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mimoza

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第2章

肩を柔らかくするストレッチ

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県北大会後、初の練習日。

「はい!今日から
ストレッチを1つ加えます!こっち注目!」

葵先輩がみんなの前に出て、
大きな声で話しだす。
今はウォーミングアップ中で、
円形を組んで準備運動を終えたばかりだ。
いつもなら2人1組の
座ってのストレッチをする時間だ。

「リレーのバトンパスが
もっとスムーズに渡るように、
今日から肩を柔らかくするストレッチを
取り入れます!お手本を見せるから、
よーく見ててね!」

おお、
肩を柔らかくするストレッチとは名案だ!
さすが先輩方!着眼点が違う!

愛奈先輩が葵先輩の隣に立った。
葵先輩が部員に対して横向きになり、
愛奈先輩には背中を向けた。

「2人1組で行うストレッチだよ!
まず、両腕を後ろに伸ばし、上に上げる。
ペアの人は上げた腕が下がらないように、
キープの手伝いを!これを10秒!」

葵先輩がカウントをする。
愛奈先輩がそれに被せて、
補足説明をしてくれた。

「この時、掌は内側に向けて、
上体は前に倒れない様に
しっかり背筋を伸ばして下さい。」

「はい!2人1組になって、みんなもやって!」

10秒終えた葵先輩が、みんなに声をかける。
私は隣に居た岩木はなえとペアを組んだ。
腕を上に上げ、キープを手伝ってもらう。

「はなえ、10秒数えて。」

「はーい。1、2、3、4…」

「これ結構楽勝!
もっと上に上げても大丈夫かも!はなえ!」

「はーい。この位かな?」

ぐんと腕が上に引き上げられる。
両手が肩を越した。
上体は変わらず倒れなく、
しかし肩の前部分の筋肉が伸び、
心地良くなった。
肩甲骨がギュッと引き締まる。

「次に腕を後ろでクロスさせて、
また同じ様に上に上げる!これも10秒!」

葵先輩が、再開した。
お手本のカウントが始まる。
愛奈先輩がまた補足説明をしてくれる。

「これは結構キツイから、
あんまり無理しないでね。
さっきと同じ様に上体が倒れない程度に、
でも掌は上向きでね。」

「そうだ、ひじも曲がっちゃダメだから!
これは左右交互にやるよー!
さあ、みんなも!」

葵先輩が腕を組み替えて、2回目を始めた。
私とはなえも取り掛かる。

「お、いでデデデで。
急に上がらなぐなっだ。」

声出すのもやっと。
肩甲骨もゴリゴリする。

「…6、7、8、9、10。はい、終わり。」

「ぷはぁ。これはキツイ。
やばい、キツイ。次は左が上だね。」

「いくよ~。1、2、3…」

最初から呼吸すらキツイ。
これは左腕でバトンをもらう私にとって、
由々しき事態ではないのだろうか。

「ふうううぅぅぅぅぅ…」

ゆっくりと息を口から吐く。
段々と楽になってっきたが、
10秒が長く感じる。

「はい、終わり。私はこれ苦手だなぁ。」

「はなえは投擲なんだから、
肩周りのストレッチ、役に立つよ!」

「肩のストレッチはこの3つだけ!
次は交代!」

葵先輩から指示が飛んできた。

「ほらほら、やるぞー。」

私ははなえの両手を持ち上げた。
いや、持ち上がらなかった。
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