転生魔女は悠々自適に世界を旅する

黛 ちまた

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双子魔女の旅立ち

人は簡単に変わらないけど、成長はするかも?

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 結論。浮いてても地形の影響を受けるってことで馬車が揺れる! 魔女馬車のサスペンションをもってしても、地形によるデバフは無効化できないもよう。
 お母さんから乗り物酔い用の薬もらっておいて良かった……調薬に関心持ってみようかと思ったりもしたけど、きっと長続きしないだろうから、お薬を買うお金を稼ぐ方向でいきたいと思います。魔女のくせに薬作れないのかよとディスっていただいていいです、やりたくないもんはやれないのさ!
 それにエレンから聞いた魔道具の存在もあるし、改良の余地はあるのではと思ってる。

 ファゴットが寝ている間に馬車を進めていてくれていたからまだ平気だったけど、途中で大きく揺れて目が覚めてしまったよ……。そこから眠れなくなったから、シルルを手伝ってファゴットに感謝のお茶を差し入れた。ファゴットは蜂蜜が好きだから、蜂蜜の入ったクリームをサンドしたクッキーとかも喜ぶ。
 なお、エレンは熟睡中です。強い。

 ダイニングの窓から外を眺める。
 馬車本体は発光していないし、馬車内の光は外に漏れないから、外から見たらファゴットの青い炎だけがぼんやり見える状態。
 窓の外は暗くてよく見えないけど、そのぶん星が見える。この世界にも星図とかあるのかな。

 シルルが私用にホットミルクを入れてくれた。

「ありがとう」

 にこ、と小さく微笑むシルルは可愛いです。シルキーの外見は儚げな美少女なのです。それが屋敷を出た途端に死人が出る家の前で血の涙を流して泣き叫ぶバンシーになるんだから謎。何があった?
 キトラとシュナは子犬姿のまま私の隣で丸くなってる。コブタスライム? スライムコブタ? のトトはシルルからもらった料理(?)の余りをもらって美味しそうに食べてる。可愛い。

「シルルは今日も料理の仕込みなんだね」

 嬉しそうにシルルは頷いた。
 魔女馬車のキッチンは実家のキッチンと違ってシルルのために用意したもの。自分だけのキッチンが嬉しくてたまらないのだと思う。喜んでもらえて私達も嬉しいよ!
 
 時折自分の部屋にある椅子でお休みしているみたいだけど、シルキーも妖精なので基本寝ない。なのでシルルもファゴットと同じで夜中でも起きて掃除や料理、針仕事をしていたりする。仕事というより趣味、生き甲斐みたいだから止めないけども。

 前世、年を追うごとにさまざまなことに興味を抱いたけど、これだけは! というものはなかった。出会えなかったのか、なかったのかは分からない。だから何かに夢中になる人が羨ましかったし、応援していた。好きなことに全力投球できるのは幸せなことだと思う。
 今生で何かに出会えるかな。この世界に生まれてまだ十二年。ありがたいことに寿命がないというこの肉体。色んなことに挑戦して、好きになったり飽きてみたりしてみたい。

 シルルが私にもクッキーをくれた。ぅわー、夜中のハニークリームサンドクッキーとか背徳感あるー! でも食べちゃう!
 今生でもできないことはいっぱいあると思うけど、前世みたいにどうせ無理だからと思わずに挑戦してみたい! けどきっとしないな! 人はそんな簡単に変わらんのじゃ! 前世の記憶やらなんやら引きずってるのに真逆のことができるわけない!
 でもちょっとだけがんばってみたいって思う自分もいるから、前世の自分と今世の自分は同じであって同じじゃないんだと思う。たとえ記憶や感情を引き継いでも、私は新しい私になれる、かも?

「ズルい」

 二個目のハニークリームサンドクッキーに手を伸ばそうとしたら、鋭い視線と言葉が飛んできた。エレンちゃん、起きたのね。

「私も食べたい!」

 君、目が覚めちゃったんじゃなくて、クッキー食べたいだけだな?
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