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特典

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モニターには、ついに4枚目の石を膝にのせられた愛華が映っていた。
汗と涙でびしょ濡れになり、泣き叫び続ける彼女の姿は妖艶ですらあった。

ゲスト達は、この時点で愛華の膝に120キロの負荷がかかっていると思わされている。この数値がゲスト達の興奮度を確実にアップさせていた。しかし、実際の負荷はまだ100キロにも満たない筈だった。

もちろん、だからといってモニター越しに見える愛華の苦悶の表情は決して演技ではない。か弱い女の体が受ける苦痛としては、既に限界に達しようとしている。
時折カメラアングルが切り替わり、モニターに飛び込んでくる彼女の臑には、板があり得ない程深く食い込み、おびただしい量の血が流れ出していた。

この凄惨な状況の中、愛華に対する責めは容赦なく続けられ、5枚目、そしてついには6枚目の石が、彼女の膝にのせられた。

「最後はどんな余興なのかしら。」

摩耶は、独り言の様にモニターを見つめながら言った。

愛華への拷問が始まってから、既に1時間近くが経過していた。 今、彼女を襲っている苦痛は、臑に食い込む板の痛みばかりではないはずだ。

6枚の石の板を支えている膝や太股の筋肉や筋も、相当なダメージを負っている筈だった。いや、痛み自体も、既に臑を上回っているかもしれない。

いずれにしても、愛華の美しい足が最後には完全に破壊されてしまうだろう事は、誰の目にも明らかだった。

香奈恵が例のごとく、営業スマイルで酒見に話しかけた。

「いかがですか?会場のゲストの方々も皆様堪能された様ですが。酒見様も十分お楽しみ頂けましたでしょうか。」

すると、依然苦しみに喘ぐ愛華を至近距離で見つめたまま、興奮しきった表情で酒見が答えた。

「いやあ、最高でした。一生忘れられない体験です。本当にありがとうございました。」

モニターに映し出された酒見は、まるで子供の様にはしゃいでいた。

香奈恵はそんな酒見に近付き、感慨深げに話しかけた。

「こちらこそありがとうございます。お喜び頂いて、私達も大変光栄です。実は酒見様、私達は当セクションのイベントにご参加頂いた酒見様への感謝の気持ちを込めて、この石抱き責めに、素敵な特典を付けさせて頂きました。」

「ええっ!特典ですって?」


酒見は目を輝かせて香奈恵の顔を見た。

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