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第2章〜踏みしめる新世界〜

ヴァンドラを支えし者

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「とりあえずこれから先の事について話し合わないか?」

「ヴァンドラ様の意見に同意します」

「まずは聞きたい事があるんだがいいか?」

「えぇ。なんでしょう」

「シルビアってこれまでのヴァンドラに従ってきたんだよね?ヴァンドラのスキルの説明とかできるかな?」

一瞬にんまりするシルビア。
「お任せ下さい。まずは名付けネーミング。これに関しては単純至極、名を持たぬ者に名前をつけることができます。またその際にヴァンドラ様の魔力を授けるので特異なスキルを手に入れたり進化したりする事が有ります」

「スキルを手に入れるのは何となくわかるけど進化って何だ?後魔力を授けるって事は限度があるのか?」

「はい。進化とはそのものが種族としての強者という枠から外れ独立した種族となる事です。例を挙げますと私も始祖は“エンプーサ”という種族でしたが今は“イグニ”という種族として独立しております。魔力についてですが名付けネーミングは魔力の総量を渡すわけでは無く魔力を使用するだけなので時間を置けば使用した魔力は元に戻ります」

名付けネーミングすることによって
強くなるならどんどん仲間見つけて
名付けネーミングしたら強くないか?
制限はあっても上限ないみたいだし!

「じゃあ仲間になりそうな奴は名前を付けてけばどんどん強いチームが作れるんじゃないか?」

「それには賛同しかねますね。名付けネーミングしてから裏切られては困りますし徒に使用するべきではないかと。また魔力回復も数日かかる場合もありますしその際魔力を使うスキルが弱体化しますので推奨できません」

「あぁそうか、他のスキルとか魔法とかが使えなくなったりするのか。」

「御納得頂けて幸いです。では次のスキル魔力防壁ですがこれも単純です。魔力によりヴァンドラ様の体を守ることの出来るスキルです」

「あぁそれでヴァン…ヘルシャフトさんはあの火の中無傷だったのか!」

「火の中って…何をしたんですか……。ともかく魔力防壁ある限りヴァンドラ様の魔力以下のスキルにより傷つくことはほぼありません。さらに…」

ん?シルビアが一瞬で消えた?
ってうおっ!

キイイィン!!
とフューゼの首元から音が鳴る。
そこにはシルビアに突き付けられたナイフ。

「この様に常時発動しているので御安心を。ただ魔力が切れていたらこの力は発動しませんのでお気をつけ下さい。あくまで現在の魔力以下のスキルなどを防ぐだけなので」
ナイフをしまうシルビア。

「……もし今魔力切れてたら死んでた?」

「いえ、この“ただのナイフ”であれば魔力無くともヴァンドラ様は傷つかないです。がスキルを付与された武器であったり武器にまつわるスキルを使われたら厳しいですね。なのでお気をつけ下さい」

魔力は便利そうだけど使いすぎると
魔力防壁なくなるのか……。

「まぁ名付けネーミングの場合消費量と相手に魔力を馴染ませるのに時間がかかるので気をつけて頂きたいですが他のスキルは基本即回復出来るレベルなので御安心を」

「そうなのか……肝に銘じておくよ。」

「ありがとうございます。次は眷属契約ですが私共が使う眷属契約とは訳が違い眷属を召喚して契約するのでは無く目の前の者を眷属にしてしまいます。眷属は主人に忠誠を誓う者。基本名付けネーミングとセットで使う事をオススメ致します」

え?目の前の者を眷属にってことは…
最強じゃね?帝国だっけ、そこの偉いやつ
眷属にしちゃえば勝ちなんじゃないの?

「……お伝えしておきますが強力な分制約もあります。まずは相手の同意が必要。そして相手に契約印として魔力を込めた牙で噛み付いて頂く必要があります」

「色々条件があるんだな。」

「えぇ。ですがこの契約を結んだ眷属はいつでも召喚できるようになります。非常に便利ですよ」

条件相応のスキルってことか。
まぁもし噛まれてでも仲間になりたいって
奴がいたら使えばいいのか。
……そんな奴いるのか?

「それでは最後夜王解析スティーライズについて。これも条件少し厳しいですが強力なスキルです。相手の首元に噛み付く事によってその者のスキルを解析します。そして可能であればそれを使用する事が可能でございます。」

「おぉ、めちゃくちゃ便利だな。シルビアの首少し噛ませてよ。」

「えぇ!?いや!その……嬉しいですが!私のスキルはユニークスキルといって……!その、珍しいスキルなので噛んでいただいても使用は出来ないんです……!」

そうなのか。残念。
というか少しからかってみただけなんだが
シルビア面白いな…。

「ねぇー!終わったー?」

「あっ、アリスにも質問何だがアリスもスキルあるの?」

「えっ!うーん、あるのはあるけど……」

「教えてくれ。どんなスキルなんだ?」

あれ?うつむいちゃったな。
どうしたんだ?

「アリス?」

「言わなきゃ……ダメかな?」

「まぁ仲間の事は知っときたいしね。頼むよ」


「えと……。私のスキルは性遊戯メイクラブっていって…。契りを交わした相手のスキルを奪う事ができるんだけど……。」

「スキルを奪う!?めちゃくちゃ強いじゃん!その契りってのは?」

「わ、私種族はサキュバスって話したよね?だから……その…ね、え、えっちな事をすれば……」

「そ、そうだったのか、ごめんな。ちなみに仮にだな、仮に俺とアリスが契りを結んだらどうなるんだ?」

「ヴァンドラ様!」

「い、いや普通に気になっただけだよ!落ち着いてシルビア」
そ、そんな怖い目しないでいいじゃん。
なんでこんなに怒るんだ……。

「それで、どうなるんだ?」

「うーん……ごめんねフュゼ様、わかんない」

「わかんないって?」

「実はこのスキル使ったことないの。私サキュバスだけど、その、したことないから……」

なんだって……!?
こんな格好してるサキュバスが
まさかそんな……!!

「アリス……実験なんだけd『ヴァンドラ様…!』」

怖ぇよシルビア。
目付きがマジだよ。魔力防壁なかったら
死んでるよ。


とりあえずスキルについてまとめておこう。
“名付け”ネーミングは名前をつけるスキル。
それによって魔力を
一時的に渡すから多用禁止。
でも名持ちネイヴァーとなった時に
スキルを得たり進化する時もある。

“魔力防壁”はかなり強いし自動発動してる
シールドみたいなもの。
魔力無い時には発動しないから
そこは気をつけるべき……。

“眷属契約”は条件さえ整えば
誰でも眷属にできてその上召喚までできる。
これはぜひ使いこなしたいな。

“夜王解析”スティーライズ
首元に噛み付くことで相手のスキルを
把握したり使えるようになる……。
もしスキル持ちの敵が現れた時には
何としても使いたいな……。

あっ、そういえば

「シルビア、ちょっといいか?」

「……なんですか?」

「“詠唱破棄”ってわかるか?俺それ持ってるらしくてな。ヘルシャフトさんが言ってた。」

「詠唱破棄……!?」

なんか驚いてるみたいだな。
珍しいんだろうか。

「詠唱破棄はある一定の魔法を何百何千……いや何万と使い続け魔力の定着、具現化をスムーズに行うことが出来るようになりその魔法でのみ行う事ができる詠唱省略の事ですが……」

「うーん……魔法自体初めて使ったというかヘルシャフトさんに習った時にできたんだけど……。」

「そんな……!!もしかするとヴァンドラ様はそもそものスキルとして詠唱破棄を持っていらっしゃるのかもしれないですね……。それも恐らく多くの魔法に適応できるものを…」

「えぇと……それってすごいのかな?」

「それはもう……。とりあえず戦闘では大幅に有利になり得るスキルですね……。今度魔法の練習を致しましょう」

何だかわからんが
とりあえず強いってことか。
魔法使いたかったし
練習してくれるなんてラッキー!
早く練習したいな!

「あの……ヴァンドラ様…。説明も終わりましたのでスキルの実演…といいますかお一つ試してみませんか?」
もじもじするシルビア。

「ん?魔法の練習か?ここで始めるのか?」

「い、いえそうではなくですね」

「え?じゃあなんのスキル?」

「け、“眷属契約”を試しましょう」

「眷属契約?誰に?」

「わ、私イグニ・シルビアに眷属契約をお願い致します」
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