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神の手

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「申し訳ありません。」

休憩室に到着し、美羅をソファーに座らせた後、摩耶は彼女の側に膝まづいた。

「美羅様は、我がNaturalFaceの最重要顧客のお1人ですから、本来ならもっと綺麗
で豪華なフロアを用意すべきところではありましたが、今回は僭越ながら、ちょっと
趣向を変えさせて頂きました。それは。。」

「私に若い頃を思い出させたかった。そうでしょ?」

「恐れいります。私共の演出の意図をご理解頂けて、幸せでございます。」

美羅は、ソファーに背中を預けながら高い天井を見上げた。

「私も幹部になって結構経つけど、最近は現場に行くこともほとんどなくなって
しまって。。昔は散々バカもやったけどね。だから、今夜は何となく、あの廃墟が
懐かしく感じたわ。」
















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