求婚されても困ります!~One Night Mistake~

霧内杳/眼鏡のさきっぽ

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第3章 友情婚と恋愛婚

1.甘やかされ生活

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『おはよう、麻里恵。
そろそろ起きろ』

「……おはようございます」

スピーカーから声が聞こえてきて、目が覚めた。

『二度寝するなよー』

「……ふぁい」

あくびをしながらもそもそとベッドから出て洗面所へ向かい、顔を洗う。
あのあと、……いろいろあったのだ。
楠木さんはなにかと私にかまいたがい、電話をかければ済むのにすぐにピンポン連打した。
近所迷惑、特に楠木さんの部屋を挟んでお隣に怒られるわけにはいかないので、速攻でスマートスピーカーを買って両方の部屋に設置。

『次にピンポン連打したら、絶対に結婚とかせんけんね!』

と、私から言い渡され、それ以来、おとなしくなってくれてとても助かる。
その代わり、スピーカー越しにうるさいくらい、話しかけられるが。

「いまからそっち、行きますねー」

『うん。
もう朝食もできる』

身支度を済ませてスピーカーへ声をかけ、部屋を出る。
チャイムも押さず、鍵も開けずにドアを開けた。
予告してあるから、すでに開けてあるんだよね、いつも。
でも反対に、私には少しの間でも鍵開けっぱなしは許さないんだけど。

「おはよう、麻里恵」

「おはようございます」

私に口付けする楠木さんからは、いいお味噌汁の匂いがした。

「いただきます」

向かいあって朝食を食べる。
強引に押し切られてから、それが当たり前になってしまった。
だって、自分で作らなくていい、しかも美味しいときたら、……ねえ。

「……おきゅうと、嫌い」

作ってもらって文句はよくないとは思うが、これは苦手なのだ。
食べたのは社会人になって初めての飲み会、食べたことがないという私に、たまたまメニューにあったそれを熊田さんがわざわざ取ってくれた。
興味津々に口に入れたものの、独特のにおいと食感がダメで。
似ているところてんは好きなのに不思議だ。

「博多名物だって聞いたから、博多の人間はみんな好きなのかと思っていた。
……ん、なんか不思議な味だな」

私がよけたそれをひょいひょいと箸でつまみ、楠木さんは食べている。

「私は博多の人じゃないので、おきゅうとなんてこちらに来るまで知りませんでした」

彼はちょいちょい、私を博多の人というが、私は博多の人ではない。
博多は明治維新以前は外様の福岡藩だったが、私の出身地は譜代の小倉藩なのだ。
いまでも別の県じゃないかってくらい、文化が違う。

「面白いよなー。
方言も違うんだろ?」

「違うのでたまに、熊田さんと言葉が通じません」

「同じ福岡県人なのになー」

おかしそうに楠木さんは笑っている。
まあ、他県人からしたらそうですよね。
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