諦めてください!

なーな

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仲間集め!

完璧な作戦!?いいえ、まだまだです!

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「ねえ、リン。
ちょっといい?」

私が呼ぶとリンがすぐに来た。

「あのね、
この間女官の方達が来たじゃない?
それで、なんていうかちょっと無愛想?だったじゃん。
なんか理由があるんだろうだけど。
それで、私としては仲良くしたいんだけど…
どう思う?」


質問してはいるが、リンは立場上
私の意見に同意するだろう。

例え、思うところがあったとしても。

それに聞いておいてなんだけど、
マリアンヌと仲良くなるための作戦は決定事項だ。

ライアン様とかもう動いちゃってるし。


「そうですね。
杏里様が仲良くされたいのであれば、私が言うことではありません。
ですが杏里様がお気になされるなら、女官を違う者に変えてもらう事もできます。
無理にあの方々と仲良くなさらずにも、方法はたくさんあります」

リンは反対こそしなかったが、
賛成もしなかった。 

ライアン様と同じ提案までして来た。

それと、ずっと思っていたのだけど
リン達は女官のことをあまり快くは
思っていないらしい。

侍女と女官では
やっぱり仲が悪いのだろうか。

そう落ち込んでいると
リンが嬉しい事を言ってくれた。


「ですが、私は杏里様に賛成いたします。
私が杏里様に仕えてまだ短いですが、杏里様がひかないことくらい分かっています。
それにもう決定しているのでしょう。
私にできることなら
なんでもいたしますよ。」


『失礼いたします。
王太子殿下がいらっしゃっています。
お通ししてもよろしいでしょうか?』


ナイスタイミング!
さすがライアン様!

ものすごく丁度いい時にライアン様が来た。

「ええ。
お通ししてもらえる?」

すぐさまOKをだした。



「神子殿
先日の件ですが、只今公爵にマリアンヌ嬢の事は省いて、話を通しました。
神子殿の事も伝えておきましたので
明日には返事が来るでしょう」


「…」

思わず言葉につまってしまった。

ライアン様が敬語をつかっているから!

神子殿とか言ってるし!

不気味で思わずぶるっと震えた。


「な、なんで!?」

「何故と言われましても…」


ちらっとリンを見て言葉を濁した 
ライアン様。

いや、前にもリンが入るところで
俺とか言ってたから
遅いと思うんですけど。

そう思ったのだけどライアン様は
素知らぬ顔。


「ライアン様、
もう遅いとおも」


『王太子殿下。神子様。
ベッドフォード公爵がいらしております』


私の言葉が遮られて、公爵の訪れを知らせる声が響いた。


「へっ!」


変な声を出してしまったけど、
これは不可抗力だと思う。

だって、公爵の返事は明日
来るってライアン様が言ってたのに。
速すぎると思う。

ライアン様と一瞬顔を見合わせて頷く。


「分かりました。
お通ししてくれる?」


言葉を丁寧な言葉、
いわゆる令嬢言葉に変える。

公爵の前では
いつものようには喋れない。

意外ではあるけれど、早いに越したことは無いから、ありがたい。




「先日はお忙しい中、
お時間をお取りくださり誠にありがとうございました。
此度は、神子様よりお話があるとの事で、参った次第にございます」


これまた丁寧にお辞儀をされて 
私からすると、恐れ多いことこの上ない。

神子という立場ではあるものの、
仲間は普通の高校生なのである。

こんな偉い人と話す機会なんてある訳ないし、私の方が頭を下げたい位だ。


「悪いかったな、急に呼び出して。
時間は大丈夫なのか?」


「ご心配感謝いたします。
時間の方は大丈夫でございます」


「そうか。ならば良い。
突然だが、本題に入ろうと思う。
…杏里」


説明しろというように私に話を振ってきた。てか、公爵の前でも呼び方は杏里なんだ…


「ベッドフォード公爵、急にお呼びして申し訳ありませんでした」


必要ないかもしれないが一応始めに謝罪しておく。


「今日お話したいのは、
公爵の次女でおられ、ここで女官として働いておられるマリアンヌ嬢の事です」


「…」


自分の娘の名前を聞いて押し黙ってしまった公爵。
めんどくさいので、さっさっと話を続ける。
 

「ご存知かもしれませんが、
先日からマリアンヌ嬢が私付きの女官として働いてくださることになりました。
顔合わせをしたときになんとなく気になってしまったので、申し訳ありませんが少々調べさせていただきました」


嘘は言ってないはず。

本当の理由は、ちょっと(←いや、かなり)違うけど…


「…お恥ずかしながら
私とマリアンヌは数年ほど前から
行き違いをしておりまして。
もう、こちらも謝りようがないのです。変な意地だとは分かっているのですが…」 


っしゃキター(☆。☆)!!

心の中で思いっきり叫んだ。 

これで、私の作戦は完璧!

後は、マリアンヌと公爵を会わせて…

そしたら、自動的に仲直りしてくれるでしょ!

ちょーっとマリアンヌに声かけておいて…


まだ、成功どころか始まってもないのに完全に終わった気でいた。

マリアンヌはそこまで素直な性格ではなかった…

というか、なんで気がつかなかったんだろう。 

貴族なのに家出するような娘が、
そんな素直な訳ないのに。 

もしもマリアンヌがそうだったら、
公爵もこんなに苦労してないか。


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