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2章
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公爵家に向かう馬車の中は静まり返っており、馬車の走る音がいつもより大きく感じる。父は時折カタリーナに視線を向けるが、カタリーナは外を眺めており、視線が合うことはない。父もカタリーナに声をかけることはなく、時折カタリーナの横顔を眺める程度だ。
無言のせいか、いつもより公爵家への道が長く感じられた。
公爵家に到着すると、母とルルーシュが出迎えてくれた。父とカタリーナが馬車から降りると、あからさまにルルーシュは眉をひそめた。馬車から出てきた父とカタリーナの表情で話し合いの内容が思わしくないものと予想できたのだろう。母だけは、変わらずに笑みをうかべており感情が読み取れない。
「言いたい事は色々あるだろうが、夕食の後に少し時間を取ろう。カタリーナも、疲れただろうからそれまでゆっくり過ごしなさい。」
父はそれだけ話すと自室に向かって歩き始める。その後をゆっくりと母は追い、ルルーシュは不明らかに不服そうな表情を浮かべている。しかし、当主である父の命でありそれに異議を唱える事はなかった。
カタリーナが部屋に着くと、部屋の前には侍女がお茶の準備をして待っていた。侍女は心なしか心配そうな表情を浮かべている。
「大丈夫よ。今日のお茶は何かしら?」
カタリーナは何が大丈夫なのかはあえて伝えなかったが、侍女はどこかほっとした表情をしている。昨日から、公爵家内の空気がどこか張り詰めており、詳細を知らないながらも何か感じるところがあったのだろう。
「今日はアールグレイを準備しております。」
ゆっくりと微笑む侍女に、カタリーナも微笑み返す。
「あなたの入れる紅茶は美味しいから、楽しみだわ」
カタリーナはそう声をかけると自室へとふみいれるのだった。
幼い頃から担当している、この侍女は空気が読める。カタリーナが一人で過ごしたい事を察したのだろう。
「御用があればお呼びください」
と一言だけ告げ部屋を後にするのだった。
「はぁー。これで良かったのかしら・・・。」
一人になった空間でカタリーナは大きく息を吐く。思いの外大きくなったため息と独り言は、静かな部屋の中で響いた。紅茶を飲みながら考えたのはカタリーナを心配してくれる人達の事だった。父と母の心配そうな顔、どこか怒りを堪えるようなルルーシュの顔、悲しそうな王妃の顔に複雑な表情を浮かべた国王の顔。それぞれの立場がある中、カタリーナの心配をしてくれているのがわかる。そして、最後に思い出したのはエヴァトリスの今にも泣き出しそうな顔だった。
「まぁ、あの顔を見たらこれしか選べないか」
カタリーナはため息混じりに話す。
「すっかり、絆されたわね」
カタリーナの言葉には諦めた様子があるが、表情は悲観に染まっているわけではなかった。こんな状況であっても、自身の存在が必要とされていることが嬉しかったのだ。しかし、子どもを産むことが許されない立場となる事に心が重くなる。前世での子どもの柔らかみと温かさ、子どもの笑顔を見ただけで胸の中が温かくなるような気持ちをを思い出す。子育てをしていた幸せだった事を思い出す。
エヴァトリスと本当の夫婦になれると思っていた。立場もあるため、前世のように向き合えるとは思っていなかったが、それでもお互いに子どもとの時間を使って温かい家庭を作れるのではないかと夢を見てしまった。
「まぁ、仕方ないか」
カタリーナは同じ声のトーンで呟き、口元にはわずかに笑みを浮かべていたが、目から涙が溢れるのを止めるとこは出来なかった。
カタリーナは溢れる涙を拭うこともなく、侍女が準備してくれたお茶を飲む。ぼーっとする様に、ずっと外を眺めているといつの間にか外には夕焼けが広がっていた。これ程時間が経っていた事にカタリーナはようやく気づくと同時に空腹を感じた。緊張で朝食もほとんど食べることができなかったが、ぼーっとしており昼食まで抜いていた。まだ、日が沈みはじめたばかりであり、夕食までは時間がある。
「クッキーでももらって、少しつまもうかしら」
これからの予定を考え呟いたところで、カタリーナの部屋にノックの音がひびく。
「少し早いですが夕食の準備できました。」
タイミングが良すぎるノックにカタリーナはクスリと笑みを浮かべる。家族だけでなく、屋敷に働く人たちもカタリーナを気にかけていたのだろう。
「ありがとう。ちょうどお腹が空いたところなの」
すぐに返事をし、家族が既に待っているであろう食事に向かうカタリーナの足取りは軽い物だった。
無言のせいか、いつもより公爵家への道が長く感じられた。
公爵家に到着すると、母とルルーシュが出迎えてくれた。父とカタリーナが馬車から降りると、あからさまにルルーシュは眉をひそめた。馬車から出てきた父とカタリーナの表情で話し合いの内容が思わしくないものと予想できたのだろう。母だけは、変わらずに笑みをうかべており感情が読み取れない。
「言いたい事は色々あるだろうが、夕食の後に少し時間を取ろう。カタリーナも、疲れただろうからそれまでゆっくり過ごしなさい。」
父はそれだけ話すと自室に向かって歩き始める。その後をゆっくりと母は追い、ルルーシュは不明らかに不服そうな表情を浮かべている。しかし、当主である父の命でありそれに異議を唱える事はなかった。
カタリーナが部屋に着くと、部屋の前には侍女がお茶の準備をして待っていた。侍女は心なしか心配そうな表情を浮かべている。
「大丈夫よ。今日のお茶は何かしら?」
カタリーナは何が大丈夫なのかはあえて伝えなかったが、侍女はどこかほっとした表情をしている。昨日から、公爵家内の空気がどこか張り詰めており、詳細を知らないながらも何か感じるところがあったのだろう。
「今日はアールグレイを準備しております。」
ゆっくりと微笑む侍女に、カタリーナも微笑み返す。
「あなたの入れる紅茶は美味しいから、楽しみだわ」
カタリーナはそう声をかけると自室へとふみいれるのだった。
幼い頃から担当している、この侍女は空気が読める。カタリーナが一人で過ごしたい事を察したのだろう。
「御用があればお呼びください」
と一言だけ告げ部屋を後にするのだった。
「はぁー。これで良かったのかしら・・・。」
一人になった空間でカタリーナは大きく息を吐く。思いの外大きくなったため息と独り言は、静かな部屋の中で響いた。紅茶を飲みながら考えたのはカタリーナを心配してくれる人達の事だった。父と母の心配そうな顔、どこか怒りを堪えるようなルルーシュの顔、悲しそうな王妃の顔に複雑な表情を浮かべた国王の顔。それぞれの立場がある中、カタリーナの心配をしてくれているのがわかる。そして、最後に思い出したのはエヴァトリスの今にも泣き出しそうな顔だった。
「まぁ、あの顔を見たらこれしか選べないか」
カタリーナはため息混じりに話す。
「すっかり、絆されたわね」
カタリーナの言葉には諦めた様子があるが、表情は悲観に染まっているわけではなかった。こんな状況であっても、自身の存在が必要とされていることが嬉しかったのだ。しかし、子どもを産むことが許されない立場となる事に心が重くなる。前世での子どもの柔らかみと温かさ、子どもの笑顔を見ただけで胸の中が温かくなるような気持ちをを思い出す。子育てをしていた幸せだった事を思い出す。
エヴァトリスと本当の夫婦になれると思っていた。立場もあるため、前世のように向き合えるとは思っていなかったが、それでもお互いに子どもとの時間を使って温かい家庭を作れるのではないかと夢を見てしまった。
「まぁ、仕方ないか」
カタリーナは同じ声のトーンで呟き、口元にはわずかに笑みを浮かべていたが、目から涙が溢れるのを止めるとこは出来なかった。
カタリーナは溢れる涙を拭うこともなく、侍女が準備してくれたお茶を飲む。ぼーっとする様に、ずっと外を眺めているといつの間にか外には夕焼けが広がっていた。これ程時間が経っていた事にカタリーナはようやく気づくと同時に空腹を感じた。緊張で朝食もほとんど食べることができなかったが、ぼーっとしており昼食まで抜いていた。まだ、日が沈みはじめたばかりであり、夕食までは時間がある。
「クッキーでももらって、少しつまもうかしら」
これからの予定を考え呟いたところで、カタリーナの部屋にノックの音がひびく。
「少し早いですが夕食の準備できました。」
タイミングが良すぎるノックにカタリーナはクスリと笑みを浮かべる。家族だけでなく、屋敷に働く人たちもカタリーナを気にかけていたのだろう。
「ありがとう。ちょうどお腹が空いたところなの」
すぐに返事をし、家族が既に待っているであろう食事に向かうカタリーナの足取りは軽い物だった。
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