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恋人時代
②兄の浮気疑惑(1)
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宗平と幸せな日々を過ごしている間。兄と舞さんはそうではなかったらしい。ある日、舞さんに『いつか時間くれないかしら?』と言われた時、彼女がすごく落ち込んでいたのだ。そして、その週の土曜日に家に招くことにした後、私は兄の観察を始めた。
そして、おかしいことに気がついた。今まで兄は、仕事終わり必ず舞さんと帰っていた。舞さんが変な奴らに声をかけられないように、と言って毎回家まで送り届けていたのに、ここ数日は仕事が終わると『お疲れ様でした! 舞さん、帰り気をつけてくださいね』と言って1人で帰っていく。それに、私の個人的な連絡にもすぐ返事をしてくれていたのに、最近が翌日に返事があることが多くなっていることに気がついた。おかしい。これはおかしい。兄は何かを隠している。それが舞さんへのサプライズプレゼントだと思っていた私は、兄のこの変化をそこまで重大なものだと思っていなかった。
そして迎えた土曜日。宗平にも一緒にいてもらうことにした。約束の時間に現れた舞さんは悲しそうな顔をしていた。
「ごめんなさいね、2人の愛の巣に」
寂しそうな顔をしながらも、いつも通り私たちを揶揄ってきた。少しは元気なのかな、と思ったけれど、そんな恥ずかしいこと言わないでーとも思っていた。
「ったく。俺らの愛の巣に迎えたんだから、どうでもいいことだったら容赦しないから」
ちょ、宗平まで何を言っているの! けれど舞さんが少し笑ってくれたから突っ込めなかった。椅子に座って紅茶を入れた後、舞さんが口を開いた。
「美紗ちゃんに言うのすごく迷ったんだけれど、他に相談できる人いなくて。ごめんなさい」
「いえ、なんでも力になります!」
「ありがとう」
そう言った舞さんはスマホを見せてくれた。そこに映っていたのは。
「え、兄ちゃん?! と誰この人?」
そう。兄が知らない女性と2人で楽しそうにご飯を食べている写真だった。
「この前デートの約束しようと思ったら用事ある、って言われて。いつも断らないのにおかしいなって思って後つけたの。最近、連絡の頻度も減ったし、夜も送ってくれなくなって。不安になって。そうしたら、仕事終わりにこのカフェでこの女の人と楽しそうに話してて。それからも何度か2人が一緒にいるところ見かけて。私年上だから飽きられちゃったのかな」
そういう舞さんは今にも消えてしまいそうで。思わず
「浮気ってこと?! 最悪じゃん!」
と叫んでいた。
「まあまあ。もしかしたら勘違いかもしれないでしょ」
と宗平の冷静な声が飛んできたけれど。そんなわけない!
「勘違い? 私たちは2人兄弟だし、この人従兄弟でも親戚でもないし! 兄ちゃんの卒アル見たことあるけど、こんな人いなかったよ!」
一息にそう言ったら、「……。まじで浮気?」と宗平もショックを受けているようだった。
「私悲しくて。でも本人に聞いて『別れよう』とか言われたらもうやっていけないって思って。それで2人にアドバイスもらおうと思ったの」
そう言った彼女は「急にごめんね」と謝って涙を拭いた。
「ちょっと兄に電話します」
舞さんを泣かせるなんて許せない。ボロを出させて浮気を認めさせてやろう。そして思いっきり怒りをぶつけてやろう。そう思って席を離れた私は、兄に電話を掛けた。兄は思ったよりすぐに出た。
『美紗? 珍しいな、電話なんて』
「兄ちゃんは、舞さんのことどう思っているの?」
『え、大好きだけど。どうした?』
『ごめん、お待たせ、って電話中だった?』
『あ、』
「誰その人! ねえ、兄ちゃん!」
『まあ、とにかく舞さんのことは大好きだから!』
そう言ってプツッと電話が切れた。
嘘でしょ。兄の舞さんへの愛はすごく大きい。というか重い。あの舞さん大好き人間である兄が舞さんを裏切るなんてありえない。浮気をしていると本気で思っていなかったけれど、今の電話でそれが真実だと思わされてしまった。なんと最悪な状況だろうか。
「おかえり」
「舞さん。これから時間ありますか? アホ兄の浮気現場に踏み込みませんか?」
今の電話で兄と浮気相手がどこにいるのか分かった私は(特徴的な音楽が流れている店だった)、今すぐに白黒はっきりとさせたいと思い、舞さんに提案した。
「今から?」
「はい。早い方がいいかと」
「ふふ。そんなふうに真剣に怒ってくれるのね」
「当たり前です! 家族だろうが関係ない。浮気とか最低最悪ですから」
「ありがとう。私は大丈夫よ」
「じゃあ、行きましょう!」
そして急いで3人で兄のいる店に向かった。
そして、おかしいことに気がついた。今まで兄は、仕事終わり必ず舞さんと帰っていた。舞さんが変な奴らに声をかけられないように、と言って毎回家まで送り届けていたのに、ここ数日は仕事が終わると『お疲れ様でした! 舞さん、帰り気をつけてくださいね』と言って1人で帰っていく。それに、私の個人的な連絡にもすぐ返事をしてくれていたのに、最近が翌日に返事があることが多くなっていることに気がついた。おかしい。これはおかしい。兄は何かを隠している。それが舞さんへのサプライズプレゼントだと思っていた私は、兄のこの変化をそこまで重大なものだと思っていなかった。
そして迎えた土曜日。宗平にも一緒にいてもらうことにした。約束の時間に現れた舞さんは悲しそうな顔をしていた。
「ごめんなさいね、2人の愛の巣に」
寂しそうな顔をしながらも、いつも通り私たちを揶揄ってきた。少しは元気なのかな、と思ったけれど、そんな恥ずかしいこと言わないでーとも思っていた。
「ったく。俺らの愛の巣に迎えたんだから、どうでもいいことだったら容赦しないから」
ちょ、宗平まで何を言っているの! けれど舞さんが少し笑ってくれたから突っ込めなかった。椅子に座って紅茶を入れた後、舞さんが口を開いた。
「美紗ちゃんに言うのすごく迷ったんだけれど、他に相談できる人いなくて。ごめんなさい」
「いえ、なんでも力になります!」
「ありがとう」
そう言った舞さんはスマホを見せてくれた。そこに映っていたのは。
「え、兄ちゃん?! と誰この人?」
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そういう舞さんは今にも消えてしまいそうで。思わず
「浮気ってこと?! 最悪じゃん!」
と叫んでいた。
「まあまあ。もしかしたら勘違いかもしれないでしょ」
と宗平の冷静な声が飛んできたけれど。そんなわけない!
「勘違い? 私たちは2人兄弟だし、この人従兄弟でも親戚でもないし! 兄ちゃんの卒アル見たことあるけど、こんな人いなかったよ!」
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「私悲しくて。でも本人に聞いて『別れよう』とか言われたらもうやっていけないって思って。それで2人にアドバイスもらおうと思ったの」
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「ちょっと兄に電話します」
舞さんを泣かせるなんて許せない。ボロを出させて浮気を認めさせてやろう。そして思いっきり怒りをぶつけてやろう。そう思って席を離れた私は、兄に電話を掛けた。兄は思ったよりすぐに出た。
『美紗? 珍しいな、電話なんて』
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『あ、』
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そして急いで3人で兄のいる店に向かった。
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