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第3章〜幻想都市グリーディア〜

クタール博士

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「ようこそ僕のテントへ。さぁかけたまえ。」
クタールが四角い物体に催促する。

「あぁ、ありがとう……っ!?」

なんだこれ!?ぶにぶにしてるぞ!

「ハハハッ、驚いているね。珍しいだろう?“モリナマコの椅子”だよ。」


「モリナマコ!? 」
シルビアは感触が嫌だったはず……。
あぁすごい顔してるな。


「さて、何から話そうか?」

「まずはあの子達について教えてくれ。」


「さっきからそればかりだね。まぁ気になる気持ちはわかるけども。」

「教えてくれ。」

「では説明しよう。彼女達、まぁ検体AとBは僕の作り出した合成生物キメラさ。」

合成生物キメラ……?」

「そうさ。僕は物心ついた時からこの新たな生き物を作る力に興味があってね。まぁ僕の国では命を扱う力だから禁忌だったんだけど習得しちゃったんだよね。生き物と何かを合成する力、禁忌“命遊び”フィジィオン・メイクを。」

「あなたがあの禁忌を破った… 」

「シルビア、知ってるのか?」

「はい。聖都で禁忌破りがあり国外追放された者がいると聞きました」


「あぁ、それ僕。それでたまたまこの国に寄った時に国王に気に入られてね。国の発展にも力を使ってくれれば匿うと言ってくれたのさ。」

「じゃああの子達は奴隷ということか?」


「いやいや、それは違うよ。あれは僕の趣味なんだ。内臓吐くし可愛いだろう?あれはね、獣人族とモリナマコの合成生物キメラなんだ。」

「獣人族とモリナマコ!?」
…だからさっきシルビアに正解だと言っていたのか。
あの内臓吐いたのは
モリナマコのスキルを使っていたんだな。

「僕はモリナマコが好きでねぇ。内臓を吐くところが最高にしびれるじゃないか。美味しいしね。それを獣人族の見た目にしたらすごくイイと思ってね……。小さくて可愛い人型の生物が内臓をぶちまける……美しいじゃあないか!!」

「……おう。」
やばいぞこの人。
普通じゃないかもしれない。

「ただね、失敗だったんだ。獣人族特有の耳は生えなかったし人型で歯が少し尖ってるモリナマコになってしまってね。内臓だけは獣人族になっちゃって食えたもんじゃないよあれは。」

「食べたのか……。」

「そりゃ食べるでしょ。まぁあの子達はそういう事だよ。他に質問は?」

「王に会いたいんだが今どこにいるかわかるか?」

「うーん今はわからないけど2時間後王様に献品しにいくからその時一緒にいこうか?」

「いいのか?」


「いいよ。ただし……。その獣人族を見事当てた子と2時間話をさせてくれないかな?」

「え!?私ですか!?」
嫌そうな顔をするシルビア。

「……話だけならいいが実験や禁忌はさせないぞ?」

「えーダメなのか……。この子が内臓吐くところみたかったんだけど……。」

「ダメだ。そんなに内臓みたいなら……。」

ごぽごぽっ…。フューゼの体内から音が鳴る。


初めて使うけどまさか使い所が
こんなに早く来るなんて思わなかったな。
身体の中が剥がれていく感じがする。
……いけそうだ。

「……臓物の雨ジブレイン。」

どしゃあぁぁっ!
フューゼはクタールに向かって内臓を吐き出した。

……内臓吐くからどうなるかと思ったが
超回復のせいかすごくスッキリするなこれ。


呆気に取られるクタール。
「……素晴らしい!!君はなぜ内臓を吐けるんだい!?」

「まぁ色々あってな。」

「それに……魔力がこもってて食べるだけで力が出てくるよ……そして美味い、美味すぎる!今なら何でも作れそうだ! 」

ぐちゃぐちゃとフューゼの内臓を喰らいだしたクタール。


さすがに自分の内臓を目の前で食べられるのは なんとも言えない気持ちだな。
某パンのヒーローはすごいな顔あげてるんだもんな。

「じゃあ2時間後に頼んだぞ。」

「待って!これもっともらえないかい!?」

「今はダメだ。後々の結果しだいだな。」

「わかったよ……!任せてくれたまえ!!」

「シルビア、悪いが会話だけだったら付き合ってあげてくれ。王に会うためだ。」

「う、わかりました……」

「さぁ、では獣人族のよさと内臓について語り合おうではないか!」


生き生きする内臓まみれの
クタール博士をおいて
フューゼはアリスの元へと戻った。
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