僕の幸せ

朝比奈和花

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バラの棘に傷つけられないよう本革の手袋を履き道具を持ってバラ園のほうへ行く。
根元にそっと水をやり状態を見て花がらを見つければ摘み取る。
バラ園も広大だからどんどんやっていかないと終わらない。

「今日もとても綺麗だよ。
君はちょっと喉が渇き気味かな?」

品種ごとに名前を呼びながら作業をする。
花はどれもとても綺麗でそれぞれの魅力的がある。
それにいきものだから声をかけて育てていくのだ。

ちなみにりぃくんはピンクがかったオレンジの綺麗なグラデーションを織りなしているバラがお気に入り。


前に琥太郎さんと柚さんに特別にここに入れてもらったとき、この綺麗なグラデーションのバラを指さして4歳ながらにして、

「やさしくて、やわらかいはるみたいなはなでぼくこれだいすき!」

と、ぴかぴかの笑顔を見せてくれた。


そのときは思わず目に涙が浮かんじゃったよ。
それ以来そのバラは僕にとっても少し特別な花。

綺麗すぎて僕の花と言うにはあまりにも烏滸がましいからね。
少し特別な花。

一通り作業を終わらせて虎太朗の元へ戻る。

「終わりました。

これは切り戻しをした方が良さそうな花のメモです。
あとは花壇が少し崩れていたところも補修したので使ってしまったレンガなどの補充お願いします。」

「あぁ。」

メモを渡すと琥太郎さんはお菓子をぽん、とくれた。
子ども扱いなのは少しアレだが、褒められているようで嬉しい。

「ふたりとも~そろそろ行く時間だよ~。」

売り場のほうから柚さんの声が聞こえる。
披露宴会場に花は送ってあるようで僕らは向かえばいいだけだった。



白亜の教会と隣接された同じく白亜のお城みたいな建物。

-shiki-が以前ヘルプでここの会場の装飾をしたらクライアントからの評判が大層よかったらしく、それからは専属のフローリストとしてここの会場の花に関しての装飾は任せられた。

琥太郎さんも柚さんも花に関する資格を数多く持っていて僕は日本一の花のプロだと思っている。

「今回はどんな感じで装飾するんですか?」

車で柚さんが作ってくれた唐揚げをもらいながら質問しておく。
事前に把握しておかなければ現場でタイムロスを生んでしまうから。

普段お昼をおにぎりひとつで済ませていたのがバレて柚さんはもちろん、琥太郎さんにまで叱られてから柚さんは僕のぶんまでお昼を作ってくれるようになった。

悪いからいいと断ってももっと太ってから遠慮しなさい!と有無を言わせない笑顔で言われれば何も言えない……。


「今回のクライアントはね、男αと男Ωの披露宴で同性同士だからなるべく華美にならないよう装飾して欲しいって言われているの。

それと男αの方がお医者さんらしくて白はまだしも赤系の花を使わないでなるべく青系でまとめてほしいって……。」

赤は血の色だから控えたいんだろうな……と察した。

「それにしても青系ですか……難しいですね。」

実は自生する花で青というのはとても種類が少ないのだ。
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