40 / 61
第6章 初めてのデート。しかもお泊まり
6.朝ごはんは紘太朗さんが作ったのがいい
しおりを挟む
「んー」
寝返りを打って、目を開ける。
「おはよ」
「あっ、おはよう、……ゴザイマス」
紘太朗さんと視線があい、身体が一気に熱を持っていく。
昨晩、いたしたあとだと。
いや、二十六歳人妻の反応としては、おかしいというのはわかっているんだけど。
「風呂、入るか。
朝風呂は気持ちいいぞ」
「そう、ですね」
ベッドの下に落ちる浴衣を拾おうとしている間に、紘太朗さんがベッドを出る。
やっと浴衣に指が届いた、と思ったら、いつの間にか眼鏡をかけた彼に抱き上げられた。
「えっ、あの!?」
「風呂、入るんだろ?」
私を抱えたまま、彼はリビングへと向かっていく。
「でも、浴衣」
「風呂入るんだから必要ないだろ」
リビング側のドアから外に出て、露天に回る。
お風呂に浸かっても、彼は降ろしてくれない。
「あのー、紘太朗、さん?
眼鏡、いつもと違うんですね」
彼は眼鏡姿だが、いつもの黒メタルではなくプラスチックフレームのものになっていた。
「ん?
ああ、風呂用の眼鏡だからな」
ちゅっ、と唇が私の唇に触れる。
「翠と朝風呂とか、最高だな」
「そう、ですか」
どうでもいいけどさっきから、悪戯するのやめてもらえないでしょうか。
「今日はロープウェイに乗って山に登るぞ」
「……んっ」
耐えきれなくなって、ついに口から甘い声が漏れた。
「……なあ。
……スる?」
「あっ」
なおも悪戯を続ける彼を、軽い涙目で睨みつける。
「……シません、朝から」
「残念」
それでも諦めきれないのか、紘太朗さんは私に深い口付けをした。
お風呂をあがったときには、いろいろな意味でのぼせていた。
「あつ……」
「ほら、水。
落ち着いたら朝食食いにいくぞ」
受け取ったペットボトルの水をごくごくと喉に流し込む。
「でも、いいんですか?
もう十時過ぎてるのに……」
時計を見たら、とっくに朝食の時間を過ぎていた。
普通のホテルならもう、食べられないどころか、チェックアウトしなくちゃいけない時間。
「大丈夫だ。
頼んで遅くしてもらったから」
そんなこと、できるんだ。
それとも、連泊だからかな。
朝食も昨晩のレストランだった。
炊きたてご飯に焼き魚、お味噌汁と並んでいるけれど。
「んー」
「どうした?」
ちょっぴり不満げな私に、紘太朗さんは怪訝そうだ。
「これはこれで美味しいんですけど。
紘太朗さんの作る朝ごはんの方が美味しいなー、って」
絶対、こっちの方が材料を吟味して丁寧に作られているんだろうけど、私には紘太朗さんが食べさせてくれる、あの朝食の方が美味しく感じる。
なんでだろう。
「わかった。
また帰ったら食べさせてやるからな!」
一瞬で紘太朗さんのご機嫌が、マックスになっているのがわかる。
さっきから私には、ふさふさと振られる尻尾が見えているし。
着替えは昨日着ていた服を着るしかないかな、と思っていたものの。
「ほら、着替え」
クローゼットの中から、カーキ色をした無地のシャツワンピを渡された。
それとあわせるように、シンプルな白のコットンワンピも。
「どうしたんですか、これ?」
下着といい、いつ準備したんだろう?
「翠に似合いそうだな、と思って買っておいた。
荷物は全部、事前に送っておいたしな」
そう言って今度渡された大型ポーチの中には、化粧品が揃っている。
しかも、私がいつも使っているのと同じ。
「ありがとうございます」
これでようやく、手ぶら旅行の謎が解けた。
これなら、荷物がいらないわけだ。
「ほら、着替えて準備しろ。
今日は昨日の、チーズケーキも食いに行くだろ」
ぼりぼりと紘太朗さんが首の後ろを掻く。
可愛いんだよね、この人。
そういうところ。
「……で。
サイズぴったりってどうなってるんだろ?」
ブラもだけど、服も私のサイズだった。
いや、服はいい。
でも、ブラのアンダーもカップも私のサイズって、いつ調べたんだろ、あの人は。
「準備できたか」
「あっ、はい!」
着替えと化粧を済ませ、洗面所を出る。
「うん。
思ったとおり、可愛いな」
「そ、そうですか」
なんだかちょっと、照れくさい。
裾がスカラップレースの丸首コットンワンピに、コーデュロイのシャツワンピを重ねたスタイル。
これだったら靴も、昨日のブーツでいい。
「仕上げだ」
紘太朗さんの手が、私のあたまにベレーをのせる。
これで、髪を結うんだったら低めにしろ、って言われた意味がわかった。
「ありがとうございます」
見上げると、ちゅっ、と口付けされた。
「可愛い翠を見せてもらって、こちらこそありがとうだ」
そういう紘太朗さんは、インナーが黒のシャツになっただけで、変わっていないけど。
寝返りを打って、目を開ける。
「おはよ」
「あっ、おはよう、……ゴザイマス」
紘太朗さんと視線があい、身体が一気に熱を持っていく。
昨晩、いたしたあとだと。
いや、二十六歳人妻の反応としては、おかしいというのはわかっているんだけど。
「風呂、入るか。
朝風呂は気持ちいいぞ」
「そう、ですね」
ベッドの下に落ちる浴衣を拾おうとしている間に、紘太朗さんがベッドを出る。
やっと浴衣に指が届いた、と思ったら、いつの間にか眼鏡をかけた彼に抱き上げられた。
「えっ、あの!?」
「風呂、入るんだろ?」
私を抱えたまま、彼はリビングへと向かっていく。
「でも、浴衣」
「風呂入るんだから必要ないだろ」
リビング側のドアから外に出て、露天に回る。
お風呂に浸かっても、彼は降ろしてくれない。
「あのー、紘太朗、さん?
眼鏡、いつもと違うんですね」
彼は眼鏡姿だが、いつもの黒メタルではなくプラスチックフレームのものになっていた。
「ん?
ああ、風呂用の眼鏡だからな」
ちゅっ、と唇が私の唇に触れる。
「翠と朝風呂とか、最高だな」
「そう、ですか」
どうでもいいけどさっきから、悪戯するのやめてもらえないでしょうか。
「今日はロープウェイに乗って山に登るぞ」
「……んっ」
耐えきれなくなって、ついに口から甘い声が漏れた。
「……なあ。
……スる?」
「あっ」
なおも悪戯を続ける彼を、軽い涙目で睨みつける。
「……シません、朝から」
「残念」
それでも諦めきれないのか、紘太朗さんは私に深い口付けをした。
お風呂をあがったときには、いろいろな意味でのぼせていた。
「あつ……」
「ほら、水。
落ち着いたら朝食食いにいくぞ」
受け取ったペットボトルの水をごくごくと喉に流し込む。
「でも、いいんですか?
もう十時過ぎてるのに……」
時計を見たら、とっくに朝食の時間を過ぎていた。
普通のホテルならもう、食べられないどころか、チェックアウトしなくちゃいけない時間。
「大丈夫だ。
頼んで遅くしてもらったから」
そんなこと、できるんだ。
それとも、連泊だからかな。
朝食も昨晩のレストランだった。
炊きたてご飯に焼き魚、お味噌汁と並んでいるけれど。
「んー」
「どうした?」
ちょっぴり不満げな私に、紘太朗さんは怪訝そうだ。
「これはこれで美味しいんですけど。
紘太朗さんの作る朝ごはんの方が美味しいなー、って」
絶対、こっちの方が材料を吟味して丁寧に作られているんだろうけど、私には紘太朗さんが食べさせてくれる、あの朝食の方が美味しく感じる。
なんでだろう。
「わかった。
また帰ったら食べさせてやるからな!」
一瞬で紘太朗さんのご機嫌が、マックスになっているのがわかる。
さっきから私には、ふさふさと振られる尻尾が見えているし。
着替えは昨日着ていた服を着るしかないかな、と思っていたものの。
「ほら、着替え」
クローゼットの中から、カーキ色をした無地のシャツワンピを渡された。
それとあわせるように、シンプルな白のコットンワンピも。
「どうしたんですか、これ?」
下着といい、いつ準備したんだろう?
「翠に似合いそうだな、と思って買っておいた。
荷物は全部、事前に送っておいたしな」
そう言って今度渡された大型ポーチの中には、化粧品が揃っている。
しかも、私がいつも使っているのと同じ。
「ありがとうございます」
これでようやく、手ぶら旅行の謎が解けた。
これなら、荷物がいらないわけだ。
「ほら、着替えて準備しろ。
今日は昨日の、チーズケーキも食いに行くだろ」
ぼりぼりと紘太朗さんが首の後ろを掻く。
可愛いんだよね、この人。
そういうところ。
「……で。
サイズぴったりってどうなってるんだろ?」
ブラもだけど、服も私のサイズだった。
いや、服はいい。
でも、ブラのアンダーもカップも私のサイズって、いつ調べたんだろ、あの人は。
「準備できたか」
「あっ、はい!」
着替えと化粧を済ませ、洗面所を出る。
「うん。
思ったとおり、可愛いな」
「そ、そうですか」
なんだかちょっと、照れくさい。
裾がスカラップレースの丸首コットンワンピに、コーデュロイのシャツワンピを重ねたスタイル。
これだったら靴も、昨日のブーツでいい。
「仕上げだ」
紘太朗さんの手が、私のあたまにベレーをのせる。
これで、髪を結うんだったら低めにしろ、って言われた意味がわかった。
「ありがとうございます」
見上げると、ちゅっ、と口付けされた。
「可愛い翠を見せてもらって、こちらこそありがとうだ」
そういう紘太朗さんは、インナーが黒のシャツになっただけで、変わっていないけど。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】あなた専属になります―借金OLは副社長の「専属」にされた―
七転び八起き
恋愛
『借金を返済する為に働いていたラウンジに現れたのは、勤務先の副社長だった。
彼から出された取引、それは『専属』になる事だった。』
実家の借金返済のため、昼は会社員、夜はラウンジ嬢として働く優美。
ある夜、一人でグラスを傾ける謎めいた男性客に指名される。
口数は少ないけれど、なぜか心に残る人だった。
「また来る」
そう言い残して去った彼。
しかし翌日、会社に現れたのは、なんと店に来た彼で、勤務先の副社長の河内だった。
「俺専属の嬢になって欲しい」
ラウンジで働いている事を秘密にする代わりに出された取引。
突然の取引提案に戸惑う優美。
しかし借金に追われる現状では、断る選択肢はなかった。
恋愛経験ゼロの優美と、完璧に見えて不器用な副社長。
立場も境遇も違う二人が紡ぐラブストーリー。
それは、ホントに不可抗力で。
樹沙都
恋愛
これ以上他人に振り回されるのはまっぴらごめんと一大決意。人生における全ての無駄を排除し、おひとりさまを謳歌する歩夢の前に、ひとりの男が立ちはだかった。
「まさか、夫の顔……を、忘れたとは言わないだろうな? 奥さん」
その婚姻は、天の啓示か、はたまた……ついうっかり、か。
恋に仕事に人間関係にと翻弄されるお人好しオンナ関口歩夢と腹黒大魔王小林尊の攻防戦。
まさにいま、開始のゴングが鳴った。
まあね、所詮、人生は不可抗力でできている。わけよ。とほほっ。
『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』
鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、
仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。
厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議――
最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。
だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、
結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。
そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、
次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。
同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。
数々の試練が二人を襲うが――
蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、
結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。
そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、
秘書と社長の関係を静かに越えていく。
「これからの人生も、そばで支えてほしい。」
それは、彼が初めて見せた弱さであり、
結衣だけに向けた真剣な想いだった。
秘書として。
一人の女性として。
結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。
仕事も恋も全力で駆け抜ける、
“冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。
優しい雨が降る夜は
葉月 まい
恋愛
浮世離れした地味子 × 外資系ITコンサルのエリートイケメン
無自覚にモテる地味子に
余裕もなく翻弄されるイケメン
二人の恋は一筋縄ではいかなくて……
雨降る夜に心に届いた
優しい恋の物語
⟡☾·̩͙⋆☔┈┈┈ 登場人物 ┈┈┈ ☔⋆·̩͙☽⟡
風間 美月(24歳)……コミュニティセンター勤務・地味でお堅い性格
雨宮 優吾(28歳)……外資系ITコンサルティング会社勤務のエリートイケメン
先輩、お久しぶりです
吉生伊織
恋愛
若宮千春 大手不動産会社
秘書課
×
藤井昂良 大手不動産会社
経営企画本部
『陵介とデキてたんなら俺も邪魔してたよな。
もうこれからは誘わないし、誘ってこないでくれ』
大学生の時に起きたちょっとした誤解で、先輩への片想いはあっけなく終わってしまった。
誤解を解きたくて探し回っていたが見つけられず、そのまま音信不通に。
もう会うことは叶わないと思っていた数年後、社会人になってから偶然再会。
――それも同じ会社で働いていた!?
音信不通になるほど嫌われていたはずなのに、徐々に距離が縮む二人。
打ち解けあっていくうちに、先輩は徐々に甘くなっていき……
あなたと恋に落ちるまで~御曹司は、一途に私に恋をする~
けいこ
恋愛
カフェも併設されたオシャレなパン屋で働く私は、大好きなパンに囲まれて幸せな日々を送っていた。
ただ…
トラウマを抱え、恋愛が上手く出来ない私。
誰かを好きになりたいのに傷つくのが怖いって言う恋愛こじらせ女子。
いや…もう女子と言える年齢ではない。
キラキラドキドキした恋愛はしたい…
結婚もしなきゃいけないと…思ってはいる25歳。
最近、パン屋に来てくれるようになったスーツ姿のイケメン過ぎる男性。
彼が百貨店などを幅広く経営する榊グループの社長で御曹司とわかり、店のみんなが騒ぎ出して…
そんな人が、
『「杏」のパンを、時々会社に配達してもらいたい』
だなんて、私を指名してくれて…
そして…
スーパーで買ったイチゴを落としてしまったバカな私を、必死に走って追いかけ、届けてくれた20歳の可愛い系イケメン君には、
『今度、一緒にテーマパーク行って下さい。この…メロンパンと塩パンとカフェオレのお礼したいから』
って、誘われた…
いったい私に何が起こっているの?
パン屋に出入りする同年齢の爽やかイケメン、パン屋の明るい美人店長、バイトの可愛い女の子…
たくさんの個性溢れる人々に関わる中で、私の平凡過ぎる毎日が変わっていくのがわかる。
誰かを思いっきり好きになって…
甘えてみても…いいですか?
※after story別作品で公開中(同じタイトル)
地味系秘書と氷の副社長は今日も仲良くバトルしてます!
楓乃めーぷる
恋愛
見た目はどこにでもいそうな地味系女子の小鳥風音(おどりかざね)が、ようやく就職した会社で何故か社長秘書に大抜擢されてしまう。
秘書検定も持っていない自分がどうしてそんなことに……。
呼び出された社長室では、明るいイケメンチャラ男な御曹司の社長と、ニコリともしない銀縁眼鏡の副社長が風音を待ち構えていた――
地味系女子が色々巻き込まれながら、イケメンと美形とぶつかって仲良くなっていく王道ラブコメなお話になっていく予定です。
ちょっとだけ三角関係もあるかも?
・表紙はかんたん表紙メーカーで作成しています。
・毎日11時に投稿予定です。
・勢いで書いてます。誤字脱字等チェックしてますが、不備があるかもしれません。
・公開済のお話も加筆訂正する場合があります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる