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第1章
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しおりを挟む米だけじゃなくてこのお店にはなんと藁納豆も売っていた。
「それは開けたらなんかくせえもん入っていることがわかって、近々処分する予定だったんだ。
サクラマイと一緒に食べたら美味しいとか言って買わされたに等しいんだが、腐ったもんを売りつけられちまった。」
「これはこういうものなんですよ。
これも売ってください!」
そして俺は運命の出会いを果たして、ホクホクな気分で店を案内したのだった。
もちろん自分の店のアピールも忘れずにして。
「よし、やるぞ。」
家に帰って早速麹づくりだ。
麹がないことには味噌も醤油も作れない。
10kg全てを小分けして作っていく。
これだけで食品棚ひとつ全てを使うことになった。
食品棚は棚ごとに保存温度を変えることができるから最適温度にしてほっとくことができるというファンタジー。
麹づくりで数日、味噌なんて数ヶ月。
魔人族の国に行けばあるかもしれないが、現状ない今は作るしかない。
行きたいところリストに魔人族の国が追加されたことは言うまでもなかったのだった。
麹づくりが終わればランチの準備。
麹づくりと若干並行していたとはいえ時間はギリギリだ。
少し簡単になってしまうが、シャキシャキキャベツにサクサクのカツを挟んだカツサンド。
粗めの卵マヨにハムを挟んだサンドイッチ。
一緒に皿を持って、クラムチャウダーを添えればできあがり、と。
「今日もきたぞ。」
「いらっしゃいませ」
本屋のおじいさんは初日から毎日来てくれる。
「お弁当というものを始めたんじゃろう?
わしはランチを楽しみにしておったから行かなかったが。」
「えぇ、何人か買っていってくれましたよ。」
「そうか、お、今日もうまそうじゃ。」
本屋のおじいさんは今日も美味しそうに食べていってくれた。
「それにしても週3回の営業とはちと寂しいのう。」
「お弁当だったり色々なことに挑戦してみたいんですよ。」
「ま、若いうちに挑戦はたくさんするべきじゃな。」
「若いと言える年齢からそろそろ卒業しなきゃいけませんけれどね。」
「ん?バカ言っちゃいけないよ。
おまえさんは人間じゃろ?
人族の10代なんかやんちゃ盛りじゃろうに。」
あぁ、これは日本人にありがちなやつかも。
「……私は今年で27歳になりますよ。」
そう言った瞬間本屋のおじいさんは見事にスープを吹いた。
「おまえさん人族じゃないのか。」
「……れっきとした人族ですよ。」
「16くらいかと思っておったわ。
いやぁ長く生きていてもまだ驚くことはたくさんあるものじゃのう。」
こちらの世界ではだいぶ馴染んでいるけれど、日本に住んでいたときは、このキャメル色の髪とヘーゼルの瞳のせいで日本人としてもらえない上にだいぶ年齢が上に見られていたけれど、ここでは馴染んだ代わりに随分年下に見られるようだ。
いやはやいやはや、と髭をなでる最後のお客様だった本屋さんおじいさんを見送って店を閉めたのだった。
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