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第二章
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「シャーナとメアリーのお父さんは、大魔王の権能によって、悪魔となった。恐らく、もう元に戻すことはできない」
────もう、戻せない。
その言葉を聞いた私は、咄嗟にメアリーの顔を見たくなる。何故だかは、分からない。それでも、見たくなった。
……ああ、そうか。
彼女が悲しみ、苦しんでないかを…私は確認したかったのだ。
だって、メアリーはまだ幼く、私の可愛い妹なのだから。
…しかし、私の妹は大人であった。
「シャーナお姉ちゃん」
刹那、メアリーが私の肩をポンポンと、叩く。彼女のその小さな手は、微かに震えていた。
それでも、彼女の瞳は覚悟で満ちていた。まるで、私がどのような選択をするべきか知っているかのように。真っすぐな瞳だった。
そんなルビーの宝石のような色の瞳で、彼女は私の耳元でこう囁く。
「今度こそは、大切な人を一緒に守ろうね。"アンナ"……ね?」
アンナ・ロード。
それが、私の前世の名前。
思えば、マーガレットもメアリーと同じように泣き虫だった。でも、マーガレットは大切な人の死によって変わった。
それと同じように、メアリーも変わったのだろう。恐らく私の断片的な記憶しか覚えてないであろう彼女が。
そして、私の前世の名を知る彼女の声は………どこか私のかつての親友マーガレットを思い出させてくれた。
────まさか、本当に彼女がマーガレットだったなんて。
そして、それがたとえ偶然だったとしても。
私は、その偶然を作ってくださった神様に感謝する。
だって、私は………もう一度、マーガレットを。
メアリーを。
守ることが出来る。
そして、お父さんだって、守りたい。
私は欲張りだから、全部守りたいんだ。
だから、私はグルーシャさんに対して、一歩前に出て言う。
私がこの世界で守りたいもの、その全てを守る…そんな決意の言葉を。
「それでも構いません。今は見つけられなくても、これから見つけてみせます。グルーシャさん、私は私の大切な人を全て救いたい。だから、私達を新大陸に連れて行ってください」
「………覚悟は、あるんだな? 口先だけではないんだな?」
「はい。もちろんです」
────分かっている。分かっているとは言ったけど、今の時点で、これは完全に私のエゴ。
あくまで今の時点では、みんなを守りたい願いも、お父さんを救いたいという願望も、全て私の口先だけのエゴに過ぎない。
でも、それで良い。
今だけは偽善者でも良い。
最初は偽善者でも、その偽善が純粋な善行へと変貌し、最後には世界を救うことだってある。
だから、今の私は、少なくとも偽善者ではありたい。
みんなを守るために、その口約束をして、それを絶対に死ぬつもりで守る。
私はただの偽善者にはなりたくない。
みんなを救う。その口だけの善を、いずれ本当の善行として実行したいから。
だから、この物語は、私が口だけの偽善者から、みんなのヒーローになるまでの物語。
****
【新大陸の最大勢力"楽園教"】
──── 楽園教の教祖にして大魔王である私は、部下の"傲慢"と情報共有をしていた。
「こうして、シャーナ、エリュガード、メアリー、そしてエルザの4人は大海賊団シーガレオの海賊船に乗ることになった。そして、彼女達を待ち受けているのは、困難な旅路である。…といったところかな? 傲慢の罪ケイン。今のお前の娘達の状況は」
私のその言葉に、ケインはにこやかな笑顔を見せる。
私の大好きな"裏のある笑顔"だ。
「はい! まさに困難な旅路ですよね!! 俺たちのいる新大陸に辿り着けるなんて馬鹿らしい!!!辿り着いたところで我々七つの大罪のうち数体の力だけで完封できるでしょう!!!」
「そうだな」
私は上機嫌で、そう相槌を打つ。
やはり、この男こそ……私の駒に相応しい。
────ケイン・ロビンソン。
彼の才覚の真骨頂は、昔からの魔術の才能ではない。
むしろそれは、異常なほどに高い魔剣との適合度にある。
そもそも、魔剣は悪魔しか扱えず、その悪魔の中でも適合者と非適合者がいる。
そして、この男は私が今まで見てきた適合者の中で、最高位の適合度を示していた。
────心の底から思う。彼が死ぬ直前に、治療と洗脳ができて本当に良かった。
彼の存在は、私の計画にとって必要不可欠だ。
だからこそ、ますます強くなってほしい。
強者を倒し、その魂を喰らうことで、もっと私の役に立て。ケイン。お前には、心の底から、期待しているからな。
「あの~。大魔王様。そろそろ公会議の準備が出来たようですよ」
私がそんなことを考えていると、七つの大罪のうち"暴食"の女悪魔であるエリーゼのおっとりとした声がする。その言葉とともに、私達3体の悪魔がいる個室の後ろの大扉が開く。その大扉の音はギギギッと耳障りの悪い音だったが、私の気分はそんなに悪くなかった。
私は窓辺の玉座から立ち上がり、円卓の間に向かって、背中のローブを振り払う。
ローブが地面に落ちると同時に、私達は歩みを始める。
そして、眩しい太陽の光が射すこの部屋で、私は彼らを激励し、指揮を高める。
「では、行くぞ。ケイン。エリーゼ。第257回新大陸公会議の時間だ」
────鳴り響く拍手と鳴り止まない歓声。
それらの音と共に、私達は各々の席に着く。
こうして、今月も楽園教による楽園教のための公会議が始まった。
────もう、戻せない。
その言葉を聞いた私は、咄嗟にメアリーの顔を見たくなる。何故だかは、分からない。それでも、見たくなった。
……ああ、そうか。
彼女が悲しみ、苦しんでないかを…私は確認したかったのだ。
だって、メアリーはまだ幼く、私の可愛い妹なのだから。
…しかし、私の妹は大人であった。
「シャーナお姉ちゃん」
刹那、メアリーが私の肩をポンポンと、叩く。彼女のその小さな手は、微かに震えていた。
それでも、彼女の瞳は覚悟で満ちていた。まるで、私がどのような選択をするべきか知っているかのように。真っすぐな瞳だった。
そんなルビーの宝石のような色の瞳で、彼女は私の耳元でこう囁く。
「今度こそは、大切な人を一緒に守ろうね。"アンナ"……ね?」
アンナ・ロード。
それが、私の前世の名前。
思えば、マーガレットもメアリーと同じように泣き虫だった。でも、マーガレットは大切な人の死によって変わった。
それと同じように、メアリーも変わったのだろう。恐らく私の断片的な記憶しか覚えてないであろう彼女が。
そして、私の前世の名を知る彼女の声は………どこか私のかつての親友マーガレットを思い出させてくれた。
────まさか、本当に彼女がマーガレットだったなんて。
そして、それがたとえ偶然だったとしても。
私は、その偶然を作ってくださった神様に感謝する。
だって、私は………もう一度、マーガレットを。
メアリーを。
守ることが出来る。
そして、お父さんだって、守りたい。
私は欲張りだから、全部守りたいんだ。
だから、私はグルーシャさんに対して、一歩前に出て言う。
私がこの世界で守りたいもの、その全てを守る…そんな決意の言葉を。
「それでも構いません。今は見つけられなくても、これから見つけてみせます。グルーシャさん、私は私の大切な人を全て救いたい。だから、私達を新大陸に連れて行ってください」
「………覚悟は、あるんだな? 口先だけではないんだな?」
「はい。もちろんです」
────分かっている。分かっているとは言ったけど、今の時点で、これは完全に私のエゴ。
あくまで今の時点では、みんなを守りたい願いも、お父さんを救いたいという願望も、全て私の口先だけのエゴに過ぎない。
でも、それで良い。
今だけは偽善者でも良い。
最初は偽善者でも、その偽善が純粋な善行へと変貌し、最後には世界を救うことだってある。
だから、今の私は、少なくとも偽善者ではありたい。
みんなを守るために、その口約束をして、それを絶対に死ぬつもりで守る。
私はただの偽善者にはなりたくない。
みんなを救う。その口だけの善を、いずれ本当の善行として実行したいから。
だから、この物語は、私が口だけの偽善者から、みんなのヒーローになるまでの物語。
****
【新大陸の最大勢力"楽園教"】
──── 楽園教の教祖にして大魔王である私は、部下の"傲慢"と情報共有をしていた。
「こうして、シャーナ、エリュガード、メアリー、そしてエルザの4人は大海賊団シーガレオの海賊船に乗ることになった。そして、彼女達を待ち受けているのは、困難な旅路である。…といったところかな? 傲慢の罪ケイン。今のお前の娘達の状況は」
私のその言葉に、ケインはにこやかな笑顔を見せる。
私の大好きな"裏のある笑顔"だ。
「はい! まさに困難な旅路ですよね!! 俺たちのいる新大陸に辿り着けるなんて馬鹿らしい!!!辿り着いたところで我々七つの大罪のうち数体の力だけで完封できるでしょう!!!」
「そうだな」
私は上機嫌で、そう相槌を打つ。
やはり、この男こそ……私の駒に相応しい。
────ケイン・ロビンソン。
彼の才覚の真骨頂は、昔からの魔術の才能ではない。
むしろそれは、異常なほどに高い魔剣との適合度にある。
そもそも、魔剣は悪魔しか扱えず、その悪魔の中でも適合者と非適合者がいる。
そして、この男は私が今まで見てきた適合者の中で、最高位の適合度を示していた。
────心の底から思う。彼が死ぬ直前に、治療と洗脳ができて本当に良かった。
彼の存在は、私の計画にとって必要不可欠だ。
だからこそ、ますます強くなってほしい。
強者を倒し、その魂を喰らうことで、もっと私の役に立て。ケイン。お前には、心の底から、期待しているからな。
「あの~。大魔王様。そろそろ公会議の準備が出来たようですよ」
私がそんなことを考えていると、七つの大罪のうち"暴食"の女悪魔であるエリーゼのおっとりとした声がする。その言葉とともに、私達3体の悪魔がいる個室の後ろの大扉が開く。その大扉の音はギギギッと耳障りの悪い音だったが、私の気分はそんなに悪くなかった。
私は窓辺の玉座から立ち上がり、円卓の間に向かって、背中のローブを振り払う。
ローブが地面に落ちると同時に、私達は歩みを始める。
そして、眩しい太陽の光が射すこの部屋で、私は彼らを激励し、指揮を高める。
「では、行くぞ。ケイン。エリーゼ。第257回新大陸公会議の時間だ」
────鳴り響く拍手と鳴り止まない歓声。
それらの音と共に、私達は各々の席に着く。
こうして、今月も楽園教による楽園教のための公会議が始まった。
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