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2章 軌跡
7.5話【悪夢】
しおりを挟む暗闇の中に少年がいる。
少年は金髪の少女を救うために、様々な試練に立ち向かうが、己の器の小ささを知り、抗う事を辞めた。
少年は殻に閉じこもるが、銀髪の少女に助けられる。
その少女の援助もあってか、少年は覚悟する。
戦う事を。
もう一度、争う事を。
だが、少年の勇気は、願いは叶わない。
既に金髪の少女は死んでいるからだ。
少年が後少し早く立ち上がっていれば、未来は変わったのかもしれない。
だが、過去は変えられない。
少年は呪った、自分自身を...世界を。
募る憎しみに、やがて自分すらも失ってしまう。
かつて自分を支えてれた、銀髪の少女の言葉すらも届かない。
少年はただひたすらに歩いた。
少女達を忘れるかの様に、世界を旅した。
やがて、行き着いた先はかつて銀髪の少女と共に旅をした場所だった。
そこで少年はやっと、気づいたのだ。
自分の愚かさに。
少年は急いで故郷に戻った。
何年も会っていない銀髪の少女にただ一言謝る為に。
だが、少女の願いはまたもや叶う事はない。
何故なら、銀髪の少女もまた殺されていたのだ。
少年は怒った。
怒り続けた。
何年も何年も2人の少女を助ける為、少年は抗い続け、行き着いた。
かつて英雄と呼ばれた男の力の根源へと。
そして、少年の冒険譚はここで終わりを告げる。
少年自身が終わらせたのだ。
自らの冒険譚を。
自らの手で。
ーーーーーーーーー
「起きなさい!ロベルト!」
「...」
「こらっ!!」
「ふぇ...!」
銀髪の髪が反射して、より髪の艶やかさが露わになる。
寝ぼけてはいたが、彼女は美しかった。
「イッテ!!」
「キャッ!」
勢いよく上げた額が、彼女の額とぶつかり合う。
その瞬間、痛みのせいか頭が覚醒するのが自分でも分かった。
「もぅ!何よッ!!痛いじゃない!」
額をさすりながら、怒号を上げる彼女を見て、何だか安心した気がした。
「何で、シェリアが?」
何故、俺の部屋にシェリアがいるのだろうか?
「何でって、何回ノックしても起きないから...見にきたのよ!そしたら泣いてるから...」
「泣いてた?」
何か嫌な夢を見ていた気がする。
が、思い出せない。
「ふんっ、まぁ良いわ。行くわよ?早く準備しなさい!」
「あぁ。」
確か、後3日は準備の関係で街で、旅の準備をしないといけなかったな。
俺は、服やら歯磨きやら、準備をして部屋を出る。
「何だったっけなぁ...」
夢の内容が気になって仕方がない、がシェリアを待たせるとキレられるのは目に見えている。
俺はなんともいえない感情で部屋を出る。
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