・・・あたしもサングラス持ってくれば良かった。」


腕を組み、頷いている。多分、今度会うとき絶対サングラス付けてくるわこの人。


「小島さんはいいんだよ!!多分あいつは付けてくると思うけど」


「あいつ?吉永君だっけ?」


そういえば、吉永と小島さんは会うのは初めてなんだった。


「ねぇ!吉永君ってどんな人?」


「あえて言うなら、シルクハット被って花柄のズボン履いてくるやつだよ」


「・・・真面目な人ではなさそうね」


「ご名答」


正直、ボクも吉永と会ってそんなに長くはないのでまだ吉永のことを知り尽くしてるわけではない。だが、これだけは言える。吉永は変だ。


「そして、噂をしてたらやってきたよ」


まさかと自分の目を疑った。シルクハットにサングラス、花柄の半ズボン。デジャブが起きたのか・・・間違いない、あいつだ。


「皆の衆ごきげんよう」


「・・・」


「・・・」


「・・・」


「あたしお母さんに言われたことあるわ、不審者とは目を合わせちゃダメだって。」


「ボクは不審者じゃな~い!!!」


「吉永よ、前と同じ服装じゃないか」


「違うよ!!前は革靴だったでしょ!ほら!今日はサンダルだよ!」


でしょ!・・・と言われてもそこまでアンタには興味がないからそこまで見てないわ。


「あ、小島さんですか?ボクは吉永智春。よろしく!」


「うん、よろしく!吉永君面白い人だね!あたしと気が合いそう!」


こんなやつと気が合いそうだと!?・・・小島さん、なかなかの強者かもしれない。


「もう!吉永君がそんな恰好してくるから、私のサングラスが目立たないじゃない!!」


岩崎さん今、日傘を差してるのはあなただけです。十分目立っております。


こんな話をしているうちにバスは来た。ガタガタ揺れるバス。乗り心地は決して良くない。窓の外を覗くと海の青色から山の緑へと変わる。ボクが見たこと無い景色だ。この旅行でいくつもの「初めて」に出会うのだろう・・


バスに揺られること約2時間、バスの中では会話は途切れなかった。おもは会話の発信源は吉永と小島さん。というかこの二人しか話してなかった。この二人、ホント気が合うのかも。


こうして着いたボクらが泊まる旅館。風情ある日本旅館。庭には池があり一本松が堂々と立っている。


部屋は男組と女組で二部屋とった。・・・とはいえ、ふすまを開けたら女組の部屋へと繋がっている。


僕らの部屋にはバルコニーがあり、そこから眺める景色は心を奪われるものがある。


「かなり広いね~!余裕でまくら投げが出来そうだよ~!!」


不覚だが、ボクもまくら投げしたいと思ってしまった。コーヒーの件も含め、ボクの精神年齢は小学5年生って所か。


「ねぇ!近くに川があるんだって!行ってみない?」


この旅行を一番楽しみにしていた岩崎さんが楽しそうに、嬉しそうにみんなに問いかける。


「そういや、陽射しも強くなって暑くなってきたし川行って涼むのもいいかもな~」


そして釣りをするのがボクの楽しみ。鮭でも釣れないだろうか


「二階堂君!ちゃんと海水パンツ持ってきた?」


「ボクは泳がないぞ」


「そっか、じゃ二人は水着・・・」


「ないです!」


やっぱり憎めない男、吉永智春。普通そんなこと言ったら引くだけじゃ済まないぞきっと。


旅館から川までは歩いて五分。それぞれバーベキューの道具を持ち、川へ向かった。肉や野菜は近くのスーパーで買ったが、魚は自分で釣ったやつを食べたいと思っている。


「真一郎くん・・・気合入ってるね。」


あ、言い忘れていたが最近岩崎さんがボクを下の名前で呼ぶようになった。どうやら名字だと堅苦しいからだとか。でも吉永のことは「吉永君」なんだよな~。


「今日の旅行の目的の一つが釣りだからね~。ボクがたくさん釣れば、みんなの食料も増えるわけだから応援してちょーだいよ?」


「はいはい、頑張ってね」


なんだろう、この軽くあしらわれた感じは。さては期待してないんだな?・・・今に見てなさい。


吉永はパンツ一丁で泳いでいる。岩崎さんと小島さんはバーベキューの下準備をしながら女子トーク。


「ねぇ那智。最近学校どう?」


「泉水と違う学校になっちゃったから、最初はすごく寂しかった。でも今はホントに楽しい!高校の友達と旅行するなんて夢にも思ってなかったし。」


「そっか、私も二階堂君から那智のこと聞いて驚いちゃったもん。正直中学卒業するとき那智が頑張って友達作る!って言ったとき、大丈夫なのかな~って」


「たしかに、あの時のことは凄く悲しかったしもうこれ以上友達なんて・・・って思ったけど私は友達が欲しくないわけじゃないもん。ただ」


もう大切な人を失いたくないの


「出会いがあれば別れがある。友達を作れば作るほど、別れる回数も多くなる。だったら泉水さえいてくれれば良いかなって。でも泉水が孔雀院行くって聞いたときどうしようか悩んだ。私は猿ヶ丘に決まってたから・・・だって一人は嫌だもの。だから決心したの!友達を作ろうって!」


「でも何で二階堂君と吉永君なの?」


「何でって?」


「何で男の友達なの?」


「特に理由はないよ。友達に男も女も関係ないもの。2人とも面白そうな人だったから・・・ただそれだけ」


「そっか・・・でも少し安心した!」


かなり心配していたのだろう。そんな泉水が安堵の表情を浮かべた。そして川へ一直線に走って行った泉水。


「那智!あたしたちも川に入ろうよ!!」


那智には分かった、泉水の目に涙がこぼれていたことを。自分のために涙まで流してくれる人がいるなんて。


学校は違えど、2人の仲は変わらない・・・


そんな良い話をしているうちに、ボクの釣りは絶頂を迎えていた。


鮎、鮭、ニジマス、イワナ、スズキ、・・・この川に生息してる川魚全種類釣ったんじゃないか、というくらい釣った。一人2匹以上は食べれるぞ。


「真一郎君、すご~い!!まさかそんなに釣れてるなんて思ってなかった!」


やっぱ期待してなかったのか。


しかし、何時間も釣りをしていたら腹が減ってきた。


「ちょっと釣りしてて疲れちゃったし、お腹も空いたからご飯にしない?」


「そうだね!僕もお腹ペコペコだよ。」


「お前は遊んでただけじゃないか!」


「そんなこと言ったら、二階堂くんだって、釣りして遊んでたじゃん!」


「バカ、これは食料の魚をだな・・・」


口喧嘩になったボクと吉永。それをにこやかに見つめる岩崎さんと小島さん。


「ホントに楽しい人たちね。」


「でしょ!真一郎くんたちとだったら楽しい学園生活が送れそうかなって。」


「そうね・・・なんか心配して損した!だって、そんな楽しそうな那智見たの久しぶりだもん!」


「ごめんね、今まで心配かけちゃってたみたいで・・・でももう大丈夫。」


「うん、分かった!・・・ちょっと!二階堂君と吉永君!喧嘩してないで手伝って!どちらも似たり寄ったりだよ~!」


「んな、ボクはみんなの魚を釣ったんだから良いじゃないか~!!」


結局ボクは火の管理、吉永は魚と肉の調理担当になった。吉永が料理を!?と思ったかもしれないがファミレスで働いてるので料理はお任せあれと本人が言っていた。


だが、僕らが釣りなり川で泳いでたりしてたのはただ遊びたかったという理由だけではない。あえて二人の持ち場から離れたのだ。


岩崎さんと小島さんの二人だけの時間を作ってあげたかった。


学校も違うし休日は岩崎さんはレインボーロック、小島さんはアルバイトがあったりで遊ぶことができなかったということで、今回の旅行は小島さんにも来てもらおうとボクが提案した。


やっぱり女の子同士だったら、気を使うこともないだろうし久しぶりに会うと積もる話もたくさんあるだろう。


少しお節介だったかもしれないけどそんな二人が楽しい気持ちになったり、笑顔になってくれたらそれでボクは満足だった。


「なぁ吉永、ボクはちょっとお節介が過ぎたかな?」


「ん?良かったんじゃない?大人数で遊んだり話したりってのも楽しいけど、たまには二人の時間をつくるのも大事だと思うよ。幼馴染同士でしか話せないこともあるだろうから・・・」


「悪いな、小島さんと仲良さそうな所を」


「ホントだよ~!せっかく小島さんと趣味が合ったりでたくさんお話してたのに急に二階堂君が「少し二人にさせたいから向こうで泳いでろバーカ」とか。・・・ま、二階堂君のお願いだったから快く引き受けようと思ったよ。でも最後のバーカはいらないぞ!」


「最初につければ良かったか?」


「そういう意味じゃない!!!」


「二人とも!肉と魚は焼けた?こっちはカレーの準備できたよ!!このカレー、那智のお店で出してるカレーのレシピだから絶対おいしいんだから!」


「お!女子のお二人はカレーを作ってたのか!どうりでスパイスの良い香りがしてたわけだ!」


こうしてテーブルに並べられた、魚の塩焼き、カレー、肉に野菜。てかよく考えたら女の子の手料理じゃないか!!・・・あと男の肉料理と魚料理。


「・・・うまい!このカレー旨い!!」


おもわず声を大にしてしまった。だってお世辞抜きで今まで食べたカレーの中で一番うまいんだもん。


「ありがと!お父さんからレシピ教えてもらったの!」


そういえば、レインボーロックではドリンク系しか頼んだことなかったっけ。今度カレー頼もうかな。


「二階堂君・・・僕食べ過ぎた」


「旨いのはよくわかるが、旅館の夜ご飯もあるんだぞ?食べれるか?かなり豪華らしいぞ~!」


「いや、こんなおいしいカレーを食べれたんだ。夜ご飯なんていらないよ!」


「ホントに!?ありがとう!じゃあ、吉永君のカニは私と泉水で食べようね~」


「ね~!」


「えっ・・・カニ」


「あ、吉永!お前の分の魚も残ってるから残さず食べるんだぞ~!」


魚を残さず食べた吉永は結局夜ご飯は食べず、横になっていた。さすがにちょっとかわいそうだったのでカニだけは残してあげた。


その頃外は雨が降っていた。


「雨かぁ~。あたし花火持ってきたのに・・・」


寂しそうにつぶやく那智。そういえばリュックの中がやけにパンパンだったけどほとんどが花火だったらしい。


「急に降ってきたね~とりあえず止むまでは部屋で何かしよう!といってもボクは麻雀牌しか持ってないけど・・・」


ボクはいつもリュックに麻雀牌を入れている。友達と遊ぶとき、友達の家に泊まるときどんな時にでも。だがさすがに今回はできるわけが・・・


「私、出来るよ!家族でよくやってたから!」


岩崎さんからまさかの一言。今年1番の驚きかもしれない。


「実は私もできちゃったりする・・・」


最近の女子は麻雀ができるものなのか・・・


「僕はドンジャラしか・・・」


「じゃ大丈夫だな」


「ホントに!?」


「大丈夫だ」


斯くして、麻雀大会が始まった。


お、配牌から七対子ドラドラ一向聴だ。これならすぐリーチかけられる・・・


「リーチ」


「何!?」


響き渡るリーチの一声。岩崎さんのダブリーだ。


ダブリーじゃ、安全パイが分からない・・・


「バシッ」


吉永が牌を捨てた。


「ロン、・・・24000」


親の倍満、ダブリー一発タンピン三色一盃口だ。


ま、たまたまだろう。次こそは・・・


お!国士二向聴!これは狙いに行くしかない!


みんなボクがヤオチュー牌を捨てないから、さすがに国士狙いだと分かったかも。吉永はともかく、岩崎さんは確実にベタオリだな。


・・・キタ!国士聴牌!しかも13面待ち!これは頂いた!!


バシっ!


「ロン」


「えっ!?」


まさかの声に驚いてしまった。小島さんの一声だった


「タンピンドラドラ赤1、満貫ね!」


しまった!!岩崎さんのことしか気にかけていなかったが、小島さんもここから本領発揮なのか!?


「さすがだね、泉水!跳満狙わず確実にダマテンで相手を陥れるところ、中学の時と変わらないね!」


「那智だって、前の局での倍満。さすが昔からヒキだけは流石ね!」


「「だけ」は余計!」


「ちょっと待って!二人とも昔からってどういうこと?」


「実は泉水のお父さん、プロの雀士なの!で、私のお父さんはレインボーロック始める前は麻雀店で働いてたの!それで家族ぐるみで麻雀することが多くて・・・私も泉水も、お父さんの影響で麻雀やってたの!」


道理で店の奥に麻雀卓が置いてあったわけだ


「それを先に言ってくれよ!要はプロと何回も対局したことあるって事でしょ?そりゃ勝てるわけないよ~!ボクも結構自信あったんだけど・・・」


「んふ、まぁね!・・・あ!そんなことより外見て!雨止んでる!!」


「僕、なんか置いてきぼりなんだけど。」


吉永の声には誰も耳を傾けなかった。


「ホントだ!早く外に行ってみましょ!!あ、吉永君!麻雀ビリだったから人数分のジュース買ってきてね!」


「ちょ、聞いてないよ~!!」


岩崎さんと小島さんは一目散に外へ駆け出していった。分かってはいるが、無邪気にはしゃぐ所は二人とも実に女の子らしい。


「吉永~!ボクもついてくよ」


「ありがとう!ジュース持つの手伝ってくれるの!?」


「手伝うつもりはない。」


「ってことはまた、お節介さんだな~?小島さんと岩崎さんを二人にしようとしてるんでしょ?今はそんなことしなくても大丈夫じゃないかな~?」


「え?」


吉永が少しマジな顔になった。イケメンがマジな顔するとホントキュンとしちゃうからやめてくれ。


「岩崎さんは、今を楽しんでるんだと思うよ。友達のことを想う気持ちは大事だけど、変に気を使うのはどうなのかな?それは僕や二階堂君も疲れるし、気を使われてる岩崎さんも決して良い気はしないと思うよ。てか、麻雀やってるときの岩崎さん、ホント楽しそうだったよ!あれは作り笑顔では無い、無意識ににじみ出た笑顔だと思う。もちろん川で遊んでた時も、二階堂君と話してた時も!」


「吉永、お前よく見てるな~」


「べっ別にそうゆうつもりは・・・」


「分かってる分かってる!・・・確かにそうかもしれない。楽しいか楽しくないかは自分で決めるもの。他人が優劣付けるもんじゃないよな~」


「そういうこと!・・・はい!これ岩崎さんに渡してあげて!」


差し出されたコーラ。吉永は能天気なやつだと思っていたが、案外周りを見ているんだと今初めて感じた。


「それじゃ二人待たせちゃってるから早く行くぞ~!」


一方避暑地のお嬢様とおてんば娘は僕らを待たずして花火を始めていた。


「あ!真一郎君と吉永君!遅いよ~!もう花火始めちゃってるよ!」


「ごめんごめん、はい!コーラ!」


「ありがと!あ、真一郎君!線香花火やろ!」


線香花火に火を付けると小さくそして美しい火花が踊りだす。


「前ね、花火を一人でやったことがあるの。・・・全然楽しくなかった。全然キレイと思えなかった。何でだと思う?一人だったから。でも今は違う。泉水はもちろん、吉永君そして真一郎君が居る。これからもよろしくね!」


「それはこっちのセリフ。今日の旅行は本当に楽しかった。このメンバーでしか楽しめなかった時間だと思うよ。改めて・・・よろしく!」


リュックいっぱいの花火はあっという間に無くなった。時間を忘れてみんな花火に夢中だった。時間も時間だったので、そのあと宿へ帰った。明日もあるから・・・


次の日、記録的な大雨で山登りは無しになり、代わりに第2回麻雀大会が催された。
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