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初めまして(3)
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4人は自己紹介を終え、昼食を食べに近くのファストフードの店に行くことにした。
「わ、混んでるね」
「まあ、ここら辺の高校は今日が入学式ってところが多いみたいだしね。浩たち、ちゃんといる?」
「いるぜ、もちろん」
「……」
「津末くん、どうしたの? 具合悪い?」
「あ、寺東さん。大丈夫。こういうお店来るの初めてだから」
「そうなの? フライドポテトおいしいからおすすめだよ!」
「そう。じゃあ、それにしようかな」
「いや、フライドポテトじゃお腹一杯にはならないぞ。ハンバーガーも食え!」
「これ、おすすめ。私はいつもこれ」
「まあ、彩花はお気に入りだよな、それ」
4人は会話しながら順番待ちをして、それぞれが食べたいものを注文し、しばらく店内で話していた。
「なるほどね。そういう勉強方法か。私には無い視点だったな」
「お役に立てて良かったよ」
「本当に感謝! ありがとう!」
「どういたしまして」
「って、勉強の話しかしていないじゃんか! せっかくだから、趣味とか好きなこととかさ。もっと、こう、高校生らしいこと話そうよ!」
「勉強大事だぞ」
「まあ、そうだけどさ。誠一、クールすぎて友達出来ないぞ」
「別にいいよ」
「大丈夫! もう私たちが友達だもんね! ね、杏夏」
「うん。もちろん。津末君、よかったら友達になろう」
「ありがとう」
「よかったな。でも、彩花は俺の彼女だから、絶対に手出すなよ」
「友人の彼女に手出すわけないでしょ。君がどれほど仁志さんのこと好きかさっき聞いたし」
「え、何聞いたの?」
「俺の彼女が可愛すぎる、ほかの男に取られたくないから同じ高校に入った、とかなんとか」
「は、恥ずかしい」
「まあまあ。彩花だって、今日の中角いつもより格好いいって言ってたじゃん」
「あ、ちょと、それは!」
「なんだ、彩花も惚気てんじゃん」
「だって、本当に素敵だったんだもん! で、津末君は?」
「え?」
惚気ていたことを彼氏にばらされて恥ずかしくなった彩花は、ターゲットを誠一に変えた。
「好きな子、とかいないの?」
「僕は、婚約者いるから」
「「こ、婚約者!?」」
「そう。僕婚約者いるらしい」
「そういえば、小学生の頃言ってたな。告白してきた女子に、『僕、婚約者いるから』って」
「そうなんだ。それで、いるらしい、とは?」
「仁志さん、目がキラキラしている」
「あ、ごめん。小学生から婚約者がいるって、珍しいから」
「まあ、そうだよね。詳しくは知らないけど、どこかのお嬢さんとの結婚が決まっているんだ。昔父が言っていた」
「会ったことはないの?」
「ないよ。しかるべき時期に会わせる、と言われた」
「そうなんだ。じゃあ、どういう人か分からないんだね」
「そういうこと。まあ、そのおかげで初恋はまだです」
「そっか。そういえば初恋といえば、杏夏、王子見つかった?」
「王子?」
「あ、いや、初対面の人に話すことではないような」
「何、教えて。僕も話したでしょ」
「そうだよ、それにもしかしたら津末君知り合いかもよ」
「確かにね」
そう言って杏夏は、小学生の時剣道大会で出会った同じ年くらいの男の子の話をした。
「へえ。名前も知らない男の子。漫画みたいだね」
「いや、小学生の時から婚約者がいる、漫画以上に漫画みたいな経験している人に言われても……」
「で、まだ会えないのか?」
「まだ。剣道に興味ないって言ってたし、剣道大会に行ったのはあの時だけだったのかも」
「まあ、そうよね。もし剣道好きだったら大会の時にみかけてもおかしくないものね」
「何か特徴あったの?」
「うーん、つまらないって顔してたくらいしか……。あっ!」
「何、なにか思い出したの?」
「うん。おでこに傷がついてた。小さかったけど特徴のある形してた。風が吹いて見えたわ」
「もー、なんで忘れてたのよ! これで絞れたわね。津末君、おでこに小さな傷がある同じ年くらいの剣道に興味ない男の子のこと、知らない?」
「いや、分からないかな。ほかの人のおでこって基本見ないし」
「そっか、そうだよね」
「彩花、そんなに落ち込まないで。もう素敵な思い出になっているから」
「そう。まあ、杏夏がそういうなら」
杏夏が彩花を励ましている間、浩は誠一に連絡していた。
『なあ、もしかして、その男の子って』
『たぶん、僕。その女の子お母さんに、あんな、って呼ばれていたし。今も剣道強いんでしょ? 出会ったの全国大会だったから』
『そうだよな。でも、なんで言わなかったの? 自分だよ、って』
『別に。そういう目で見られたくないだけ。浩も絶対に言わないでよ』
『分かった。気を付けるよ』
『頼むよ』
しばらくしてファストフード店を出た4人は各々自宅へ帰っていった。
「わ、混んでるね」
「まあ、ここら辺の高校は今日が入学式ってところが多いみたいだしね。浩たち、ちゃんといる?」
「いるぜ、もちろん」
「……」
「津末くん、どうしたの? 具合悪い?」
「あ、寺東さん。大丈夫。こういうお店来るの初めてだから」
「そうなの? フライドポテトおいしいからおすすめだよ!」
「そう。じゃあ、それにしようかな」
「いや、フライドポテトじゃお腹一杯にはならないぞ。ハンバーガーも食え!」
「これ、おすすめ。私はいつもこれ」
「まあ、彩花はお気に入りだよな、それ」
4人は会話しながら順番待ちをして、それぞれが食べたいものを注文し、しばらく店内で話していた。
「なるほどね。そういう勉強方法か。私には無い視点だったな」
「お役に立てて良かったよ」
「本当に感謝! ありがとう!」
「どういたしまして」
「って、勉強の話しかしていないじゃんか! せっかくだから、趣味とか好きなこととかさ。もっと、こう、高校生らしいこと話そうよ!」
「勉強大事だぞ」
「まあ、そうだけどさ。誠一、クールすぎて友達出来ないぞ」
「別にいいよ」
「大丈夫! もう私たちが友達だもんね! ね、杏夏」
「うん。もちろん。津末君、よかったら友達になろう」
「ありがとう」
「よかったな。でも、彩花は俺の彼女だから、絶対に手出すなよ」
「友人の彼女に手出すわけないでしょ。君がどれほど仁志さんのこと好きかさっき聞いたし」
「え、何聞いたの?」
「俺の彼女が可愛すぎる、ほかの男に取られたくないから同じ高校に入った、とかなんとか」
「は、恥ずかしい」
「まあまあ。彩花だって、今日の中角いつもより格好いいって言ってたじゃん」
「あ、ちょと、それは!」
「なんだ、彩花も惚気てんじゃん」
「だって、本当に素敵だったんだもん! で、津末君は?」
「え?」
惚気ていたことを彼氏にばらされて恥ずかしくなった彩花は、ターゲットを誠一に変えた。
「好きな子、とかいないの?」
「僕は、婚約者いるから」
「「こ、婚約者!?」」
「そう。僕婚約者いるらしい」
「そういえば、小学生の頃言ってたな。告白してきた女子に、『僕、婚約者いるから』って」
「そうなんだ。それで、いるらしい、とは?」
「仁志さん、目がキラキラしている」
「あ、ごめん。小学生から婚約者がいるって、珍しいから」
「まあ、そうだよね。詳しくは知らないけど、どこかのお嬢さんとの結婚が決まっているんだ。昔父が言っていた」
「会ったことはないの?」
「ないよ。しかるべき時期に会わせる、と言われた」
「そうなんだ。じゃあ、どういう人か分からないんだね」
「そういうこと。まあ、そのおかげで初恋はまだです」
「そっか。そういえば初恋といえば、杏夏、王子見つかった?」
「王子?」
「あ、いや、初対面の人に話すことではないような」
「何、教えて。僕も話したでしょ」
「そうだよ、それにもしかしたら津末君知り合いかもよ」
「確かにね」
そう言って杏夏は、小学生の時剣道大会で出会った同じ年くらいの男の子の話をした。
「へえ。名前も知らない男の子。漫画みたいだね」
「いや、小学生の時から婚約者がいる、漫画以上に漫画みたいな経験している人に言われても……」
「で、まだ会えないのか?」
「まだ。剣道に興味ないって言ってたし、剣道大会に行ったのはあの時だけだったのかも」
「まあ、そうよね。もし剣道好きだったら大会の時にみかけてもおかしくないものね」
「何か特徴あったの?」
「うーん、つまらないって顔してたくらいしか……。あっ!」
「何、なにか思い出したの?」
「うん。おでこに傷がついてた。小さかったけど特徴のある形してた。風が吹いて見えたわ」
「もー、なんで忘れてたのよ! これで絞れたわね。津末君、おでこに小さな傷がある同じ年くらいの剣道に興味ない男の子のこと、知らない?」
「いや、分からないかな。ほかの人のおでこって基本見ないし」
「そっか、そうだよね」
「彩花、そんなに落ち込まないで。もう素敵な思い出になっているから」
「そう。まあ、杏夏がそういうなら」
杏夏が彩花を励ましている間、浩は誠一に連絡していた。
『なあ、もしかして、その男の子って』
『たぶん、僕。その女の子お母さんに、あんな、って呼ばれていたし。今も剣道強いんでしょ? 出会ったの全国大会だったから』
『そうだよな。でも、なんで言わなかったの? 自分だよ、って』
『別に。そういう目で見られたくないだけ。浩も絶対に言わないでよ』
『分かった。気を付けるよ』
『頼むよ』
しばらくしてファストフード店を出た4人は各々自宅へ帰っていった。
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