瞳の奥の漁火～女をいたぶる狂気の女～

女支配人

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急に辺りが暗くなると、ステージがスポットライトで照らされた。
そして、１人の女が上がってきた。

黒いスーツを着ている事から、スタッフであることは分かった。

摩耶は魅麗に訊いた。

「あの人は？」

魅麗は摩耶の耳元で囁いた。

「あれが、セクション９６支配人、我妻香奈恵です。」

香奈恵は、ステージの中央に立つと、ゲストに向かって深々と頭を下げた。

魅麗が言う。

「このセクションでは、イベントの度に我妻が自ら司会をしています。これは彼女のポリシーだからみたいですが、それ以上に彼女がゲストに人気があるからでしょう。」

摩耶は改めて香奈恵を見た。なるほど、確かにキャストも顔負けの容姿をしていた。歳は２７、８だろうか。
若くして組織の幹部であり、なおかつあれだけの美貌なら、人気があるのも頷けた。

会は進行し、やがて彼女は１枚の封筒を取り出した。そして、わざと大げさに中身を取り出し、アカデミー賞のプレゼンテーターの様に満面の笑みを浮かべて読み上げた。

「酒見大介様！」

会場内が大きな歓声に包まれ、１人の男がガッツポーズしながらステージに上がってきた。

酒見と呼ばれた男は、興奮しながら香奈恵と握手し、改めて大きくガッツポーズをした。

続いては、このゲストの相手をするキャストが発表される。
場内は再び静まり返った。

そして、香奈恵より今夜の本当の主役が読み上げられた。

「鮫島愛華！」

その瞬間、黒い網タイツの女の表情が凍り付いた。