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2章
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カタリーナの部屋で執務を行うようになったエヴァトリスだが、1日に1回、2時間ほど離れる時間があった。何か用事がある時は、「会議に行ってくる」「この書類について相談をしてくる」など理由を話して離れるが、その時間は特に理由を述べる事はなく、「2時間だけ行ってくる」と話すだけだった。エヴァトリスの行動を制限するつもりはないが、疑問に感じたカタリーナは、ある日質問をする。
「いつも2時間程どこに行かれているのですか?」
カタリーナにとってそれは、何かを意図した事ではなくほんの些細な疑問を告げただけだった。だが、その質問に対してエヴァトリスは申し訳なさそうな表情を浮かべる。
カタリーナはそれだけで、あることに思い当たる。
「・・・聖女様ですね」
カタリーナの声が少し沈んだ気がするのは気のせいではないだろう。
「ごめん。医者から今回の事はストレスが原因の一つと言われていたのに、私の仕事から外す事は出来なかった」
医者の言う「今回の事」とはカタリーナが倒れた時の事を指すのだろう。エヴァトリスは素直に謝罪の言葉を告げる。
「大丈夫ですよ。お仕事ですから仕方ありません。それに聖女様のお話を聞くのはこの国の為だけではなく、エヴァの気分転換になるはずですから」
そんなカタリーナの返事に対して、やはり申し訳なさそうな顔をするが、エヴァトリスはそれ以上口を開く事は無かった。
カタリーナが倒れてから10日もの日が経った。その間カタリーナにとって恥辱の、そしてエヴァトリスにとってはこれ以上ない幸せな時間が続いてのは言うまでもないだろう。そんな10日目、カタリーナにとって待ちに待った自由の時がやってきた。本来であれば3日前に迎えていたはずだが、王妃とエヴァトリス、公爵家の父と母が心配性を遺憾無く発揮し、安静期間が数日追加され今日を迎えることになったのだ。
久しぶりにベッドから一人で起き上がり、部屋の中を歩くことの何と素晴らしいことか、カタリーナは一人で歩く時間に心躍らせる。そのまま外の散歩することを侍女に告げるが、すぐに申し訳なさそうな顔をされた。
「申し訳ありません、散歩の際はエヴァドリス王子殿下がご一緒されるためお一人では・・・。」
そう言い淀む侍女にこれ以上話しても何の意味もないだろう。仕方なく部屋のベランダで外の空気を吸いながらお茶を飲むことで我慢する。そう、ここでカタリーナがゴネたことで何も変わらないのであれば、それ以外のことで気分転換を図ったほうがよほど建設的な時間と言えるだろう。そんな時間を過ごしていると部屋にノックが響く。
そこで告げられたのは王妃の訪室だった。
「急にごめんなさい。少し話しがあったんだけれど、私も少しだけ一緒させてもらってもいいかしら?」
10日間も公務を休んでいたカタリーナは申し訳なさからもすぐに立ち上がり、王妃に挨拶をすると席を勧めた。
「大丈夫です。こちらこそ、ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。」
「良いのよ、それよりごめんなさい。私たちはあなたの気持ちを考えられていなかったわね。いくらしっかりしているとは言え、あなたも一人の女性なのに・・・」
その王妃の言葉にカタリーナはやはり申し訳なくなる。予想外に自分の前世の姿を見たが故にこの様な結果になり、多くの人に迷惑をかけることになったのだ。聖女の姿があの姿でなければこれほどの動揺はなかっただろう。疑問も不気味さもあるが、これからはもう少し気持ちを強く持たなくてはとカタリーナは心に刻む。
「もう大丈夫です。本当にありがとうございます。今日はどうされたんですか?」
カタリーナの表情が変わり、それに王妃は痛ましいものをみるような顔をした。
「本当にごめんなさい。前に話していた聖女カナ様が側妃になったときに向けて、公務を教えることについてだけれど、今回のことを受けてやはり私がすることにしたわ。ただ、カタリーナが皇子妃になった後はいくつかを一緒にしてもらうことは避けられないことがあるからそれは覚悟して欲しいの。」
ここまで王妃に采配させてしまったことにやはり申し訳なさを募らせるカタリーナは自らを鼓舞する。
「大丈夫です。以前お話しいただいた通りやらせていただきます。これも私の務めですから。」
カタリーナとしてはいつも通り微笑んだつもりであったが、それは完全な作り笑いでありそれが分からない王妃ではなかった。
「辛い時は、辛いと言って良いのよ。将来の王妃として国のため、エヴァトリスのためを思ってくれているのは本当に嬉しいわ。だけど、あなたも一人の人であり女性なの。全てを叶えられるわけではないけれど、弱音を吐くぐらい誰にでも許されることよ。」
その言葉にカタリーナは瞼が熱くなるのを感じるがどうにかこらえた。何か一言でも口にすれば、堪えていたものがこぼれ落ちそうで不自然な笑みを曖昧に浮かべることしかできないのだった。
10日が過ぎたことでエヴァトリスは本来の執務室に戻って言った。9日間という今までにない濃密な時間がなくなると、カタリーナはどこかもの寂しい気分になった。
「この部屋こんなに広かったのね。」
部屋の入り口に侍女が控えているが、カタリーナの声は小さく聞こえてはいないだろう。
そんな一人の時間では、どうしても嫌な考えばかりが頭をめぐる。
「エヴァは聖女様との時間を過ごしているのよね。」
王妃とのお茶を終えた後、気分転換にエヴァトリスを散歩に誘ったがちょうど聖女との時間であり会うことができなかった。最初は寂しく思っていたものの、カタリーナは次第に腹が立ってきた。
「何で私ばかり我慢しているんだろう。エヴァは女性と一緒の時間を過ごしているのに、私ばかりエヴァの言うことを聞いて・・・。心配してくれるのはわかるけど、別に良い護衛の人にエスコートしてもらえば安全性は問題ないわけだし。」
こう言うのを魔がさすと言うのだろう。いつものカタリーナであればこの様な安易な思考にはならない。この判断があんなものを見るきっかけになるとは、この時のカタリーナに予期できるはずもなかった。
「いつも2時間程どこに行かれているのですか?」
カタリーナにとってそれは、何かを意図した事ではなくほんの些細な疑問を告げただけだった。だが、その質問に対してエヴァトリスは申し訳なさそうな表情を浮かべる。
カタリーナはそれだけで、あることに思い当たる。
「・・・聖女様ですね」
カタリーナの声が少し沈んだ気がするのは気のせいではないだろう。
「ごめん。医者から今回の事はストレスが原因の一つと言われていたのに、私の仕事から外す事は出来なかった」
医者の言う「今回の事」とはカタリーナが倒れた時の事を指すのだろう。エヴァトリスは素直に謝罪の言葉を告げる。
「大丈夫ですよ。お仕事ですから仕方ありません。それに聖女様のお話を聞くのはこの国の為だけではなく、エヴァの気分転換になるはずですから」
そんなカタリーナの返事に対して、やはり申し訳なさそうな顔をするが、エヴァトリスはそれ以上口を開く事は無かった。
カタリーナが倒れてから10日もの日が経った。その間カタリーナにとって恥辱の、そしてエヴァトリスにとってはこれ以上ない幸せな時間が続いてのは言うまでもないだろう。そんな10日目、カタリーナにとって待ちに待った自由の時がやってきた。本来であれば3日前に迎えていたはずだが、王妃とエヴァトリス、公爵家の父と母が心配性を遺憾無く発揮し、安静期間が数日追加され今日を迎えることになったのだ。
久しぶりにベッドから一人で起き上がり、部屋の中を歩くことの何と素晴らしいことか、カタリーナは一人で歩く時間に心躍らせる。そのまま外の散歩することを侍女に告げるが、すぐに申し訳なさそうな顔をされた。
「申し訳ありません、散歩の際はエヴァドリス王子殿下がご一緒されるためお一人では・・・。」
そう言い淀む侍女にこれ以上話しても何の意味もないだろう。仕方なく部屋のベランダで外の空気を吸いながらお茶を飲むことで我慢する。そう、ここでカタリーナがゴネたことで何も変わらないのであれば、それ以外のことで気分転換を図ったほうがよほど建設的な時間と言えるだろう。そんな時間を過ごしていると部屋にノックが響く。
そこで告げられたのは王妃の訪室だった。
「急にごめんなさい。少し話しがあったんだけれど、私も少しだけ一緒させてもらってもいいかしら?」
10日間も公務を休んでいたカタリーナは申し訳なさからもすぐに立ち上がり、王妃に挨拶をすると席を勧めた。
「大丈夫です。こちらこそ、ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。」
「良いのよ、それよりごめんなさい。私たちはあなたの気持ちを考えられていなかったわね。いくらしっかりしているとは言え、あなたも一人の女性なのに・・・」
その王妃の言葉にカタリーナはやはり申し訳なくなる。予想外に自分の前世の姿を見たが故にこの様な結果になり、多くの人に迷惑をかけることになったのだ。聖女の姿があの姿でなければこれほどの動揺はなかっただろう。疑問も不気味さもあるが、これからはもう少し気持ちを強く持たなくてはとカタリーナは心に刻む。
「もう大丈夫です。本当にありがとうございます。今日はどうされたんですか?」
カタリーナの表情が変わり、それに王妃は痛ましいものをみるような顔をした。
「本当にごめんなさい。前に話していた聖女カナ様が側妃になったときに向けて、公務を教えることについてだけれど、今回のことを受けてやはり私がすることにしたわ。ただ、カタリーナが皇子妃になった後はいくつかを一緒にしてもらうことは避けられないことがあるからそれは覚悟して欲しいの。」
ここまで王妃に采配させてしまったことにやはり申し訳なさを募らせるカタリーナは自らを鼓舞する。
「大丈夫です。以前お話しいただいた通りやらせていただきます。これも私の務めですから。」
カタリーナとしてはいつも通り微笑んだつもりであったが、それは完全な作り笑いでありそれが分からない王妃ではなかった。
「辛い時は、辛いと言って良いのよ。将来の王妃として国のため、エヴァトリスのためを思ってくれているのは本当に嬉しいわ。だけど、あなたも一人の人であり女性なの。全てを叶えられるわけではないけれど、弱音を吐くぐらい誰にでも許されることよ。」
その言葉にカタリーナは瞼が熱くなるのを感じるがどうにかこらえた。何か一言でも口にすれば、堪えていたものがこぼれ落ちそうで不自然な笑みを曖昧に浮かべることしかできないのだった。
10日が過ぎたことでエヴァトリスは本来の執務室に戻って言った。9日間という今までにない濃密な時間がなくなると、カタリーナはどこかもの寂しい気分になった。
「この部屋こんなに広かったのね。」
部屋の入り口に侍女が控えているが、カタリーナの声は小さく聞こえてはいないだろう。
そんな一人の時間では、どうしても嫌な考えばかりが頭をめぐる。
「エヴァは聖女様との時間を過ごしているのよね。」
王妃とのお茶を終えた後、気分転換にエヴァトリスを散歩に誘ったがちょうど聖女との時間であり会うことができなかった。最初は寂しく思っていたものの、カタリーナは次第に腹が立ってきた。
「何で私ばかり我慢しているんだろう。エヴァは女性と一緒の時間を過ごしているのに、私ばかりエヴァの言うことを聞いて・・・。心配してくれるのはわかるけど、別に良い護衛の人にエスコートしてもらえば安全性は問題ないわけだし。」
こう言うのを魔がさすと言うのだろう。いつものカタリーナであればこの様な安易な思考にはならない。この判断があんなものを見るきっかけになるとは、この時のカタリーナに予期できるはずもなかった。
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お待ちしています。
読ませて頂いて有難うございます。
読んでいただきありがとうございます。
コメントもとても嬉しく、そのまま1話上げさせていただきました(〃ω〃)
少しでも楽しんで読んでいただける様ストーリー展開できればと思っています。引き続きよろしくお願いします。
やった!ネタバレ設定出来た!!←ヽ(´o`; オイオイ
どこまでやればドロドロと判断されるかは分かりませんが、作者的にはドロドロです。
作者的なドロドロ&作者的なハッピーエンド目指して頑張ります(ㆆᴗㆆ)
↓申し訳ありません。私の返信内容がネタバレなるのかな?と思ったのでひとつ前の返信部分削除させていただきました。不慣れで申し訳ありません(;≧д≦)
でも、初コメとても嬉しかったです✧*。ヾ(。>﹏<。)ノ゙✧*。