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第1章
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しおりを挟む俺はアクアパッツァから食べたかったから、白ワイン。
エルヴィスさんとチェルロさんは赤ワインを手に取った。
「さぁ、温かいうちに食べましょう!
ようこそ、エルヴィスさん、チェルロさん。
これからよろしくおねがいします!
乾杯!」
「こちらこそよろしくお願いします。」
「よろしくお願いします。」
「「かんぱい!」」
カチンと楽しい音が部屋に響く。
いただきます、の言葉とともに食べ始めれば、不思議そうに見られたので以前双子にした説明をすれば2人もいただきます、と言って食べてくれた。
「これは美味しい……。
焼きそばを食べたときも美味しいと思いましたが、ユーリさんは美味しいものを作る天才ですね。」
「!うま…失礼しました。
とても美味しいです。」
「どんどん食べてくださいね。」
「「ユーリ、おいしい!」」
「ありがとう!」
みんなから美味しいと言ってもらえてホクホクした気持ちでいれば、双子が急に立ち上がって俺の方に来た。
「ん?どうした?」
「「ユーリ、たんじょうび、おめでとう。」」
そんな言葉とともに差し出された小さな袋。
リボンが少し斜めっているところを見るに2人で一生懸命包んでくれたのだろう。
「……開けてもいい?」
「「うん。」」
そっと開けてみれば、俺が気になっていた桜色のガラス玉だった。
それがペンダントになっている。
いつの間に買って、いつの間に作ってくれたんだろう。
何より、27年間生きてきた中でこんな素敵な誕生日プレゼントをもらったのは初めてだった。
養護施設で育ってきた俺。
誕生日は同じ月の子たちとまとめて誕生会という形で。
大人になってからは働いてばかりで誕生日そのものを忘れていた。
双子は以前さらっと言った俺の誕生日を覚えてくれていたのだ。
「あは、ふふ、ふふふ、嬉しいなぁ……。
……嬉しすぎて涙が出てきちゃったよ。
……最高のプレゼントだ。
2人ともありがとう。」
そう言ってぎゅ、と抱きしめれば2人もはにかんで俺の首元に擦り寄ってきた。
こんなにも祝ってもらえるというのが嬉しいと知らなかった。
こんなにも心が温かくなるなんて知らなかった。
自分に向けられる“おめでとう“にこんな力があるなんて知らなかった。
この世界に来て初めて神様に感謝した。
エルヴィスさんとチェルロさんからもおめでとう、と言ってもらって、泣いたところを見られて少し恥ずかしかったけれど最高の歓迎会兼誕生日会になったのだった。
その日からはずっとペンダントをつけた。
ペンダントなら料理してても邪魔にならないし、シャツの下に隠しておけばいい。
タグとペンダントで首元がだいぶ重くなったけど幸せな重みだ。
左耳には黒いオパールのような魔石のピアス、首にはペンダント。
地球にいたときは装飾品なんて全然つけなかったからなんだか不思議な感覚だ。
最高に幸せな気持ちでベッドに潜り込んだのだった。
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