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双子魔女の旅立ち
またね、フュリンガー!
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移民問題が解消され、かつ季節は秋。
領都の食料品店は秋の味覚大売り出しだった。
ニルアインワからもぎ取った森から収穫したものが出回ってるみたい。森は資源の宝庫だよね!
エレンは本屋へ。ファゴットはむくつけき男になってシエを連れて地図作りの完成に向けて燃えてる。
私は特にやりたいこともなかったから、キトラとシュナを連れて山に行き、噂のキノコ採取に。これはちゃんとエレンに許可を取ってます。収穫したキノコはお母さんに送って、残りは我らが美味しくいただく予定。
馬車より天狼のほうが当然揺れるけど、速さにひょええああぁぁぁ! となってる間に到着した。当然無事じゃないので、しばらく休憩した……げっそり。
三十分程休憩し、なんとか生き返ったのでキノコを捜索。
魔法と鑑定リング様々である。いやほんと、キノコはヤバいからね。
アンズタケやキンチャヤマイグチ、ハナイグチ、ツクリタケもたっぷりあったので、たっぷりいただいた!
キノコのクリームシチュー食べたーい!!
そして目標のパイン・ボリートを発見! ポルチーニの一種で、この山にしかないという奴。前世、山か里かで紛争になったキノコに似てる。
この山にしかないということなので、取り過ぎはあかんよね、と思って収穫はほどほどにしておいた。
マジックバッグに入れて、じゃあ帰るか! となって思い出す。だから、また酔うじゃん……。
馬車の二階の居間で休んでいたらエレンが帰ってきた。
二階に上がってきた時のほくほく顔からして、気にいるものが見つかったもよう。良かったね。エレンは本好きなので馬車での移動中や寝る前なんかに読んでる。
「おかえり」
「ただいまー」
「いいのあったー?」
「あった!」
マジックバッグからいそいそと本を取り出す。……えー? 随分買ったね? これ、もはや鑑定リング諦めてるな。いいけど。
私はカメラを買うぜ。
「キノコいっぱい採ってきてくれてありがとう」
「うん。ただ酔ったよ」
「直線距離で登れないくらい急斜面だもんね。お疲れ様」
「アレはやっぱりなんとかしたい」
天狼に乗ってる時は仕方ないにしても、せめて馬車だけでもなんとかしたい!
「旅立ち前に食糧の買い出しとクルックさんの所に行こう」
「うん、そうしよう」
紙のことは忘れてたけど、旅立つ前にクルックさんに挨拶することは忘れてないよ!
連日日用品や食糧をたっぷり買い込んだ。また旅が始まるからね。大事です。この前の特別依頼の報酬、思った以上に凄かったし。
そうそう、ギルドでフレディさんの紹介状をもらった。これでマルングリティの凄腕(?)魔道具師に会えるぞ!
買い出しの最後にクルックさんのお店に行ったら賢者くんがいた。
「おっ、英雄のご帰還じゃん」
「英雄?」
誰のこと?
「六つの村を奪還して、領地を守る防壁を作ってくれた双子の魔女は今じゃ領民にとって英雄扱いだぞ?」
「なにそれ逃げたい」
「なるに決まってんじゃん」
そう言ってケラケラと賢者くんは笑った。
ところで肩に乗ってる生き物が気になる。
「賢者くん、その肩に乗ってるのって?」
「あぁ、コイツ? 可愛いだろ、水猫だ」
水猫ってことは使い魔?
賢者くんの肩の上でにょろーんと伸びたりしてる。猫は液体だもんね。時折透けるのが不思議。
「天狼が良いって言ってたけど、水猫に選ばれたことを受け入れたんだ」
「まぁな。自分の力で無双してやるって決めたからさ」
「おぉ、かっこよ」
「だろ?」
ニカッと笑う賢者くん。まごうことなきDK感。
「そろそろ旅立つんだろ?」
「うん」
「また何処かで会えるといいな」
「そうだね」
賢者くんも無双のためには旅立たないとね。
店を出ようとした賢者くんが振り返った。
「オレの名前、ダニー・グリフィン・デコス」
「お貴族様!?」
「男爵家だけどな。じゃあ、またな!」
そう言って爽やかに去って行った。
陽キャだ。
「彼も良いほうに向かって良かったよ」
クルックさんがニコニコしながら言った。
「やたら絡んでくるからどうしようって思ったけど、悪い人じゃなくて本当良かった」
「うんうん」
「そうだねぇ。賢者うんぬんの前に貴族に目を付けられるのは面倒ごとにしかならないから、良かったよ」
それは確かに。
「さて、お待たせしたね。これが錬金術で作った紙だよ」
カウンターに紙の束が置かれた。
「触ってみていい?」
「勿論」
ツルツルしてる。普通の紙と違って毛羽だってない。前世の紙に近い感じ。
「何処から聞きつけたのか、魔女通販から声がかかってね。今後はそっちでも買えるよ」
「おぉー」
「日用品だから値段もそんなに高くしてないからね」
「うん、ありがとう、クルックさん!」
紙の束とインクを買い、おやつをご馳走になった。
「帰ったら顔を見せにきておくれ」
「うん」
クルックさんがホビットのハーフで良かったなって思う。人よりも寿命が長いから。
「またね、クルックさん」
「またね」
「良い旅を」
買い出しを終えて馬車に戻った私達は、そのまま旅立つことにした。
コヴァルシャに向かうなら、夜のうちに出ると関所に朝に着くとギルドで教えてもらったから。
領都を出る時、門番の兵士さん達に笑顔で送り出された。
「良い旅を!」
「ありがとうございます」
手を振って馬車に乗り込む。
またね、フュリンガー!
領都の食料品店は秋の味覚大売り出しだった。
ニルアインワからもぎ取った森から収穫したものが出回ってるみたい。森は資源の宝庫だよね!
エレンは本屋へ。ファゴットはむくつけき男になってシエを連れて地図作りの完成に向けて燃えてる。
私は特にやりたいこともなかったから、キトラとシュナを連れて山に行き、噂のキノコ採取に。これはちゃんとエレンに許可を取ってます。収穫したキノコはお母さんに送って、残りは我らが美味しくいただく予定。
馬車より天狼のほうが当然揺れるけど、速さにひょええああぁぁぁ! となってる間に到着した。当然無事じゃないので、しばらく休憩した……げっそり。
三十分程休憩し、なんとか生き返ったのでキノコを捜索。
魔法と鑑定リング様々である。いやほんと、キノコはヤバいからね。
アンズタケやキンチャヤマイグチ、ハナイグチ、ツクリタケもたっぷりあったので、たっぷりいただいた!
キノコのクリームシチュー食べたーい!!
そして目標のパイン・ボリートを発見! ポルチーニの一種で、この山にしかないという奴。前世、山か里かで紛争になったキノコに似てる。
この山にしかないということなので、取り過ぎはあかんよね、と思って収穫はほどほどにしておいた。
マジックバッグに入れて、じゃあ帰るか! となって思い出す。だから、また酔うじゃん……。
馬車の二階の居間で休んでいたらエレンが帰ってきた。
二階に上がってきた時のほくほく顔からして、気にいるものが見つかったもよう。良かったね。エレンは本好きなので馬車での移動中や寝る前なんかに読んでる。
「おかえり」
「ただいまー」
「いいのあったー?」
「あった!」
マジックバッグからいそいそと本を取り出す。……えー? 随分買ったね? これ、もはや鑑定リング諦めてるな。いいけど。
私はカメラを買うぜ。
「キノコいっぱい採ってきてくれてありがとう」
「うん。ただ酔ったよ」
「直線距離で登れないくらい急斜面だもんね。お疲れ様」
「アレはやっぱりなんとかしたい」
天狼に乗ってる時は仕方ないにしても、せめて馬車だけでもなんとかしたい!
「旅立ち前に食糧の買い出しとクルックさんの所に行こう」
「うん、そうしよう」
紙のことは忘れてたけど、旅立つ前にクルックさんに挨拶することは忘れてないよ!
連日日用品や食糧をたっぷり買い込んだ。また旅が始まるからね。大事です。この前の特別依頼の報酬、思った以上に凄かったし。
そうそう、ギルドでフレディさんの紹介状をもらった。これでマルングリティの凄腕(?)魔道具師に会えるぞ!
買い出しの最後にクルックさんのお店に行ったら賢者くんがいた。
「おっ、英雄のご帰還じゃん」
「英雄?」
誰のこと?
「六つの村を奪還して、領地を守る防壁を作ってくれた双子の魔女は今じゃ領民にとって英雄扱いだぞ?」
「なにそれ逃げたい」
「なるに決まってんじゃん」
そう言ってケラケラと賢者くんは笑った。
ところで肩に乗ってる生き物が気になる。
「賢者くん、その肩に乗ってるのって?」
「あぁ、コイツ? 可愛いだろ、水猫だ」
水猫ってことは使い魔?
賢者くんの肩の上でにょろーんと伸びたりしてる。猫は液体だもんね。時折透けるのが不思議。
「天狼が良いって言ってたけど、水猫に選ばれたことを受け入れたんだ」
「まぁな。自分の力で無双してやるって決めたからさ」
「おぉ、かっこよ」
「だろ?」
ニカッと笑う賢者くん。まごうことなきDK感。
「そろそろ旅立つんだろ?」
「うん」
「また何処かで会えるといいな」
「そうだね」
賢者くんも無双のためには旅立たないとね。
店を出ようとした賢者くんが振り返った。
「オレの名前、ダニー・グリフィン・デコス」
「お貴族様!?」
「男爵家だけどな。じゃあ、またな!」
そう言って爽やかに去って行った。
陽キャだ。
「彼も良いほうに向かって良かったよ」
クルックさんがニコニコしながら言った。
「やたら絡んでくるからどうしようって思ったけど、悪い人じゃなくて本当良かった」
「うんうん」
「そうだねぇ。賢者うんぬんの前に貴族に目を付けられるのは面倒ごとにしかならないから、良かったよ」
それは確かに。
「さて、お待たせしたね。これが錬金術で作った紙だよ」
カウンターに紙の束が置かれた。
「触ってみていい?」
「勿論」
ツルツルしてる。普通の紙と違って毛羽だってない。前世の紙に近い感じ。
「何処から聞きつけたのか、魔女通販から声がかかってね。今後はそっちでも買えるよ」
「おぉー」
「日用品だから値段もそんなに高くしてないからね」
「うん、ありがとう、クルックさん!」
紙の束とインクを買い、おやつをご馳走になった。
「帰ったら顔を見せにきておくれ」
「うん」
クルックさんがホビットのハーフで良かったなって思う。人よりも寿命が長いから。
「またね、クルックさん」
「またね」
「良い旅を」
買い出しを終えて馬車に戻った私達は、そのまま旅立つことにした。
コヴァルシャに向かうなら、夜のうちに出ると関所に朝に着くとギルドで教えてもらったから。
領都を出る時、門番の兵士さん達に笑顔で送り出された。
「良い旅を!」
「ありがとうございます」
手を振って馬車に乗り込む。
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