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最終章 心に決めた人
10-9
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――そして彪夏さんとの結婚式がやってくる。
「……なあ。
ここまできてなんだけど、ほんとに俺の作ったドレスでよかったのか?」
着付けが済み、メイクをしてもらう私を健太は不安そうに見ている。
「なに言ってんの、こんなに素敵なドレスを作ってもらって、姉ちゃんは大感激だよ」
「いや、清ねぇはいいかもしれないけどさ……」
健太の口から憂鬱なため息が落ちていく。
今日のドレスは健太が作ってくれた。
彪夏さんから提案されたときは驚いたが、私ももちろん大賛成だった。
健太もノリノリだったが、セレブも出席する本番になって、急に怖じけづいたらしい。
「おっ、清子、綺麗だな!」
私の準備が終わった頃、親類の挨拶回りをしていた彪夏さんが戻ってきた。
「綺麗すぎて神に誓うより先に、この唇に口付けしたい……」
軽く右手で私の顎を持ち上げ、彪夏さんが視線をあわせさせる。
眼鏡の向こうからは艶を含んだ瞳が私を見ていて、心臓がとくんとくんと甘く鼓動した。
「なー、そういうのはふたりっきりのときにやってくんない?」
呆れるような健太の声で我に返った。
健太もだが、メイクさんが気まずそうに目を逸らしていて、いたたまれない。
「こういうときは気を回して出ていくもんだろ?」
「はいはい、そーですか」
彪夏さんの苦情を健太が適当に受け流す。
そういうところ、慣れているなって思う。
「でも彪夏にぃ、本当に俺の作ったドレスでよかったのか?」
「なにか問題があるのか?
こんなに美しいドレスなのに」
不思議そうに眼鏡の奥で、彪夏さんが何度か瞬きをする。
「もーいいよ……」
健太は投げやりな感じだが、彪夏さんは立派な義兄バカだから、そこはもう諦めて。
健太の心配をよそに、式はなんの問題もなく進んでいく。
「永遠の愛を誓いますか」
「はい」
誇らしい気持ちで神に愛を誓う。
私に結婚を申し込んだ日、彪夏さんは私を絶対にひとりにしないと誓ってくれた。
あの言葉に嘘偽りはない。
ならば私も一生、彪夏さんと一緒にいて彼を愛する。
「誓いのキスを」
ベールを上げた彪夏さんの顔が近づいてくる。
目を閉じると唇が重なった。
彼が離れ、瞼を開ける。
目のあった彼は目尻を下げ、本当に幸せそうに笑っていた。
きっと私も今、同じような顔をして笑っているんだろう。
その後も披露宴もつつがなく終わり、今日宿泊のホテルの部屋に入った。
「清子」
ベッドに私を押し倒し、欲に濡れた目で彪夏さんが私を見ている。
「子供が、欲しい」
「私もです」
微笑むと彪夏さんの唇が重なり、そのまま貪り尽くされた――。
――まってたよ。
「……え?」
小さな男の声が聞こえた気がして、目を開ける。
「おはよう、清子」
肘枕で私を見ていた彪夏さんが、私が起きたのに気づいてキスしてきた。
「……おはよう、ございます」
……今の、なんだったんだろ。
夢、かな?
なんか呼ばれた気がしてドアを開けたら、男の子がいて……。
「まだ眠いのか?」
私がぼーっとしているものだから、彪夏さんが声をかけてくる。
「あっ、いえ、なんでもないです」
それに、笑って誤魔化した。
でも、なんとなく自分のお腹に触れてしまう。
……まさか、ね?
【終】
「……なあ。
ここまできてなんだけど、ほんとに俺の作ったドレスでよかったのか?」
着付けが済み、メイクをしてもらう私を健太は不安そうに見ている。
「なに言ってんの、こんなに素敵なドレスを作ってもらって、姉ちゃんは大感激だよ」
「いや、清ねぇはいいかもしれないけどさ……」
健太の口から憂鬱なため息が落ちていく。
今日のドレスは健太が作ってくれた。
彪夏さんから提案されたときは驚いたが、私ももちろん大賛成だった。
健太もノリノリだったが、セレブも出席する本番になって、急に怖じけづいたらしい。
「おっ、清子、綺麗だな!」
私の準備が終わった頃、親類の挨拶回りをしていた彪夏さんが戻ってきた。
「綺麗すぎて神に誓うより先に、この唇に口付けしたい……」
軽く右手で私の顎を持ち上げ、彪夏さんが視線をあわせさせる。
眼鏡の向こうからは艶を含んだ瞳が私を見ていて、心臓がとくんとくんと甘く鼓動した。
「なー、そういうのはふたりっきりのときにやってくんない?」
呆れるような健太の声で我に返った。
健太もだが、メイクさんが気まずそうに目を逸らしていて、いたたまれない。
「こういうときは気を回して出ていくもんだろ?」
「はいはい、そーですか」
彪夏さんの苦情を健太が適当に受け流す。
そういうところ、慣れているなって思う。
「でも彪夏にぃ、本当に俺の作ったドレスでよかったのか?」
「なにか問題があるのか?
こんなに美しいドレスなのに」
不思議そうに眼鏡の奥で、彪夏さんが何度か瞬きをする。
「もーいいよ……」
健太は投げやりな感じだが、彪夏さんは立派な義兄バカだから、そこはもう諦めて。
健太の心配をよそに、式はなんの問題もなく進んでいく。
「永遠の愛を誓いますか」
「はい」
誇らしい気持ちで神に愛を誓う。
私に結婚を申し込んだ日、彪夏さんは私を絶対にひとりにしないと誓ってくれた。
あの言葉に嘘偽りはない。
ならば私も一生、彪夏さんと一緒にいて彼を愛する。
「誓いのキスを」
ベールを上げた彪夏さんの顔が近づいてくる。
目を閉じると唇が重なった。
彼が離れ、瞼を開ける。
目のあった彼は目尻を下げ、本当に幸せそうに笑っていた。
きっと私も今、同じような顔をして笑っているんだろう。
その後も披露宴もつつがなく終わり、今日宿泊のホテルの部屋に入った。
「清子」
ベッドに私を押し倒し、欲に濡れた目で彪夏さんが私を見ている。
「子供が、欲しい」
「私もです」
微笑むと彪夏さんの唇が重なり、そのまま貪り尽くされた――。
――まってたよ。
「……え?」
小さな男の声が聞こえた気がして、目を開ける。
「おはよう、清子」
肘枕で私を見ていた彪夏さんが、私が起きたのに気づいてキスしてきた。
「……おはよう、ございます」
……今の、なんだったんだろ。
夢、かな?
なんか呼ばれた気がしてドアを開けたら、男の子がいて……。
「まだ眠いのか?」
私がぼーっとしているものだから、彪夏さんが声をかけてくる。
「あっ、いえ、なんでもないです」
それに、笑って誤魔化した。
でも、なんとなく自分のお腹に触れてしまう。
……まさか、ね?
【終】
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