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第1章
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しおりを挟む決勝戦。
アレックスさんの相手は副団長。
副団長の方はひょろりとした方だった。
副団長の方はまさかの素手。
筋骨隆々なアレックスさんにかかれば一捻りされそうだけれどここまで勝ち上がって来たってことは強いのだろう。
アレックスさんはその身体に見合う大きな大剣。
俺ならまず持てるかどうかってところから始めなきゃいけなさそうだ。
「試合、開始!」
こちらはルフくんやミミくんのように激突ではなく逆に最初から膠着状態。
「なんで2人ともじーっとしているの?」
「……なんで?」
双子はきょとんとしているが場の空気に圧倒されているのか、ひそひそと話しかけてくる。
しばらくその状態が続いたかと思うと、副団長が動いた。
洪水なんじゃないかってくらいの水がアレックスさんを襲う。
それをアレックスさんは言葉の通り一刀両断し、炎で蒸発させた。
とんでもない蒸発熱が襲う。
あっつ!
まるで天然のサウナだ。
ってかそもそも……
「え?水って切れるの?」
「切れますよ?」
エルヴィスさんがさも当然といった感じで教えてくれるけれど、え、切れるのは常識なの?
副団長が勢いよく繰り出される大剣を籠手で受け止める。
え、そんなことできるのは常識なの?
双子はもう口が閉じないみたいだ。
そんな中、一瞬の隙をついて副団長があの大剣をアレックスさんから弾いた。
シュルシュルとその剣はこちらへ向かってくる。
ん?向かって、くる?
向かってくる!?
ガァァァァンッ!!!
思わず隣にいたフィラを抱きしめるが衝撃が来ない……。
ぎゅっと閉じていた目をそろ~っと開けるとそこには指一本で結界を張っているエルヴィスさんがいた。
頬杖をついていて余裕、と言った感じだ。
結界にぶつかった大剣はガラン、ガラン、と音を立てて地面に落ちた。
「ユーリさん、大丈夫ですか?」
瞬時に結界を出すことのできる判断力。
高い魔力が必要とされる結界を瞬時に出す力。
この人は何者なんだろう?
剣を失ったアレックスさんは一気に不利になったかと思ったが、ミミくん以上の速さで副団長の魔法を避けて間合いを保つ。
アレックスさんって人族だよね?
体力も人外なんだが。
だんだん目で2人の動きを追えなくなってきたとき、突如として轟音が響いて次の瞬間には副団長が膝をついていた。
「勝者、アレックス!」
「……え?何が起こったの?」
「ユーリみてなかったの!?」
「……バーン、てして、ドーンてしてたよ。」
……うん、わからない。
驚いたことに双子は全部見えていたらしいがその説明が俺の脳みそじゃわからなかった。
「副団長の方が5発の水弾を同時に3連発出して、それを避けた団長の方が股抜きして後ろを取りましたね。」
隣で説明してくれたエルヴィスさんも全部見えていたようだ。
なんか色んなことに驚きすぎて疲れてきた。
試合を終えたアレックスさんが剣を取りにこちらへ向かってきた。
話すことはなかったが、双子に手を振ってくれて、双子はもはやアレックスさんのファンになったんだろう。
手を振ってくれたことにキャイキャイはしゃいでいた。
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