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「うわっ! あ、やめっ……ああっ!」
色気のない声は、すぐに分かりやすい嬌声へと変わった。
すっかり張り詰めていたそこを下着の上からなぞられ、ぎゅっと内股に力が籠る。さらに、わざとらしくその形を確かめるように扱かれてしまい、駈は強く奥歯を噛み締めた。
「声、出してよ……防音なんだろ?」
「……っ」
目の前のにやけ面を睨み付ける。
英はすっかりいつもの調子を取り戻してしまっていて、駈は自分の浅はかさを呪った。
さっきまでのしょぼくれていた英が既に恋しい。本当に余計な事をしてしまった……と自分を殴りつけたくなった。
と、駈がそう一人反省会をしている間に、彼の指が下着のゴムへと掛る。
「だっ……ダメだっ!!」
駈はその不埒な手を慌てて掴んだ。
「えっ、何で?」
英にそう尋ねられ、駈はまた言葉に詰まる。
「何で、って……」
駈はついと床に敷かれたカーペットを見た。
まったくもって高級品ではないのだが、万が一これを汚してしまったら、後片付けも大変だし、何より……綺麗にしたところで、きっと自分はそれを目にするたび、その時のことを思い出してしまう。
……ただ、そんなことを言えばどうなってしまうかは最早明らかで、同じ轍を踏むまいと駈は口を噤んだ。
だが、英は自力でその一つ目の理由に思い至ったらしい。
茶色いそれをさらりと撫でると、彼はなぜか不満そうな顔をした。
「駈ってほんと、こんな時でも冷静なんだね」
「……は?」
「だって、ここまできて、そんな心配できるなんてさ」
「……いや、するだろ普通」
できるだけ余計な事を言わないように、駈はじっとこちらを見つめる彼の目から顔を背けた。
すると、英はハァ、と大きくため息を吐く。
「なんだよ」
駈がちらりとその視線を向けると。
「だって……悔しいじゃん」
英はそう言って、額の汗を拭いながら髪をかき上げた。
「俺ばっかり、興奮しているみたいでさ」
「……」
駈は呆れた目で英を見上げた。こんなに恥ずかしいほどどこもかしこも反応しているというのに、これ以上どうしろというのだろう。
そんな駈の無言の訴えが伝わったのか、英はようやく、その膨れた頬を元に戻す。
「駈……ごめんね」
英はそう呟くと、薄く開いたままだった駈の唇にその唇を合わせた。
一体何に対する謝罪なんだろう……と考える間もなく、すぐにそのキスは深いものとなり、駈の思考を奪っていく。
「ふうっ……ん……っ、……ッ」
口蓋を舌先でやわく擦られ、びくつく舌を甘やかすように絡めとられる。
そうして口の中の性感帯を余すところなく愛撫され、駈はさらにその頬をぶわりと赤く火照らせる。
唇を離すころには、その目は潤み、淫らに蕩け切ってしまっていた。
英はぬらぬらと光る熱い唇をもう一度軽く食むと、にっこりと微笑んだ。
「俺、まだまだ下手かもしれないけどさ……いつか、駈が何も考えられなくなってくれるよう、頑張るからね」
「あっ、んあ、あっ……」
甘ったるい悲鳴が狭いリビングに響いている。
駈はもう声を殺すことも抑えることもできず、英がそこを擦り上げるリズムに合わせて嬌声を上げ続けていた。
ボクサーパンツはすっかり染みを濃くしていて、既にその役割を放棄している。
「駈……ほんと、可愛い」
「……ッ」
またそんなおかしなことを言う英に、そんなわけあるか、と返したかった。でも、反対に腹の奥はまたきゅうっと疼いてしまい、熱に溺れた目で睨むしかなくなってしまう。
「んん……っ」
何度か襲ってきた波をカーペットに爪を立てることでどうにかやり過ごしてきたが、それもそろそろ限界だった。
身体中の血液がすべてそこに集まってしまったかのように熱くてたまらない。
「すぐる、もう……」
「ん……なに?」
「もうっ、でちゃう、から……っ」
思った以上に舌ったらずな声が出て、一層顔に血が上る。
あまりの恥ずかしさに、駈はぐっと顔を逸らそうとした……のだが。
英の熱い手に、顎を掴まれる。
彼は汗の伝い落ちる目元を優しく緩ませると。
「駈のイクとこ、見せて」
そう言うなり、手の動きをさらに激しくしてきた。
「は!? なにいって、……ひっ!」
「ね、お願い……」
唇をあやすように食みながら、その手は全く容赦なく駈を追い詰める。
ぐちゅぐちゅと耳を塞ぎたくなる音に鼓膜まで犯され、駈は首を振りながら苦しげに喘いだ。
「……ッ」
は、は、と呼吸が途切れ途切れになってくる。
ぎらぎらと滾る視線が、駈をがんじがらめにする。
「駈……イって」
吐息と共に耳に吹きかけられた声に、否応なしに熱いものがせり上がる。
「やだ、やだぁ、や……ッ!」
英に見られている――そう分かっているのに、身体は自分の制御を離れ、勝手に上り詰めていってしまう。
バチバチと目の前に星が散り、びくん、と腰が跳ね上がる。
「や、あっ、あ……ッ~~!!」
駈は甲高い声を上げながら、すべてを下着の中に吐き出した。
色気のない声は、すぐに分かりやすい嬌声へと変わった。
すっかり張り詰めていたそこを下着の上からなぞられ、ぎゅっと内股に力が籠る。さらに、わざとらしくその形を確かめるように扱かれてしまい、駈は強く奥歯を噛み締めた。
「声、出してよ……防音なんだろ?」
「……っ」
目の前のにやけ面を睨み付ける。
英はすっかりいつもの調子を取り戻してしまっていて、駈は自分の浅はかさを呪った。
さっきまでのしょぼくれていた英が既に恋しい。本当に余計な事をしてしまった……と自分を殴りつけたくなった。
と、駈がそう一人反省会をしている間に、彼の指が下着のゴムへと掛る。
「だっ……ダメだっ!!」
駈はその不埒な手を慌てて掴んだ。
「えっ、何で?」
英にそう尋ねられ、駈はまた言葉に詰まる。
「何で、って……」
駈はついと床に敷かれたカーペットを見た。
まったくもって高級品ではないのだが、万が一これを汚してしまったら、後片付けも大変だし、何より……綺麗にしたところで、きっと自分はそれを目にするたび、その時のことを思い出してしまう。
……ただ、そんなことを言えばどうなってしまうかは最早明らかで、同じ轍を踏むまいと駈は口を噤んだ。
だが、英は自力でその一つ目の理由に思い至ったらしい。
茶色いそれをさらりと撫でると、彼はなぜか不満そうな顔をした。
「駈ってほんと、こんな時でも冷静なんだね」
「……は?」
「だって、ここまできて、そんな心配できるなんてさ」
「……いや、するだろ普通」
できるだけ余計な事を言わないように、駈はじっとこちらを見つめる彼の目から顔を背けた。
すると、英はハァ、と大きくため息を吐く。
「なんだよ」
駈がちらりとその視線を向けると。
「だって……悔しいじゃん」
英はそう言って、額の汗を拭いながら髪をかき上げた。
「俺ばっかり、興奮しているみたいでさ」
「……」
駈は呆れた目で英を見上げた。こんなに恥ずかしいほどどこもかしこも反応しているというのに、これ以上どうしろというのだろう。
そんな駈の無言の訴えが伝わったのか、英はようやく、その膨れた頬を元に戻す。
「駈……ごめんね」
英はそう呟くと、薄く開いたままだった駈の唇にその唇を合わせた。
一体何に対する謝罪なんだろう……と考える間もなく、すぐにそのキスは深いものとなり、駈の思考を奪っていく。
「ふうっ……ん……っ、……ッ」
口蓋を舌先でやわく擦られ、びくつく舌を甘やかすように絡めとられる。
そうして口の中の性感帯を余すところなく愛撫され、駈はさらにその頬をぶわりと赤く火照らせる。
唇を離すころには、その目は潤み、淫らに蕩け切ってしまっていた。
英はぬらぬらと光る熱い唇をもう一度軽く食むと、にっこりと微笑んだ。
「俺、まだまだ下手かもしれないけどさ……いつか、駈が何も考えられなくなってくれるよう、頑張るからね」
「あっ、んあ、あっ……」
甘ったるい悲鳴が狭いリビングに響いている。
駈はもう声を殺すことも抑えることもできず、英がそこを擦り上げるリズムに合わせて嬌声を上げ続けていた。
ボクサーパンツはすっかり染みを濃くしていて、既にその役割を放棄している。
「駈……ほんと、可愛い」
「……ッ」
またそんなおかしなことを言う英に、そんなわけあるか、と返したかった。でも、反対に腹の奥はまたきゅうっと疼いてしまい、熱に溺れた目で睨むしかなくなってしまう。
「んん……っ」
何度か襲ってきた波をカーペットに爪を立てることでどうにかやり過ごしてきたが、それもそろそろ限界だった。
身体中の血液がすべてそこに集まってしまったかのように熱くてたまらない。
「すぐる、もう……」
「ん……なに?」
「もうっ、でちゃう、から……っ」
思った以上に舌ったらずな声が出て、一層顔に血が上る。
あまりの恥ずかしさに、駈はぐっと顔を逸らそうとした……のだが。
英の熱い手に、顎を掴まれる。
彼は汗の伝い落ちる目元を優しく緩ませると。
「駈のイクとこ、見せて」
そう言うなり、手の動きをさらに激しくしてきた。
「は!? なにいって、……ひっ!」
「ね、お願い……」
唇をあやすように食みながら、その手は全く容赦なく駈を追い詰める。
ぐちゅぐちゅと耳を塞ぎたくなる音に鼓膜まで犯され、駈は首を振りながら苦しげに喘いだ。
「……ッ」
は、は、と呼吸が途切れ途切れになってくる。
ぎらぎらと滾る視線が、駈をがんじがらめにする。
「駈……イって」
吐息と共に耳に吹きかけられた声に、否応なしに熱いものがせり上がる。
「やだ、やだぁ、や……ッ!」
英に見られている――そう分かっているのに、身体は自分の制御を離れ、勝手に上り詰めていってしまう。
バチバチと目の前に星が散り、びくん、と腰が跳ね上がる。
「や、あっ、あ……ッ~~!!」
駈は甲高い声を上げながら、すべてを下着の中に吐き出した。
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