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王都ミツメ編 後編 恋する乙女と炎の竜
刹那を生きる人情派
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「もうちょっと丁寧に歩きなさいよ!」
「丁寧に歩くってなんだよ」
「木の枝とかに当たってるんだけど」
「じゃあ肩車やめて歩くか?」
「靴がすごく汚れそうだからいや」
「そうかい」
アッチノ山は全体的に岩場が多いもののそこそこに自然の恵みがある山だ。
山道は入り組んでいて、自分たちの現在位置も把握しづらい。
分かれ道には看板が立っていたりするから道に迷うことはないけど、回り道でもしているみたいに変な道を歩かされている。
急ぎ足で登るも冒険者の多さと道の複雑さで思うように進むことができず、俺ははやる気持ちを抑えるのに必死だった。
エリスの愚痴を聞きながら歩いていると、ようやく少し開けた場所に出た。
アッチノ山周辺の景色を一望できる山道だ。
山肌にはあまり背の高い草木やらは生えていなくて、岩がそこかしこから突き出ていて少し殺風景だと感じさせる。
俺は山道の先を見据えながら毒づいた。
「くそっ、これじゃ上にたどり着くのにどれだけ時間がかかるんだよ」
「でもこれならあんたの恋人もそんなに上まで行ってないんじゃないの?」
「ば、ばかお前恋人とか恥ずかしいからやめろよばかやろぉ!」
「…………」
エリスの言う通りだったならまだいい。
頂上付近にまで行っていなければティナたちが無事な可能性は高いからだ。
頼むから引き返していてくれよ。
ロザリア辺りがみんなを止めてくれてるとは思うけど……。
と悶々としていた時だった。
目の前から小規模な爆発音と悲鳴が連続して聞こえてくる。
「うおっジバクイワだ!」「きゃっ!」
「ヴォーッ!」
断続的に鳴り響く爆発音を聞きながら俺はその辺の岩陰に隠れた。
あれは岩の多い場所によく出現するモンスター、ジバクイワだ。
戦闘中に結構な確率で自爆をするのが厄介で、死に対する恐怖みたいなものもないからテイム、つまり言うことを聞かせるってのも中々できない。
ただ、それは命令ができないだけであって頼み事は聞いてくれる。
刹那を生きるがために人(岩?)情や面白いことを大切にする実に気のいいやつらなのだ。
あと、「自爆は華やかに、そしてできるなら誰かの役に立てるように」といったポリシーもあるらしい。
ちょうどいい、この山のことはこの山にいるモンスターに聞いた方が早いだろ。
「ちょっと、何よあれ」
「ジバクイワってモンスターだ。危ないからちょっとだけここで大人しくしてろ」
「…………」
エリスはモンスターとの遭遇で動揺しているのか、出会って以来初めて大人しく言うことを聞いてくれた。
肩から降ろすと俺の側を離れずに岩陰でじっとしている。
俺は岩陰から冒険者とジバクイワたちの戦闘を見守るふりをしつつ「レーダー」を発動した。
うん、今戦闘してるやつだけじゃなくその周りにも結構な数が潜んでるな。
というか俺の周りにもそこそこいる。
「テレパシー」を発動してどいつでもなく適当に語りかけた。
(おいそこのジバクイワども、聞こえるか? 俺はモンスターテイマーズのジンだ)
(なに精霊だぁ? おいおめえら精霊が来やがったぞ! 気合い入れろぉ!)
(((おおおおおお!!!!)))
「きゃっ、な、なによこれ!」
「ジバクイワが威嚇してきてるだけだから大丈夫だ」
周囲から雄叫びの声があがる。実際に口頭でもヴオオォォォと雄叫びをあげたので周辺にいる冒険者とエリスが揃って驚いていた。
(いやいやそんなに気合い入れなくていいから。それより、この山に裏道というか人間の通らない道みたいなのはあるか?)
(おうあるぜぇ! 人間どころか俺たちも滅多に使わねえ道がなぁ! なんなら案内してやろうか!)
(頼む。人間と一緒にいるからそっち方向に転がっていくだけでいい)
(ほう。で、今おめえはどこにいやがんだ)
(お前らの仲間と冒険者が戦闘してるだろ? その少し後ろの岩陰にいる)
(がってんだ!)
(悪い、それともう一つ頼みがある)
(なんでい!)
(俺とお前が走り抜けた道を他のジバクイワたちで塞いでくれないか? 複数の人間に後をつけられてる)
多分だけど、ミツメからずっとつけてきている兵士がまだいると思う。
ここいらで撒いておかないと走るにしても戦うにしても全力を出せない。
(中々おもしれえことやってんじゃねえか、いいねえ! 聞こえてたか野郎ども!)
(((おおおおおお!!!!)))
「きゃっ!」
再び心の声と口頭での両方で雄叫びがあがり、今度はエリスが俺に近寄り服の裾を掴んできた。
やっぱり子供……と思ったけど、これは冒険者でもびびるくらいだから当然の反応か。
とそんなことを考えているとジバクイワから作戦開始の合図が届く。
(いくぜえジン! 一気に裏道目掛けて走るから俺についてきやがれ!)
(おう!)
同時にエリスに声をかけて、正面から抱っこみたいな形で持ち上げる。
「おいエリス、ジバクイワから逃げるぞ! しっかりつかまってろよ!」
「えっ!? ちょ、ちょっと!」
俺と通信をしていたらしいジバクイワが上から山道に転がってきて、裏道があると思われた方向に転がり出した。
そして戦闘していた冒険者たちと俺たちの間に次々とジバクイワが現れる。
冒険者たちに迷惑をかけて申し訳ないとは思うけど、きちんと防御さえすれば自爆で死ぬということはないはずだ。
出現したジバクイワは数こそ多いけど、自爆の有効射程距離内へはそんなに冒険者たちは入っていないしな。
俺は岩陰から飛び出し、出現したジバクイワたちから逃げるように裏道へ転がるジバクイワを追う。
背後から次々に爆発音と冒険者たちの怒号が聞こえてきた。
「うおっ! こりゃまずいな!」「防御魔法を!」
「こっちには回復を頼む!」
うん、冒険者たちの方はなんとかなりそうだな。
「ちょっとちょっとちょっと! 何よこれー!」
腕の中で悲鳴をあげるエリスは、いつの間にか俺の服をぐしゃりと掴んで涙目になっている。
怖がらせて申し訳ないとは思うけどティナたちの安全が最優先だ、これくらいは我慢してもらおう。
ていうか結構やばいことやってんな、俺。後でエアとかグレイスからは怒られるだろうな……。
「エリス様ー!」「エリスしゃまー!」
「うわあああ!」
「ねえ、何か今兵士たちの声が聞こえなかった?」
「気のせいだろ」
やっぱりいやがったか。
冒険者たちに続いて、後ろからは兵士たちが悪戦苦闘する声が届く。
だけどその声も遠くなり次第に聞こえなくなってきた。
ジバクイワについていくと、いくつか前の分かれ道まで戻ってきた。
そのまま看板に「こっちは行き止まり」と書かれている道へと入って行く。
背後からはまだ断続的に爆発音が聞こえてくる。
ジバクイワたちが念入りに道を封鎖してくれているみたいだ。
「ちょっと、どこまでいくのよ!」
「まだ爆発音が聞こえてくるし危険だ。それに、ちょうどよさげな裏道を見付けたからこのまま突撃してみるぜ」
俺の腕の中にいるエリスには先を行くジバクイワの姿は見えていないはずだ。
こういっておけば何とかなる……といいけどな。
いつしか山道は徐々に狭くなって獣道へと変わり、周りの風景は岩と土が中心のゴツゴツとした山肌から緑の生い茂る秘境へと変わる。
葉擦れの音や枯れた木を踏み割る音に混じって動物の鳴き声も聞こえてきた。
「…………」
慣れない環境に怯えているのか、次第にエリスは何も言わなくなった。
道が細く視界も悪いのでジバクイワを追うのも段々きつくなってくる。
そんな時だった。
(そろそろ裏道に出るぜぇ! 「やつ」が踏み鳴らした道を行きゃ頂上へはすぐにつくってもんだ! あばよ!)
(ありがとな!)
そこでジバクイワの声は聞こえなくなった。
「やつ」って何のことだろう、まあいいか。
そのまま走り続けると、やがて少し開けた場所に出た。
人が踏み入らないので整備はされていないものの、道だとわかるものが一本通っている。まあまあ横幅も広い。
左右も獣やモンスターの仕業なのか、適度に草木が刈り取られている。
道は先の方で折れ曲がっていて、曲がった先は斜面になっているようだ。
恐らく頂上へ向けてかなり短い距離でいける道になっているのだろう。
何でそんな風になってんのかはわからないけど、この道を使えば俺の足ならすぐに頂上へといけるかもしれない。
ふとエリスを抱き上げていたことを思い出して、腕の中をちらと見た。
すっかり大人しくなったというよりはほとんど固まっている。
「おい、もう大丈夫だぞ」
声をかけると、エリスは無言のまま潤んだ目でこちらを見上げてきた。
実にちびっこらしい表情である意味安心する。
怖がらせて悪かったという気持ちはあるものの、ジバクイワから逃げたという体なので謝るわけにもいかない。
とりあえずエリスを地面に降ろしてやると、
「あっ、ちょ、ちょっと……」
と言いながら地面にへたり込んだ。
さっきまでの恐怖で足に力が入らないらしい。
膝を折って目線の高さを近付けてから話しかける。
「やっぱ怖かったか?」
「当たり前じゃない、あんなの初めてだったんだから」
「つっても戦闘はしてねえだろ」
「そうだけど、外に行くときは大体兵士が大勢付き添って、近くに来る前に全部倒しちゃってたから」
そこで頭を撫でながら言ってやった。
「それじゃいい経験になったな、王女様」
「うるさい! 調子に乗るな!」
俺の手を払いのけてそっぽを向くエリス。
とりあえずエリスが回復するまでその場で少し待つことにした。
「丁寧に歩くってなんだよ」
「木の枝とかに当たってるんだけど」
「じゃあ肩車やめて歩くか?」
「靴がすごく汚れそうだからいや」
「そうかい」
アッチノ山は全体的に岩場が多いもののそこそこに自然の恵みがある山だ。
山道は入り組んでいて、自分たちの現在位置も把握しづらい。
分かれ道には看板が立っていたりするから道に迷うことはないけど、回り道でもしているみたいに変な道を歩かされている。
急ぎ足で登るも冒険者の多さと道の複雑さで思うように進むことができず、俺ははやる気持ちを抑えるのに必死だった。
エリスの愚痴を聞きながら歩いていると、ようやく少し開けた場所に出た。
アッチノ山周辺の景色を一望できる山道だ。
山肌にはあまり背の高い草木やらは生えていなくて、岩がそこかしこから突き出ていて少し殺風景だと感じさせる。
俺は山道の先を見据えながら毒づいた。
「くそっ、これじゃ上にたどり着くのにどれだけ時間がかかるんだよ」
「でもこれならあんたの恋人もそんなに上まで行ってないんじゃないの?」
「ば、ばかお前恋人とか恥ずかしいからやめろよばかやろぉ!」
「…………」
エリスの言う通りだったならまだいい。
頂上付近にまで行っていなければティナたちが無事な可能性は高いからだ。
頼むから引き返していてくれよ。
ロザリア辺りがみんなを止めてくれてるとは思うけど……。
と悶々としていた時だった。
目の前から小規模な爆発音と悲鳴が連続して聞こえてくる。
「うおっジバクイワだ!」「きゃっ!」
「ヴォーッ!」
断続的に鳴り響く爆発音を聞きながら俺はその辺の岩陰に隠れた。
あれは岩の多い場所によく出現するモンスター、ジバクイワだ。
戦闘中に結構な確率で自爆をするのが厄介で、死に対する恐怖みたいなものもないからテイム、つまり言うことを聞かせるってのも中々できない。
ただ、それは命令ができないだけであって頼み事は聞いてくれる。
刹那を生きるがために人(岩?)情や面白いことを大切にする実に気のいいやつらなのだ。
あと、「自爆は華やかに、そしてできるなら誰かの役に立てるように」といったポリシーもあるらしい。
ちょうどいい、この山のことはこの山にいるモンスターに聞いた方が早いだろ。
「ちょっと、何よあれ」
「ジバクイワってモンスターだ。危ないからちょっとだけここで大人しくしてろ」
「…………」
エリスはモンスターとの遭遇で動揺しているのか、出会って以来初めて大人しく言うことを聞いてくれた。
肩から降ろすと俺の側を離れずに岩陰でじっとしている。
俺は岩陰から冒険者とジバクイワたちの戦闘を見守るふりをしつつ「レーダー」を発動した。
うん、今戦闘してるやつだけじゃなくその周りにも結構な数が潜んでるな。
というか俺の周りにもそこそこいる。
「テレパシー」を発動してどいつでもなく適当に語りかけた。
(おいそこのジバクイワども、聞こえるか? 俺はモンスターテイマーズのジンだ)
(なに精霊だぁ? おいおめえら精霊が来やがったぞ! 気合い入れろぉ!)
(((おおおおおお!!!!)))
「きゃっ、な、なによこれ!」
「ジバクイワが威嚇してきてるだけだから大丈夫だ」
周囲から雄叫びの声があがる。実際に口頭でもヴオオォォォと雄叫びをあげたので周辺にいる冒険者とエリスが揃って驚いていた。
(いやいやそんなに気合い入れなくていいから。それより、この山に裏道というか人間の通らない道みたいなのはあるか?)
(おうあるぜぇ! 人間どころか俺たちも滅多に使わねえ道がなぁ! なんなら案内してやろうか!)
(頼む。人間と一緒にいるからそっち方向に転がっていくだけでいい)
(ほう。で、今おめえはどこにいやがんだ)
(お前らの仲間と冒険者が戦闘してるだろ? その少し後ろの岩陰にいる)
(がってんだ!)
(悪い、それともう一つ頼みがある)
(なんでい!)
(俺とお前が走り抜けた道を他のジバクイワたちで塞いでくれないか? 複数の人間に後をつけられてる)
多分だけど、ミツメからずっとつけてきている兵士がまだいると思う。
ここいらで撒いておかないと走るにしても戦うにしても全力を出せない。
(中々おもしれえことやってんじゃねえか、いいねえ! 聞こえてたか野郎ども!)
(((おおおおおお!!!!)))
「きゃっ!」
再び心の声と口頭での両方で雄叫びがあがり、今度はエリスが俺に近寄り服の裾を掴んできた。
やっぱり子供……と思ったけど、これは冒険者でもびびるくらいだから当然の反応か。
とそんなことを考えているとジバクイワから作戦開始の合図が届く。
(いくぜえジン! 一気に裏道目掛けて走るから俺についてきやがれ!)
(おう!)
同時にエリスに声をかけて、正面から抱っこみたいな形で持ち上げる。
「おいエリス、ジバクイワから逃げるぞ! しっかりつかまってろよ!」
「えっ!? ちょ、ちょっと!」
俺と通信をしていたらしいジバクイワが上から山道に転がってきて、裏道があると思われた方向に転がり出した。
そして戦闘していた冒険者たちと俺たちの間に次々とジバクイワが現れる。
冒険者たちに迷惑をかけて申し訳ないとは思うけど、きちんと防御さえすれば自爆で死ぬということはないはずだ。
出現したジバクイワは数こそ多いけど、自爆の有効射程距離内へはそんなに冒険者たちは入っていないしな。
俺は岩陰から飛び出し、出現したジバクイワたちから逃げるように裏道へ転がるジバクイワを追う。
背後から次々に爆発音と冒険者たちの怒号が聞こえてきた。
「うおっ! こりゃまずいな!」「防御魔法を!」
「こっちには回復を頼む!」
うん、冒険者たちの方はなんとかなりそうだな。
「ちょっとちょっとちょっと! 何よこれー!」
腕の中で悲鳴をあげるエリスは、いつの間にか俺の服をぐしゃりと掴んで涙目になっている。
怖がらせて申し訳ないとは思うけどティナたちの安全が最優先だ、これくらいは我慢してもらおう。
ていうか結構やばいことやってんな、俺。後でエアとかグレイスからは怒られるだろうな……。
「エリス様ー!」「エリスしゃまー!」
「うわあああ!」
「ねえ、何か今兵士たちの声が聞こえなかった?」
「気のせいだろ」
やっぱりいやがったか。
冒険者たちに続いて、後ろからは兵士たちが悪戦苦闘する声が届く。
だけどその声も遠くなり次第に聞こえなくなってきた。
ジバクイワについていくと、いくつか前の分かれ道まで戻ってきた。
そのまま看板に「こっちは行き止まり」と書かれている道へと入って行く。
背後からはまだ断続的に爆発音が聞こえてくる。
ジバクイワたちが念入りに道を封鎖してくれているみたいだ。
「ちょっと、どこまでいくのよ!」
「まだ爆発音が聞こえてくるし危険だ。それに、ちょうどよさげな裏道を見付けたからこのまま突撃してみるぜ」
俺の腕の中にいるエリスには先を行くジバクイワの姿は見えていないはずだ。
こういっておけば何とかなる……といいけどな。
いつしか山道は徐々に狭くなって獣道へと変わり、周りの風景は岩と土が中心のゴツゴツとした山肌から緑の生い茂る秘境へと変わる。
葉擦れの音や枯れた木を踏み割る音に混じって動物の鳴き声も聞こえてきた。
「…………」
慣れない環境に怯えているのか、次第にエリスは何も言わなくなった。
道が細く視界も悪いのでジバクイワを追うのも段々きつくなってくる。
そんな時だった。
(そろそろ裏道に出るぜぇ! 「やつ」が踏み鳴らした道を行きゃ頂上へはすぐにつくってもんだ! あばよ!)
(ありがとな!)
そこでジバクイワの声は聞こえなくなった。
「やつ」って何のことだろう、まあいいか。
そのまま走り続けると、やがて少し開けた場所に出た。
人が踏み入らないので整備はされていないものの、道だとわかるものが一本通っている。まあまあ横幅も広い。
左右も獣やモンスターの仕業なのか、適度に草木が刈り取られている。
道は先の方で折れ曲がっていて、曲がった先は斜面になっているようだ。
恐らく頂上へ向けてかなり短い距離でいける道になっているのだろう。
何でそんな風になってんのかはわからないけど、この道を使えば俺の足ならすぐに頂上へといけるかもしれない。
ふとエリスを抱き上げていたことを思い出して、腕の中をちらと見た。
すっかり大人しくなったというよりはほとんど固まっている。
「おい、もう大丈夫だぞ」
声をかけると、エリスは無言のまま潤んだ目でこちらを見上げてきた。
実にちびっこらしい表情である意味安心する。
怖がらせて悪かったという気持ちはあるものの、ジバクイワから逃げたという体なので謝るわけにもいかない。
とりあえずエリスを地面に降ろしてやると、
「あっ、ちょ、ちょっと……」
と言いながら地面にへたり込んだ。
さっきまでの恐怖で足に力が入らないらしい。
膝を折って目線の高さを近付けてから話しかける。
「やっぱ怖かったか?」
「当たり前じゃない、あんなの初めてだったんだから」
「つっても戦闘はしてねえだろ」
「そうだけど、外に行くときは大体兵士が大勢付き添って、近くに来る前に全部倒しちゃってたから」
そこで頭を撫でながら言ってやった。
「それじゃいい経験になったな、王女様」
「うるさい! 調子に乗るな!」
俺の手を払いのけてそっぽを向くエリス。
とりあえずエリスが回復するまでその場で少し待つことにした。
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