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第9章 人間差別と獣人差別
3.問題児、マークス
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……とはいえ、私の教師生活が順調にいくはずもなく。
「ごらぁっ、マークス!
なんでマリーの尻尾に紐なんて結んだ!?」
私が怒鳴りながらマークスを追いかけるのはもう日常茶飯事なので、他の生徒は笑いながら見ている。
「はぁーっ、はぁーっ、やっと、捕まえた……」
六歳とはいえ、ちょろちょろすばしっこく逃げるマークスを捕まえるのは至難の業だ。
たまに、逃がしてしまうこともある。
……たまに、だけど。
「マークス。
獣人は尻尾に触れられるの苦手なの。
自分にないものに興味があるのはわかるけど」
マークスはふて腐れたままなにも言わないので、はぁーっとため息が落ちていく。
数人の女子が後ろを庇うように、泣いている白猫のマリーを連れてきたかと思ったら、その尻尾には紐が結ばれていた。
しかも子供では解けないほどガッチガチに。
事情を訊いたら友達数人と話していたときに、そーっと近づいてきたマークスにやられたのだという。
「なんであんなことをしたの?」
「……」
だんまり、だんまりですかー。
一応、教師の免許は持っていたが、中高だった。
児童心理なんて専攻していないから、わからない。
「あのね、マークス」
さらに詰問しかけて、止めた。
こういうの、絶対よくない。
マークスにはマークスの、なにか言いたくない理由があるはずなのだ。
「マークス。
もし、マークスに尻尾があったとしてさ」
「……オレ、尻尾とか生えてないもん」
お、ようやく口をきいたな。
かなりいじけモードではあるけれど。
「たとえばの話だよ。
んー、じゃあさ。
マークスの腕にぎゅーって思いっきり、紐も結ばれたとしたらどうよ?」
「……ヤダ」
「だよね。
マリーも同じ気持ちだったんだよ。
だからマリーにあやまろう?」
よし、これで解決、なんて思った私が甘かった。
「……ヤダ」
「……は?」
ピクピクと笑顔が引き攣る。
自分は嫌だけどマリーにはしていいって?
そりゃなんじゃー!
……とか、叫ばなかった私は偉い。
「もしかしてマリーが猫だから、そんなことしていいと思ってる?」
あるのだ、ここでは。
獣人差別が。
獣人たちは人間と違い、魔法が使え、差別されることもなく、政治に参加できる。
そんな、なんでも持っていて狡いから差別していい。
ええ、現代日本にもいましたね、こういう人たち。
上司もそれで、他社の人間の悪口とか部下に言いまくっていて、ものすごく嫌だった。
マークスの親って、そういう人だったっけ?
「マリーは同じ人間だもん!
チハル先生のバカ!」
「あっ……」
力一杯、私に怒鳴り、マークスは回れ右をして駆けていった。
「バカって言われちゃったよ……」
はぁーっ、とまたため息が落ちていく。
マークスにはほとほと、手を焼いていた。
初日、自己紹介をする私にあっかんべーをしていたのが、彼だ。
他の子は本当にいい子で、さっきのだってマリーは嫌なことされたんだからあやまろう?
で納得してくれるのだ。
でもマークスはそうじゃない。
「たぶん、私がなんか見落としてるんだよね……」
このあいだ、ブウの餌を通路にぶちまけたのも、その前に自分の手を切り落とそうとしていたのもまだ解決していない。
マークスはいつも、あのようになにも話してくれないし。
まあ、ブウの餌事件は私と両親があやまって掃除したので許してもらえたけど。
……自傷はマジで、勘弁してもらいたい。
「とりあえず、今日は帰ろう……」
なんだか疲れ果ててバルドゥルさんの城に帰る。
いつまでもご厄介になるのも悪いな、という気持ちはあるが、家族が増えたみたいで嬉しいとか言われると、出ていきづらかった。
「チハルせんせー!」
帰る途中でマリーと仲のいい、アメリーに声をかけられた。
ちなみにアメリーは八歳の人間だ。
「これ。
お父さんが持っていけって」
「ありがとう、アメリー。
お父さんにお礼を言っといてね」
差しだされる、レモンの入った袋を受け取る。
ここは、歴史警察なんかから取り締まりを受けそうなほど、いろいろなものが雑多に採れる。
ただし、米はないのが残念だ。
「そういえばアメリーの髪、可愛いね」
彼女の薄い茶髪はツインテールにして、リボンのように紐で結んであった。
「えへへー、いいでしょ?
ディアナとお揃いなの!」
「あー……、そうか」
言われて納得。
ディアナとはアメリーと同じ年の、垂れ耳うさぎの女の子だ。
確かに、ツインテはディアナの垂れた耳に似ている。
「マリーも一緒にしたいって言ったけど、マリーは髪、ないから……」
しょぼん、とみるみるアメリーの顔が曇っていく。
アメリーとディアナ、それにひとつ年下のマリーは年が近いのもあって、仲良しだ。
「そっかー。
それは残念だねー」
「……うん」
うんうん、わかる、わかるよ。
仲良し三人で同じにしたいんだよね。
そこはなんとかできないか私も……とまで考えて、ふと気づく。
「先生も、マリーもお揃いにできないかなにか考えるよ。
じゃ、レモンありがとう!」
確かめたいことができて、足早にその場をあとにした。
駆けるように、マークスの家に向かう。
「マークス、いる!?」
「オレ、あやまらないからな!」
開けたドアをすり抜けようとしたマークスをすかさず捕まえる。
「うんうん。
あやまらなくていいからさ」
まだ警戒はしているが、私の意外な言葉で逃げる気はなくなったのか、彼はおとなしくなった。
「マークス、マリーもアメリーとお揃いにしてあげようと思ったんでしょ?」
たぶん、彼の目には髪を結んで嬉しそうなアメリーを、マリーがうらやんでいるように見えた。
だから喜ばせたくて紐を結んだのだ。
……結べそうな、尻尾に。
「……マリー、喜んでくれると思ったら、泣きだして」
俯いたマークスが、ぼそりと言葉を落とす。
「……オレ、悪いことしてないのに、チハル先生、怒るし」
とうとう耐えきれなくなって、彼の口から小さく嗚咽が漏れた。
「……うん、ごめんね。
ちゃんとわけを訊かないうちから怒鳴ったりして」
跪き、小さな彼の身体を抱き締める。
マークスは優しい子なんだと思う。
ただ、彼が人のためにやろうとすることが、ちょっと人と違うだけで。
「前にブウの小屋に餌をぶちまけたのは、マークスが餌をあげてあげようとしたから?」
腕の中で彼がこくんと頷く。
そして餌は重くて抱えきれず、ぶちまける結果となった。
「腕を切り落とそうとしたのは、誰か……ユーゲルさんあたりに、食べさせてあげようと思ったから?」
「なんでチハル先生、わかるの?」
不思議そうにマークスが私を見上げる。
「んー、そうだね。
やっとマークスのことがわかってきた、かな」
犬のユーゲルさんはもうお年で、ほとんど寝たっきりになっている。
元気になってほしくて肉を買おうにも、子供のマークスはお金を持っていない。
なら、ということなんだと思う。
「難しいね、マークスは誰かのためにやってるのに、怒られちゃうんだから」
「……父ちゃんも、母ちゃんも、すぐに怒鳴るんだ……」
これは難問だ。
人の迷惑になるからやるな、とはマークスには言えない。
「お父さんとお母さんには、すぐに怒鳴らないでまずは理由を聞いて、って先生から話しておくよ。
だからマークスも、訊かれたらちゃんと話して」
「わかった」
素直にマークスが頷く。
これでとりあえずは、大丈夫かな。
……なんて思ったんだけど。
「ごらぁっ、マークス!
なんでマリーの尻尾に紐なんて結んだ!?」
私が怒鳴りながらマークスを追いかけるのはもう日常茶飯事なので、他の生徒は笑いながら見ている。
「はぁーっ、はぁーっ、やっと、捕まえた……」
六歳とはいえ、ちょろちょろすばしっこく逃げるマークスを捕まえるのは至難の業だ。
たまに、逃がしてしまうこともある。
……たまに、だけど。
「マークス。
獣人は尻尾に触れられるの苦手なの。
自分にないものに興味があるのはわかるけど」
マークスはふて腐れたままなにも言わないので、はぁーっとため息が落ちていく。
数人の女子が後ろを庇うように、泣いている白猫のマリーを連れてきたかと思ったら、その尻尾には紐が結ばれていた。
しかも子供では解けないほどガッチガチに。
事情を訊いたら友達数人と話していたときに、そーっと近づいてきたマークスにやられたのだという。
「なんであんなことをしたの?」
「……」
だんまり、だんまりですかー。
一応、教師の免許は持っていたが、中高だった。
児童心理なんて専攻していないから、わからない。
「あのね、マークス」
さらに詰問しかけて、止めた。
こういうの、絶対よくない。
マークスにはマークスの、なにか言いたくない理由があるはずなのだ。
「マークス。
もし、マークスに尻尾があったとしてさ」
「……オレ、尻尾とか生えてないもん」
お、ようやく口をきいたな。
かなりいじけモードではあるけれど。
「たとえばの話だよ。
んー、じゃあさ。
マークスの腕にぎゅーって思いっきり、紐も結ばれたとしたらどうよ?」
「……ヤダ」
「だよね。
マリーも同じ気持ちだったんだよ。
だからマリーにあやまろう?」
よし、これで解決、なんて思った私が甘かった。
「……ヤダ」
「……は?」
ピクピクと笑顔が引き攣る。
自分は嫌だけどマリーにはしていいって?
そりゃなんじゃー!
……とか、叫ばなかった私は偉い。
「もしかしてマリーが猫だから、そんなことしていいと思ってる?」
あるのだ、ここでは。
獣人差別が。
獣人たちは人間と違い、魔法が使え、差別されることもなく、政治に参加できる。
そんな、なんでも持っていて狡いから差別していい。
ええ、現代日本にもいましたね、こういう人たち。
上司もそれで、他社の人間の悪口とか部下に言いまくっていて、ものすごく嫌だった。
マークスの親って、そういう人だったっけ?
「マリーは同じ人間だもん!
チハル先生のバカ!」
「あっ……」
力一杯、私に怒鳴り、マークスは回れ右をして駆けていった。
「バカって言われちゃったよ……」
はぁーっ、とまたため息が落ちていく。
マークスにはほとほと、手を焼いていた。
初日、自己紹介をする私にあっかんべーをしていたのが、彼だ。
他の子は本当にいい子で、さっきのだってマリーは嫌なことされたんだからあやまろう?
で納得してくれるのだ。
でもマークスはそうじゃない。
「たぶん、私がなんか見落としてるんだよね……」
このあいだ、ブウの餌を通路にぶちまけたのも、その前に自分の手を切り落とそうとしていたのもまだ解決していない。
マークスはいつも、あのようになにも話してくれないし。
まあ、ブウの餌事件は私と両親があやまって掃除したので許してもらえたけど。
……自傷はマジで、勘弁してもらいたい。
「とりあえず、今日は帰ろう……」
なんだか疲れ果ててバルドゥルさんの城に帰る。
いつまでもご厄介になるのも悪いな、という気持ちはあるが、家族が増えたみたいで嬉しいとか言われると、出ていきづらかった。
「チハルせんせー!」
帰る途中でマリーと仲のいい、アメリーに声をかけられた。
ちなみにアメリーは八歳の人間だ。
「これ。
お父さんが持っていけって」
「ありがとう、アメリー。
お父さんにお礼を言っといてね」
差しだされる、レモンの入った袋を受け取る。
ここは、歴史警察なんかから取り締まりを受けそうなほど、いろいろなものが雑多に採れる。
ただし、米はないのが残念だ。
「そういえばアメリーの髪、可愛いね」
彼女の薄い茶髪はツインテールにして、リボンのように紐で結んであった。
「えへへー、いいでしょ?
ディアナとお揃いなの!」
「あー……、そうか」
言われて納得。
ディアナとはアメリーと同じ年の、垂れ耳うさぎの女の子だ。
確かに、ツインテはディアナの垂れた耳に似ている。
「マリーも一緒にしたいって言ったけど、マリーは髪、ないから……」
しょぼん、とみるみるアメリーの顔が曇っていく。
アメリーとディアナ、それにひとつ年下のマリーは年が近いのもあって、仲良しだ。
「そっかー。
それは残念だねー」
「……うん」
うんうん、わかる、わかるよ。
仲良し三人で同じにしたいんだよね。
そこはなんとかできないか私も……とまで考えて、ふと気づく。
「先生も、マリーもお揃いにできないかなにか考えるよ。
じゃ、レモンありがとう!」
確かめたいことができて、足早にその場をあとにした。
駆けるように、マークスの家に向かう。
「マークス、いる!?」
「オレ、あやまらないからな!」
開けたドアをすり抜けようとしたマークスをすかさず捕まえる。
「うんうん。
あやまらなくていいからさ」
まだ警戒はしているが、私の意外な言葉で逃げる気はなくなったのか、彼はおとなしくなった。
「マークス、マリーもアメリーとお揃いにしてあげようと思ったんでしょ?」
たぶん、彼の目には髪を結んで嬉しそうなアメリーを、マリーがうらやんでいるように見えた。
だから喜ばせたくて紐を結んだのだ。
……結べそうな、尻尾に。
「……マリー、喜んでくれると思ったら、泣きだして」
俯いたマークスが、ぼそりと言葉を落とす。
「……オレ、悪いことしてないのに、チハル先生、怒るし」
とうとう耐えきれなくなって、彼の口から小さく嗚咽が漏れた。
「……うん、ごめんね。
ちゃんとわけを訊かないうちから怒鳴ったりして」
跪き、小さな彼の身体を抱き締める。
マークスは優しい子なんだと思う。
ただ、彼が人のためにやろうとすることが、ちょっと人と違うだけで。
「前にブウの小屋に餌をぶちまけたのは、マークスが餌をあげてあげようとしたから?」
腕の中で彼がこくんと頷く。
そして餌は重くて抱えきれず、ぶちまける結果となった。
「腕を切り落とそうとしたのは、誰か……ユーゲルさんあたりに、食べさせてあげようと思ったから?」
「なんでチハル先生、わかるの?」
不思議そうにマークスが私を見上げる。
「んー、そうだね。
やっとマークスのことがわかってきた、かな」
犬のユーゲルさんはもうお年で、ほとんど寝たっきりになっている。
元気になってほしくて肉を買おうにも、子供のマークスはお金を持っていない。
なら、ということなんだと思う。
「難しいね、マークスは誰かのためにやってるのに、怒られちゃうんだから」
「……父ちゃんも、母ちゃんも、すぐに怒鳴るんだ……」
これは難問だ。
人の迷惑になるからやるな、とはマークスには言えない。
「お父さんとお母さんには、すぐに怒鳴らないでまずは理由を聞いて、って先生から話しておくよ。
だからマークスも、訊かれたらちゃんと話して」
「わかった」
素直にマークスが頷く。
これでとりあえずは、大丈夫かな。
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