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金色の瞳が見えた気がして、思わず振り向く。
だが、繁華街を歩く俯いた人々の中には、紫みを帯びた黒髪も、黄金の瞳も、見えなかった。
首に掛けたままの、細い黄金の鎖を、制服のブラウスの上からそっと掴む。リエトはきっと、姉を見つけて、春夏が知らない町で暮らしている。頭ではそう理解していても、心では。信号が変わる前に、春夏は横断歩道を渡りきった。
リエトが消えた、あの日に起こった騒動は、何のニュースにもならなかった。一葉の写真すら、ネットにもマスメディアにも上がっていない。グイドが言った通り、『門』を封じたから、あの騒動は元から無かったことになっているのだろう。『神隠し』のことも、今では話題にすら上らない。それでも。
〈私は、覚えているよ〉
虚空に向かって、心の中で叫ぶ。
〈七波のことも、……リエトのことも〉
制服のブラウスの上から、もう一度、春夏はリエトの黄金の鎖を握り締めた。
だが、繁華街を歩く俯いた人々の中には、紫みを帯びた黒髪も、黄金の瞳も、見えなかった。
首に掛けたままの、細い黄金の鎖を、制服のブラウスの上からそっと掴む。リエトはきっと、姉を見つけて、春夏が知らない町で暮らしている。頭ではそう理解していても、心では。信号が変わる前に、春夏は横断歩道を渡りきった。
リエトが消えた、あの日に起こった騒動は、何のニュースにもならなかった。一葉の写真すら、ネットにもマスメディアにも上がっていない。グイドが言った通り、『門』を封じたから、あの騒動は元から無かったことになっているのだろう。『神隠し』のことも、今では話題にすら上らない。それでも。
〈私は、覚えているよ〉
虚空に向かって、心の中で叫ぶ。
〈七波のことも、……リエトのことも〉
制服のブラウスの上から、もう一度、春夏はリエトの黄金の鎖を握り締めた。
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