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最終章 あなただけしか見えない

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私はいま、零士さんの会社で自分のブランドの服を作っている。

「プレスの反応、好評でした! 単独特集を組みたいと、取材の申し込みも入っています」

「本当ですか!?」

打ち合わせで報告を受け、興奮した。

つい先日、ブランドの発表会を行った。
当日の手応えはよかったが、実際の反応は気になっていたので、この報告は嬉しい。

「この調子でどんどんいきましょう、どんどん」

彼女の調子がいいのは、そういう仕様なのらしい。
だんだん、慣れてきた。

「では、よろしくお願いしますー」

打ち合わせを終え、会社を出る。
今日は零士さんが帰ってくる日だから、夕食作りたいなー。

零士さんは仕事の整理をし、前よりも家にいる頻度がずっと増えた。
もともと、株やなんかと不動産収入だけで働かないでも十分やっていける。
会社経営は彼の趣味みたいなものなのだ。

「ただいま」

「おかえりなさいませ」

帰ってきた零士さんの唇が重なる。

「今日は私が作ったんですよ」

「それは楽しみだ」

ソファーでしばらく私とのキスを堪能したあと、零士さんは着替えに行った。
その間に夕食の準備を済ませてしまう。

「美味しそうだな」

本当に嬉しそうに零士さんが食卓に着く。

「俺、牛肉とマグロが好物だと思っていたんだけどさ」

零士さんは今日も美味しそうに私の作った料理を食べている。
それだけで私も嬉しくなっちゃう。

「一番好きなのは清華が作った料理だな」

満面の笑みで彼は、フォークに巻いたパスタをぱくりと口に入れた。

「そう言ってくださるなんて、光栄です」

「毎日でも食べたいけど、そうなると清華が大変だよな。
でも悩む……」

真剣に零士さんは悩んでいてちょっとおかしい。
でも、そんなに喜んでくれるのなら、これからは頻度を増やしてもいいかな。

食事のあとは少しイチャイチャして、零士さんは書斎へ、私も作業部屋へ行く。

「次はどんな服を作ろうかな?」

私のブランドは現在、ウィメンズだけだが、ベビーや子供服に手を出してもいいと思う。
最近、……そんな気がするんだよね。
そろそろいい頃だし明日、検査薬を買ってみようかな。
そうだったら零士さん、喜んでくれるよね。
ちょっと明日が楽しみだ。


【終】


番外編2本あります。
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