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衝撃

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「美菜、気分はどうだい?」

ナミは美菜の苦しむ姿を堪能したと言わんばかりに、満足げな顔をしていた。
美菜は、全身汗ビッショリになりながら、息も絶え絶えに言った。

「・・見れば分かるでしょ。も、もう出来ない。。ゲーム、お終いにして。。」

美菜は、力の無い声で囁く様にナミに懇願した。

〝これ以上やられたら死んじゃう。。〝

しかしナミは、到底聞き入れるつもりはないらしい。

「じゃ、美菜も疲れているようだから、さっさと3回目を始めようかね。」

「や、やめて・・」

美菜は止めようとしたが、ナミは無視してサイコロを振った。

3度転がったサイコロは狙いすましたかの様に、最悪の数字を美菜に向けて止まった。

6、6、合計12。。

「い、嫌、助けて!嫌! 絶対嫌だ!!」

美菜は、自分でもこんなパワーが残っていたのかと、驚くほど大きな声で叫んだ。

ナミはそんな美菜を意外にも冷静に見つめ、ニヤニヤと笑っている。
そのイタズラっぽく光る目を見て、美菜はようやく理解できた。

ナミは、やはり最初から好きな目を狙って出せたのだ。最初は、美菜にもしかしたら、と微かな希望を与えた上で失望させ、そしてだんだん苦しみが大きくなっていき、最後にクライマックスが来る様に演出したのだと。。

苦痛のレベルを決めるのは、与える側ではなく受ける側の精神状態なのだ。
相手に苦痛を与える事にかけてはエキスパートの、ナミならではの演出だった。

そして間もなく、破壊的な衝撃と痛みの波が、美菜を飲み込んだ。。

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