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第5章〜聖都スノーフィス〜

謁見許可

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スノーフィス……。
港だけでも相当な大きさだ。

「では向かいましょうかフューゼさん」

「あ、待ってくれ。レベッカに到着した事を報告しておく。」
ホープの名付けネーミングの件
それからスノーフィスに着いたことと
途中でベロウズにあった事。
そして何が起こったかを魔力に乗せ
思念鉱石トランストンを振るフューゼ。

そしてすぐさまにレベッカからの返事が届く。

─フューゼ、まずは弟の件感謝しよう。
ブラーゼ・ホープ……。いい名だ。
スノーフィスにもついて何よりだが
あのベロウズに会ったのか!?
誰1人として死んでないのは奇跡に近い。
……悪いが一緒に行動してる間だけでいい。
キャラットを守ってやってくれ。

レベッカの思いを受け取り思念鉱石トランストン
しまうフューゼ。

「よし、行くか。」

船から錨も縄はしごも降ろし降りる一同。
今回もホープは船番をする事になった。

下に降りると、槍を持った大柄の男が待っていた。
「グリーディアの使者よ、よくぞ来た。」

「ありがとうございます。今回のグリーディア代表、メル・キャラットです。よろしくお願い致しますね」
キャラットが名乗ると目を大きく開く大男。

「おぉ。今回は重鎮メル・キャラット様直々に来て下さったのですな!御挨拶遅れ失礼した。我が名はハウナズオ。スノーフィスで防衛憲兵を纏めております。以後お見知りおきを。対談にすぐに向かわれるなら連絡致しますが……。」
ちらりとフューゼ達を見るハウナズオ。

「その者達は何者でしょう?どうもグリーディアの者の風貌には見えませぬが。」

「彼等は王への謁見を希望しております。一緒に対談させて頂けないでしょうか?」

「ぐぬぅ……。彼等の目的は何でしょう?」

「渡航許可です。彼等には恩がありますので私の顔を立ててもらえませんか?」
一考するハウナズオ。

「渡航許可のみですぐに終わるならば恐らく問題は無い。しかしこちらからも条件を出させて頂きたい。」

「……条件とは?」

「私を含めた数名を対談室に同行させて頂きたい。メル・キャラット殿を疑う訳ではありませんが時代が時代なので御理解頂きたい。」

「了承致します。こちらの無理なお願いを聞いて頂き感謝致します」

「いえいえ、こちらも彼等が去った後まで対談室に滞在するような無粋な真似は致しませんのでご安心下さい。では向かうとしましょう。」 

……スノーフィスのやつ悪そうには見えないな。
独立派セリアスのグリーディア相手にも
敵対したり傲慢な対応しないんだな。

「フュゼ様?みんな歩き出したよ?行かないの?」
考え込むフューゼに声をかけるアリス。

「ん?あぁ悪い!考え事してた!ありがとうアリス!」

「えへへ!どういたしまして!」

こうして一同はハウナズオに先導され
一切の問題無くスノーフィスの謁見の間に通された。
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