僕の幸せ assort fortune

朝比奈和花

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episode 2

9

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「本当にごめんなさいね。
急に来てしまって……。

陽さんのおめでたの知らせを受けて、いてもたってもいられなくて来てしまったの。」

頬に手を添えて申し訳なさそうに言ってくるミシェルさんだが、どこか口調はふんわりしている。




そういえば、妊娠したって報告をしたときリュカさんの周りの人たちすごかったなぁ……。


病院では冷静だった伊南さんは妊娠発覚の数日後には、いつでも来てもらえるように、と3階の伊南さんの家の大部屋ひとつをおもちゃ部屋に変えてしまった。

ただでさえ伊南さんはしょっちゅうりぃくんを遊びに誘ってくれて、伊南さんの部屋にはりぃくんのすきなヒーローハンバーグ!のビデオがたくさんあったのにもかかわらずだ。


双子のためのガラガラやぬいぐるみのついたくるくるまわるオルゴールのおもちゃなどもたくさん用意されていた。

そんな元々りぃくんのために色々あった部屋には新たにトランポリンなど明らかに双子には早くてりぃくん向けのものや、ショッピングモールのこどもが遊ぶところにあるエアー遊具まであった。



「これで陽くんがりぃくんを外に遊びに連れて行くのが難しいとき、いつでもりぃくんがのびのび遊ぶことができるし、いっくんだいすきって言ってくれるだろ!」

そう言いながらりぃくんに合い鍵まで渡そうとしていて慌てて止めたものだ。




クロエさんと伊鶴さんは身体にいいと言われる食品や飲み物、妊娠線や肉割れが起きないようにするクリームなどを大量にくれた。
それはもうリュカさんの額に青筋が浮かぶほどに。

「ふふふ、生まれたらぜひ抱っこさせてちょうだいね。」

と、ふたつの美しい笑顔に圧倒されて僕はお礼しか言えなかった。




それに比べてみれば、アランさんたちが来てくれたことは急だったというだけで大したことじゃ……

「私たちしばらくこちらに住むことにしたんだ。
ひ孫が増えてますます楽しいことがたくさん起きそうだしな!

屋敷はここから車で10分くらいのところにあるから、今日はその挨拶も兼ねて来たよ。」




大したこと…だった…。




「陽!大丈夫ですか!?」

「おや、リュカのそんな焦った顔が見れるとは思わなかった。

お邪魔しているよ。」

話を飲み込めないところにちょうどリュカさんが帰ってきてくれた。
連絡をすぐ見てくれたんだろう。

良かった……。

かくかくしかじか……ことの顛末を話す。


「はぁ……。
ふざけた冗談を言っているなと思って放っておいた私が馬鹿でした。

……ルグゼンブルクはどうするんです。」

「レイに当主の座を譲った。
待ち望んだモノが手に入るんだ。

本人は嬉しくて嬉しくて仕方ないだろうな。」

「あの自分の利益しか考えていない重役たちをどうにかできるでしょうか?」

「そこは当主になった者の責任だろう。

私は本来ルフェーブルに入っているからルフェーブル家の者だしな。
地盤はしっかり固めてきた。

後はレイの力量次第だ。

それにルフェーブルの事業は長らくミシェルに任せっきりにしてしまていたからな。

今度は私が頑張らなければ。」

「はぁ……、そうですか……。

それでなんでこの時期なんです。」

「それは決まっているじゃない。

陽さんはこれから大変でしょう。
少しでもお手伝いできればと思ったのよ。

それにりぃくん、もう数ヶ月後には小学生でしょう?
こんな大事な行事を見逃すわけにはいかないわ。」

床に広げていたパズルでりぃくんと遊んでくれていたミシェルさんがアランさんの言葉を引き継ぐように説明してくれた。



こうして突如こちら日本に引っ越してきたふたりが日常に混ざりどんどん慌ただしくなっていくのだった。





episode 2 END.
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