大佐殿は天才科学者を攻略したい〜職場復帰のために奮闘します〜

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プロローグ

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「本日より護衛役となりました、ウォルター・ヴェネックと申します。」
丁寧だが端的に、ウォルターは自己紹介を終える。三ヶ月前に戦争が終わったばかりの彼は、リハビリと称してとある科学者の護衛をすることになった。低い階級出身であるウォルターは口調に気をつけたはずだが、少し視線をおろした先の護衛相手はうんともすんとも言わない。
なにかそそうをしただろうか。少し不安になってきた。気まずさを覚え、声をかけようとした矢先、小さな口が開く。
「・・・たしか君は大佐だったな?」
「はい」
上目遣いで問われた質問に間髪入れず答えた。じろり、という言葉が似合いそうだ。病的に青白い顔に乗った瞳は鋭くて、人間味を帯びていない。どちらかというと下町で見た野良猫に似てるな、なんて失礼なことを考えていると、その目は細められ、嘲笑するように口を歪めた。
「君のような疫病神が戦場の英雄で大佐まで昇進するとは、さぞ幸運だったに違いない。それとも、敵が”その髪”に怯えたのか?」
「・・博士。」
「僕には一切近づかないでくれ。君は精神病でリハビリ中だったか・・発作なんて起こさないでくれよ?研究の邪魔になる。ただでさえ他人がこの屋敷にいるなんて耐えられないのに、イカれた人間が護衛だなんてどうかしてる。刺客なんかよりよっぽど厄介じゃないか・・・さっさと期間満了で消えてくれ。疫病神」
散々な文句と罵詈雑言、そして連呼された疫病神という単語に、ウォルターは怒りのまま、拳を握りしめた。そして五年にも渡った戦争をたった半年で敵国を降伏へ追い詰めた毒薬の開発者、フレデリック・エイミスに、この上ない嫌悪と嘲笑を含めて言い放ったのだ。
「ならお前は死神だな、博士」
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