家庭侵略されています!~魔王の逆異世界スローライフ~

霧内杳/眼鏡のさきっぽ

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最終章 最高に幸せそうに微笑みあうウェディングの写真が飾ってあった

4-1

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ベッドでごろごろしながら携帯片手に、ネットをさすらう。

「そう簡単に見つかるわけないか……」

私はいま、ニキのようにこの世界に渡ってきた異世界人がいないか探していた。
もしいたら、向こうの世界へ戻る手がかりがあるかもしれない。
これは砂浜で極小ビーズ一粒を探すようなものだとわかっていたが、それでも旅行から帰ってきてからというもの、暇を見つけては手がかりを求めてネットをうろうろしていた。

「また小説読んでるのか?」

「えっ、あっ」

お風呂から上がってきたニキが枕元に座り、慌てて画面を伏せる。
私がニキをあちらに帰したがっているだなんて、知られるわけにはいかない。

「俺より小説の中の男がいいなんて、嫉妬するな」

からかうようにニキは、額に口付けを落としてきた。

「現実は現実、二次元は二次元だよ」

「それでも妬ける」

不満げに唇を尖らせたニキがおかしくて、つい笑っていた。

「私の旦那様はヤキモチ妬きで困るね」

「うるさいっ」

お風呂から上がってそこそこたっているのに、赤い顔でニキが隣に潜り込んでくる。

「明日のドレス選び、楽しみだな」

「なんで私よりニキが楽しみなのよ」

くすくす笑う私に、ニキはキスしてきた。
新婚旅行のあと、彼は結婚式のプランを調べて私にいくつか提案してきた。
レストランウエディングや流行の邸宅ウエディングもあったが、それらは避ける。
ニキにはこの世界に親兄弟もいないし、結婚式に招待するほど親しい人間がいるわけでもない。
私も交友関係が広いほうでもないので、思い出が作れたらいいんじゃない?と、フォトウェディングを選んだ。

「でもさ、魔族が人間の神様に愛を誓うとかいいの?」

挙式自体はないのでそこはいいのだが、それでも気になる。

「ん?
祀られている神はすべて、魔族の神だからな。
あれらは魔族の神が別の姿で現れているのに過ぎない」

「へー」

そんな都合のいい考え方があるんだ。
面白いな。

「だからどの宗教で愛を誓おうと、俺は魔族の神に誓っているのだから問題ない」

うん、うんとニキは頷いている。
そこまで彼にとって、魔族の神様が絶対なんだって初めて知った。
ならば、なおさら……。

「ほら、そろそろ寝るぞ。
ふたり揃って寝坊なんてできないからな」

「うん、そうだね」

考えていたことに気づかれないように笑って誤魔化し、ベッドに潜る。

「おやすみ、苺」

「おやすみなさい」

私に口付けし、ニキもうつ伏せになって枕に顎を預け、すぐに寝息を立てだした。

「絶対に私が、向こうの世界に帰してあげるからね……」

その寝顔に誓いを口にする。
もっと手がかりを探さなきゃ……。



翌日はフォトスタジオ提携のドレスショップへ行った。

「ど、どうかな……?」

「苺、綺麗だー!」

ドレスに着替えてニキの前に出た途端、彼が突進してくる。
抱きつかれそうになったが、かろうじて押し止めた。

「ステイ!」

「俺は犬か」

不満を口にしながらも、おかしそうに笑いながらニキが離れる。

「いいな、真っ白なドレス」

嬉しそうににこにこしながら、彼は少し離れたところから改めて私を見た。

「似合ってる?」

「似合ってる、似合ってる」

ニキは頷いているが、なんかおざなりな気がする。

「なんか適当に言ってない?」

「……そんなわけないだろ」

気がついたら、彼がすぐ近くにいた。
その手が、私の頬に触れる。
艶やかに濡れた瞳が、私を魅了した。

「あまりにも美しくて、この綺麗な唇に口付けするのを我慢するので精一杯だ」

するりと親指が私の唇をなぞる。

「……帰ったらその分、堪能させてもらうよ」

耳もとで囁いて彼が離れる。
視線を上げて目のあった彼は、右の口端を意地悪く僅かに持ち上げた。
おかげで、顔から火を噴く。

「ほら、他のも早く着てみせてくれ」

「う、うん……」

熱い顔で試着室に戻る。
こんなところであんなことするの、反則。
あとで要注意だな、うん。

三着ほど着て、一番初めのに決めた。
Aラインで、サテンのドレス。
ハートカットのデコルテの上にレースの上着が掛かって長袖なのも可愛いし、スカートの後ろがティアードになっているのが特にふたりとも気に入った。

「ねえ。
魔界の結婚衣装ってどんなのなの?」

スタッフが書類を準備しているあいだ、休憩も兼ねてまったりお茶を飲みながら待つ。

「んー?
花婿はこちらと大差ないな。
花嫁もデザイン的にはそこまで大きな違いはないが、色は深紅だ。
血の色は最も尊い色だからな」

「へー……」

血の色が尊いなんてちょっと物騒……なんて思ったのは黙っておく。
でも、それならなんとかなりそうかな?
「あの、さ。
魔界風の衣装でも写真を撮らない?」

郷に入れば郷に従うもわかるが、ニキはもともと魔界の人。
それに、いまでも魔族の神様を信仰しているようだった。
ならば完璧ではなくても、それっぽい写真くらい撮ってもいいんじゃない?
「あー……」

「カラードレス足すくらいできるよね?
お金足りないんだったら私が出すし」

長く発したまま止まっているニキに、決断を促すように畳みかけた。

「……ありがとう、苺」

こつんと、ニキが肩をぶつけてくる。

「じゃあ、もう一着ドレスを選ぶか」

「そうだね」

目尻を下げて眩しそうに彼が私を見る。
きっとなにも言わなくても、私の考えをわかってくれたんだと思う。

「すみません、……」

スタッフに声をかけ、椅子から立ち上がった。
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