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第14話 お姉ちゃん?
3.お姉ちゃん
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食後はふたりきりで話がしたいという侑岐の希望で、与えられている客間に移動する。
「昨日の話は尚恭おじさまから全部聞いたわ。
……つらかったわね、朋香」
「侑岐さん……」
ぎゅっと侑岐に抱きしめられると、ぽろりと涙が落ちる。
尚一郎との電話で、もう気持ちはすっかり落ち着いたと思っていた。
けれど、改めて侑岐に抱きしめられると、かたかたと細かく手が震えていた。
「我慢しなくていいわ。
思いっきり泣いちゃいなさい」
「……はい」
泣きじゃくる朋香を、侑岐はなにも云わずにぎゅっと抱きしめていてくれた。
それだけで少し、気持ちが楽になった気がする。
「ありがとうございます、侑岐さん」
涙が落ち着いて離れると、そっと侑岐に目尻を拭われてくすぐったい。
「それもこれも、尚一郎の甲斐性なしがいけないのよ。
ねえ朋香。
本気で尚一郎と別れて、私のところのこない?」
心配そうに侑岐の眉根が寄り、両手をぎゅっと握られた。
そんな侑岐の気持ちは嬉しかったが。
「ありがとうございます。
でも、その、私は……尚一郎さんを愛しているので」
口に出すと、とたんに頬に熱が上がっていく。
俯いてしまった朋香に、はぁっと侑岐が呆れたようにため息を落とした。
「相変わらずラブラブなのね。
ほんとに妬けちゃうわ」
「え、えーっと……」
侑岐にぷにぷにと頬をつつかれると、ただ苦笑いしかできなかった。
鏡台の前に座り、泣いてすっかり崩れてしまった化粧を侑岐に直してもらう。
「肌、がさがさ。
髪もぱさぱさ。
顔色だってよくないし。
ちゃんとお肌の手入れ、してたの?
食事は?
睡眠だって」
確かに、鏡の中の自分は酷い顔をしていると思う。
こんな顔を見せたら、尚一郎など卒倒して医者を呼びそうだ。
「荷物、化粧品も全部、没収されちゃったので。
いつも洗いっぱなしにしてました。
石鹸も洗顔用とかないから、身体と一緒に……」
「朋香!
ほんとに酷い扱いを受けてたのね……。
そうだ、明日は一緒に、エステに行きましょう?
思いっきりリラックスして、夜はがっつり肉を食べるの!
栄養つけなきゃ」
侑岐にいい子いい子とあたまを撫でられると、なんだか嬉しい。
まるで……。
「お姉ちゃんができたみたい」
「へ?」
間抜けな顔の侑岐が、鏡の中からこちらを見ている。
「あ、えっと。
……すみません。
でも、なんだかそんな気がしたから」
「朋香のお姉ちゃんかー。
恋愛関係はいつか終わりが来るけど、それならずーっと付き合いは続くからいいかも」
……恋愛関係はいつか終わりがくる。
侑岐の言葉がなぜか、胸に刺さった。
尚一郎との関係も、いつか終わりが来るのだろうか。
「朋香?」
心配そうに侑岐に顔をのぞき込まれ、慌てて浮かんだ考えを打ち消す。
「なんでもないです。
私、弟しかいないから、お姉ちゃんができたとか嬉しいです」
「あら奇遇ね。
私も姉弟、弟だけなのよ。
これがほんと、頼りにならない弟でねー」
笑って侑岐の愚痴を聞きながら、どうしてか心の中はもやもやしていた。
けれど、自分は尚一郎とずっと一緒にいると誓ったのだ。
そんなことはないはずだと、必死で否定した。
「昨日の話は尚恭おじさまから全部聞いたわ。
……つらかったわね、朋香」
「侑岐さん……」
ぎゅっと侑岐に抱きしめられると、ぽろりと涙が落ちる。
尚一郎との電話で、もう気持ちはすっかり落ち着いたと思っていた。
けれど、改めて侑岐に抱きしめられると、かたかたと細かく手が震えていた。
「我慢しなくていいわ。
思いっきり泣いちゃいなさい」
「……はい」
泣きじゃくる朋香を、侑岐はなにも云わずにぎゅっと抱きしめていてくれた。
それだけで少し、気持ちが楽になった気がする。
「ありがとうございます、侑岐さん」
涙が落ち着いて離れると、そっと侑岐に目尻を拭われてくすぐったい。
「それもこれも、尚一郎の甲斐性なしがいけないのよ。
ねえ朋香。
本気で尚一郎と別れて、私のところのこない?」
心配そうに侑岐の眉根が寄り、両手をぎゅっと握られた。
そんな侑岐の気持ちは嬉しかったが。
「ありがとうございます。
でも、その、私は……尚一郎さんを愛しているので」
口に出すと、とたんに頬に熱が上がっていく。
俯いてしまった朋香に、はぁっと侑岐が呆れたようにため息を落とした。
「相変わらずラブラブなのね。
ほんとに妬けちゃうわ」
「え、えーっと……」
侑岐にぷにぷにと頬をつつかれると、ただ苦笑いしかできなかった。
鏡台の前に座り、泣いてすっかり崩れてしまった化粧を侑岐に直してもらう。
「肌、がさがさ。
髪もぱさぱさ。
顔色だってよくないし。
ちゃんとお肌の手入れ、してたの?
食事は?
睡眠だって」
確かに、鏡の中の自分は酷い顔をしていると思う。
こんな顔を見せたら、尚一郎など卒倒して医者を呼びそうだ。
「荷物、化粧品も全部、没収されちゃったので。
いつも洗いっぱなしにしてました。
石鹸も洗顔用とかないから、身体と一緒に……」
「朋香!
ほんとに酷い扱いを受けてたのね……。
そうだ、明日は一緒に、エステに行きましょう?
思いっきりリラックスして、夜はがっつり肉を食べるの!
栄養つけなきゃ」
侑岐にいい子いい子とあたまを撫でられると、なんだか嬉しい。
まるで……。
「お姉ちゃんができたみたい」
「へ?」
間抜けな顔の侑岐が、鏡の中からこちらを見ている。
「あ、えっと。
……すみません。
でも、なんだかそんな気がしたから」
「朋香のお姉ちゃんかー。
恋愛関係はいつか終わりが来るけど、それならずーっと付き合いは続くからいいかも」
……恋愛関係はいつか終わりがくる。
侑岐の言葉がなぜか、胸に刺さった。
尚一郎との関係も、いつか終わりが来るのだろうか。
「朋香?」
心配そうに侑岐に顔をのぞき込まれ、慌てて浮かんだ考えを打ち消す。
「なんでもないです。
私、弟しかいないから、お姉ちゃんができたとか嬉しいです」
「あら奇遇ね。
私も姉弟、弟だけなのよ。
これがほんと、頼りにならない弟でねー」
笑って侑岐の愚痴を聞きながら、どうしてか心の中はもやもやしていた。
けれど、自分は尚一郎とずっと一緒にいると誓ったのだ。
そんなことはないはずだと、必死で否定した。
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