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第1章
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「おや、これはおにぎりですか。」
「ご存じなんですか?」
「えぇ、魔人族の国、サクラ皇国の料理ですよね。
竜人族はグルメなんですよ。」
「ではエルヴィスさんは色々な国に行ったことがあるのですか?」
「えぇ大半の国には。」
「それは羨ましいです。
僕もいつかいろんな国に行っていろんなものを見たり聞いたりするのが夢なんです。」
エルヴィスさんとの話はポンポンと弾む。
双子はチェルロさんが構ってくれて退屈じゃなさそうだ。
「それにしてもなかなか注目されていましたね。
おかげですぐユーリさんだと分かりましたよ。」
注目?
心当たりがなく首を傾げれば苦笑したエルヴィスさんが教えてくれた。
「いくら隅の方とはいえ、ベンチに座らず敷物を広げてごはんを食べて、なおかつ目立つ容姿のしている者たちが変わったごはんを食べていれば注目も集めると思いますよ。」
確かに、双子を連れてここでは珍しいごはんを食べていれば目立ったかもしれない。
食べ終わったら急いで片付けた。
その後なぜかエルヴィスさんたちとお祭りを周ることになった。
双子は背の高いエルヴィスさんとチェルロさんに肩車されて楽しそうだ。
あの桜のガラス玉が売っていた屋台にも寄ってみたのだが、もうあのガラス玉は売っていなかった。
あんなに綺麗なガラス玉だったから売り切れてしまうものは仕方ないのかもしれない。
やっぱり買っておけばよかったかな。
今更ながら少し後悔した。
肩車の適度な揺れが気持ちよかったのかふたりとも舟を漕ぎ出してしまい、2人を運ぶ事もできず、エルヴィスさんとチェルロさんに家まで運んでもらった。
「すみません、わざわざ……。」
「いえいえ、美味しいごはんをご馳走になったのですからこれくらい当たり前のことです。
それにしてもカフェを兼ねているとはいえ、広いお宅ですね。
隣もユーリさんのお宅でしょう?
扉に同じ紋章が彫ってありましたし。」
冬の間に改装が終わって広くなった家。
お祭りが終わったら薬屋を始める準備をしなければいけない。
「子どもでも飲みやすい薬を提供するために店を探していたらちょうど隣が空き家で割安だったので買ったんです。
まぁ傷んでいて結局改装することになってしまったのですが。」
「薬屋もやるんですか?
ユーリさんそれでは身体壊してしまいませんか?
人族はどの種族よりも身体が弱いと聞きますし。」
「最初は週1日だけにする予定です。
いずれは人を雇おうと思っているのですが……製薬のスキルを持つものは少なくて見つかるまでは辛抱するしかなさそうです。」
薬を扱うだけに製薬のスキルは必須で、できれば医療と会計のスキルも持っているものがいればいいが、こんな人物はなかなかいないだろう。
「ではここにいい人物がいますよ。」
エルヴィスさんはにっこりと微笑んだ。
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