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第1章
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しおりを挟むさてただいま俺は絶賛あらゆるところを駆け巡っています!
理由はそう!双子とはぐれました!
みりんの買うときにお金を出そうとふたりの手を離してしまったのが原因だ。
魔石から危険信号は出されていないから攫われたとかではないと思う。
はぐれたときの待ち合わせ場所に行ってみたけれどいなかった。
「もう、どこいっちゃっぅ、わ!」
人ごみで誰かに押されて転びそうになったとき、横から手が伸びて来て支えてくれた。
「す……すみません……。」
頭を上げればそこは喉仏、顔を見るには首を上げないといけなかった。
下を見ることが多いから新鮮だ。
顔を上げればそこには拝みたくなるような美形がいた。
透き通った黄金の瞳、濡羽色の黒髪を三つ編みにして横から垂らしていた。
筋トレしても薄い身体の俺と違って、しっかりと筋肉のついている身体が羨ま……げふんげふん、素晴らしい。
「大丈夫ですか?」
「はい、支えてくれてありがとうございます。
急いでいるのでこれで、って、え?」
お礼を言って立ち去ろうとすれば手首をがっしりと掴まれる。
「何かお困りなのですか?」
「……っええ、弟たちを探していて……。
5歳で白髪に真紅の瞳をもつ双子の男の子でミクロとフィラっていう名前なんですけれど、見ませんでした?」
「これくらいの身長の子でしたか。」
その人は長い脚に手を翳した。
「そうですそうです!」
「ちょうど連れが案内所のところに届けていると思います。
一緒に行きましょう。」
そう言って俺を案内所まで連れて行ってくれることになった。
この美丈夫の名前はエルヴィスさん。
なんと竜人族だった。
花祭りには仕事の関係で訪れたようだ。
「屋台を周っていたのですが、おすすめを聞くと結構な頻度で気まぐれカフェの人がやっている焼きそばとチョコバナナなるものが美味しいと聞いたのですが、どこかご存知ありませんか?
色々な人が口揃えていうのなら美味しいのでしょう。」
「……それ多分、うちの店の商品かも、デス。」
「そうですか、どちらに構えているのです?
今は休憩中ですか?」
「お店はあそこを右に曲がってずーっと先に行った一番端なんですけどもう今日の分は売り切れちゃったんです。」
「それはすごい……本当に人気なんですね。
明日もやっていますか?」
「えぇ花祭りの3日間はやっていますよ。」
「では明日必ず行きますね。」
「ふふ、売り切れる前に来てください、なんて。」
「そうですね。
あ、ここです。
ミクロくんとフィラくんがいると思うのですけど……。」
「あ、いた!」
そこには椅子に座ってエルヴィスさんとはまた違う美形が双子と話していた。
「すみません、この子たちが……!」
「いえいえ、二人で屋台の展示品を見ていたのですが周囲に保護者もいなかったのでここに連れて来たんです。」
「本当に助かりました!
ありがとうございます!
こら!心配したんだよ!
ふたりで出かけるときは必ず報告することって言っているでしょ!」
本気で怒った俺を初めて見たからかふたりは
「「ごめんなさぁい……!」」
と泣き出してしまった。
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