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episode1
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しおりを挟む僕たちは10日ほどかけて、いろんな国をまわった。
世界遺産にもなっている歴史的建造物や美術品を観てまわって知識や感性が豊かになった、気がする。
りぃくんはその国、その土地の料理を食べては
「さっきリュカがくれたピスタチオのジェラートすっごい美味しいの!
明日も絶対食べるの!」
と大はしゃぎで僕たちに教えてくれ、フラメンコを見ては手拍子をして喜び、まねをして踊ってくれた。
それはもうかわいくてかわいくて、携帯の写真保存機能は限界を迎え、予備のカメラのSDカードなんて取り替えて取り替えて2桁を越えた。
リュカさんは自分達がおじいちゃんになっても、この旅行を思い出せるようなものをお揃いで買いましょう。と素敵なことを言ってくれて、手の形を測ってもらって一から作った本革の手袋をお互いに選びあったり、素材から選びあって帽子を作ってもらった。
その他にも一緒に暮らし始めて、足りなかったグラスや、食器、カトラリーなども、せっかくだから。と、とてもいいものを買い揃えてくれた。
僕も美味しかったレストランとかで教えてもらったおすすめのお菓子や、お酒などお土産に買った。
ほっぺたが落ちるくらい美味しかったものはこっそり自分用にも買ってしまった。
宝石のようなショコラとか、珍しい調味料とかね。
そしてこの旅の最終地、イギリスに。
ここにはリュカさんのおじい様とおばあ様がいる。
新婚旅行でヨーロッパに行くとリュカさんが知らせたときに招待してくれたのだ。
だから新婚旅行のもうひとつの目的はご挨拶だ。
「あの~リュカさん……本当にここですか?」
「?はい、ここに祖父母が住んでいますよ。
といっても今のシーズンだけですが。」
目の前にあるのは僕の想像をはるかに超えた豪邸。
庭じゃなくてもう庭園だし、なんか小川が流れているんだけれど……!
好奇心旺盛なりぃくんも僕の手をぎゅっと握って離そうとしない。
さすがに緊張しちゃうよね……。
「行きましょうか。」
堂々と歩いていくリュカさんの後ろをそろそろとついて行く。
なんだか緊張してきちんと歩けているのかすらわからない。
扉を開けるとひとりの女性がいた。
「ようこそお越しくださいました。」
「あぁ、イザベルさん。
お久しぶりです。」
「ええ、お久しぶりです。
旦那様と奥様が首を長くしてお待ちですよ。」
「陽、紹介します。
お祖父様とお祖母様専属の付き人、イザベル=グレース=テイラーさんです。
私の秘書のキースの祖母です。」
「よろしくお願いします。
陽 ルフェーブルです。」
「り、理人 ルフェーブルでしゅ!」
りぃくんは力みすぎて噛んでしまい顔がまっかだ。
「これはかわいらしいお子様ですね。
きちんと挨拶できて素晴らしい。
さ、ご案内いたします。」
「りぃくん大丈夫だよ。」
噛んだ恥ずかさに僕の服に顔を隠してしまったりぃくんを抱き上げた。
リュカさんもりぃくんの頭を撫でてくれているし、本当に大丈夫そうだ。
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