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英雄たちの選択 前編 結集、そして決断
門番兄弟の恋路
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一方でこちらは「嵐竜」の背中の上。
ソフィアと同乗出来なかったことによって気分が若干落ち込んでいる魔王へ、ファリスが懲りもせずに話しかけているところだ。
「魔王様見て! すっごくいい眺めじゃない?」
「ああ、そうだな」
露骨に生返事をされても、健気に会話を続けるファリス。
「あっ、ほらほら。またあいつら、何か馬鹿なことやってる」
「ん?」
ファリスが指差した先を追えば、そこには「雷竜」の背中の上で立ち上がり、天に向かって何かを叫ぶ一人四天王の姿があった。その様子を眺めながら、魔王は呆れ顔でため息をつく。
「お前らは本当にいつも騒がしいな」
「お前『ら』って何よ、『ら』って。私は騒がしくしてないでしょ」
頬を膨らませて抗議をするファリスに、魔王は目を細めながら言う。
「どこがだ。うるさいのはいつもお前とウォードだろうが」
「あれはあいつが突っかかって来るから相手してやってるだけよ」
「あら、本当かしら」
「めちゃくちゃ仲良さそうに見えるけどな!」
ここぞと言わんばかりに横からシルビアとメイが割り込んで来る。やることがなくて退屈そうにしていたティノールもこれに乗じた。
「仲が良い者たちほどよく喧嘩をすると言うぞ?」
「なっ、何よあんたたち。そんなわけないでしょ、私が好きなのは魔王様だけなんだから。ねっ、魔王様」
人から好きかと問われれば照れるが、自分から言う分にはあまり抵抗がないらしい。そうして自分の腕に抱きつくファリスに、魔王は流し目を送りながら少し嬉しそうに問い掛ける。
「何だお前、ウォードのことが好きだったのか? それならこの俺が仲を取り持ってやるぞ」
普段つまらなそうにしているのに、よりにもよって自分を種にした恋愛話で笑顔を見せる魔王に、ファリスは複雑な気持ちになりながら叫んだ。
「何でそうなるのよ! 違うって言ってるじゃない!」
「あらあら照れちゃって。可愛いわねえ」
「実際どうなんだよ。ウォードのこと、どう思ってんだ?」
メイに問われてファリスは即座に、怒りの形相はそのままで答えた。
「どうも思ってないわよ!」
「ふっ、まあ今日のところはそういうことにしておこうではないか」
「うぐっ……あんたら、いい加減に」
ティノールにからかわれてうめき声をあげたかと思えば、ファリスは突然手のひらをシルビアやメイがいる辺りに向けた。
何かに気付いたティノールが焦ったように言う。
「おい、まさかお主」
「しなさい! 『ヘルファイア』!」
「嵐竜」の背中から灼熱の火柱があがるのであった。
一方フェニックスの背中では、勇者パーティーとジンを除く精霊陣は別々に座っていた。何故かこちらに乗っている門番兄弟は勇者パーティー側にいて、ソフィアは妖精姿のまま、セイラとティナの間を行ったり来たりしている。セイラと恋人同士と言っておきながら浮気性な女神である。
ジンが門番兄弟を睨みつけながら言った。
「何でお前らがこっちに乗ってんだよ」
「仕方ないだろ。不死鳥の上が一番広いんだから」
弟バルバロスの言う通りで、巨大化したフェニックスはドラゴン二頭よりもはるかに大きい。どちらに乗っても他の幹部たちに比べて場所を多く取ってしまう二人は、気を使ってこちらに来ることにしたようだ。
拗ねたような口調のバルバロスとは対照的に、兄のダイダロスが神妙な面持ちで謝罪の言葉を口にする。
「邪魔をして済まぬな。それと魔王城で戦ったことは水に流してもらって、今後は友好的に接していただけるとありがたい」
「まあ、そこまで言うなら別にいいけどよ」
「さすが兄ちゃんはかっこいいなぁ! じゃあ僕も人間たちと仲良くする!」
目を輝かせて兄を見つめる弟。そこに、ソフィアがとてもご機嫌な様子で輪の中に文字通り飛び込んで来た。
「うんうん。仲良しなのはいいことですね! ダイダロスさんのような方が人間やモンスターに一杯いれば、争いはすぐになくなるかもしれません!」
「そうだよ。ジン君も最初の突っかかるような態度はだめだよ」
「うっ。その、何だ。悪かったな」
出来の悪い弟にするかのように微苦笑を浮かべながらティナにそう言われ、ジンは素直に謝った。この男は、ティナには本当に弱いのである。
ダイダロスは手を横に振りながら応じる。
「いや、ジンが気に病む必要はない。喧嘩を最初にふっかけたのは我々だったのだからな。バルバロスも、彼らに謝っておけ」
「ごめんなさい」
尊敬する兄に促されてとても素直に謝るバルバロス。
どうやらこのダイダロスというサイクロプスは、中々に親しみやすく気配りも出来るようだ。会話をするのは三度目、玉座の間で正式に紹介を受けてからは初めてにも関わらずジンの名前を覚えているし、自分に悪い部分があると思えば素直に謝ることも出来る。
「僕たちも、モンスターに対して偏見や誤解を抱いている部分があったから、それを改めないといけないね」
「そうですわね」
ダイダロスを見て、ラッドとロザリアもそんな会話を交わす。
「それは我々モンスターとて同じことだ。今回の戦いを機に手を取り、助け合って生きていければいいと思っている」
人格が出来過ぎていて逆に苦手なタイプだと思ったジンだが、その殊勝さには素直に舌を巻いた。これからの平和な未来を感じさせるダイダロスの存在に、場は温かい空気に包まれていく。
はずだった。
「さすが兄ちゃんだね。キャサリンが好きになるのもしょうがないよ!」
完全に吹っ切れたわけではないだろうに、そんな無邪気を装ったバルバロスの元気な一言が兄を凍り付かせた。ぎぎぎ、と固くなった首をどうにか動かして弟の方に顔を向ける。
「弟よ。今はその話はやめないか」
「あっごめん。そうだよね、こんなところで恋人の話をされると恥ずかしいよね」
「そういうことではなくてだな」
「兄ちゃん、僕、二人のこと応援してるよ。キャサリンが好きになった相手が兄ちゃんで本当によかった」
「弟よ……ではなくて、いいから話を聞いてくれ」
相手が兄だったとはいえ、好きになった女を取られても祝福出来る。そんな弟の成長に一瞬心を動かされた兄だったが、すぐに我に返った。
兼ねてからキャサリンと言う存在が気になっていたティナは、話題に上がったついでに聞いてみることにした。
「そのキャサリンって誰なんですか?」
「名前が出てからずっと気になっていてね。よければ教えてくれないか」
ラッドとロザリアも興味深々なようで、じっとダイダロスを見つめている。
どうやらこのままでは場が収まりそうにないことを悟ったダイダロスは、観念したように一つため息をついてから語り始めた。
「皆が期待をしているのなら話そう。キャサリンというのは、我々の家の近所に住んでいた私よりも年上の女だ」
ソフィアを含むジンたちはほわほわほわんと、それぞれに「幼なじみで近所に住む年上のお姉さん」を頭に思い浮かべた。
「中々に小うるさくてお節介を焼いて来る女でな。小さい頃は私も弟も、よく怒られたりしたものだ」
「必殺のげんこつがすごく痛いんだよね」
「うむ。しかしおやつの盗み食いをわざと見逃す優しさもあったりしてな……」
しんみりとした様子で思い出を懐かしむ兄弟に対して、ジンたちは該当する少女像を作り上げるのに必死だ。ちなみにジンとティナを除く三人は既にサイクロプスで想像することを諦めて人間に置き換えている。
「そんな風だからな、私も最初はキャサリンを女性としては認識していなかった。大切な存在だけれどもどちらかと言えば家族のようなそんな感覚だったのだ。だが成長するにつれて、我々はみるみるうちに大きくなり、キャサリンの身長を追い越していった……」
ここでモンスターの生態にあまり詳しくないティナも脱落して、人間の少女に置き換え始めた。
「そんなある日のこと。家から少し離れたところを歩いていると、キャサリンが見知らぬ男たちに絡まれているのを発見したのだ。勝気で強いキャサリンなら問題なく追い払うだろうと事態を見守っていると、腕を掴まれて強引に連れていかれそうになってしまった。どうやらキャサリンは本気で振り払おうとしても出来ないようだった」
「そんなことがあったんだ……」
どうやらこの話はバルバロスも知らなかったようだ。
「私はすぐさま助けに入り、男共を蹴散らした。魔王城の門番に選ばれるだけあって、その頃の我々は既に腕っぷしには自信があったからな。だがそこで気付かされてしまったのだ。キャサリンがただ一人のか弱い女性であるということに」
「なるほどな……」
そう呟いたのはジンただ一人だった。他の者も想像が追いつかないなりに人間に置き換えて思い出話に没入し、うんうんとうなずいてはいる。
「そこからは早かった。私はキャサリンをデートに誘い、頃合いを見計らって告白をした。キャサリンは受け入れてくれて、めでたく恋人関係になったのだ……」
「そうだったんだ……」
「すまんなバルバロス。お主の気持ちに気付いてはいたが、それはあくまで家族としてであって、女としてではないと思っていた。それどころか、お主なら祝福までしてくれるだろうと勝手に思っていた愚かな私を殴ってくれ……」
瞑目して首を垂れる兄に、弟は勢いよく反論する。
「何を言ってるんだい兄ちゃん! たしかにキャサリンのことは好きだったけど、相手が兄ちゃんならむしろ良かったよ! 僕、本当に応援してるから!」
「弟よ!」
今度こそダイダロスは成長した弟に感動し、抱きしめた。
うん、まあよくわからんけど良かったな……とジンは思う。
「勝気で照れ屋さんというのもいいですね……じゅるり」
「幼なじみかあ。いいなぁ」
想像が追いつかなかったソフィアとティナは、別の方向に想像が膨らんで勝手に楽しんでいるようだ。
「まるで私とラッド様のようなお話でしたわね」
「ロザリアは小さい頃から今のように優しくて素敵だったけれどね」
ラッドとロザリアは、最初からあまり話を聞いていないようだった。
ソフィアと同乗出来なかったことによって気分が若干落ち込んでいる魔王へ、ファリスが懲りもせずに話しかけているところだ。
「魔王様見て! すっごくいい眺めじゃない?」
「ああ、そうだな」
露骨に生返事をされても、健気に会話を続けるファリス。
「あっ、ほらほら。またあいつら、何か馬鹿なことやってる」
「ん?」
ファリスが指差した先を追えば、そこには「雷竜」の背中の上で立ち上がり、天に向かって何かを叫ぶ一人四天王の姿があった。その様子を眺めながら、魔王は呆れ顔でため息をつく。
「お前らは本当にいつも騒がしいな」
「お前『ら』って何よ、『ら』って。私は騒がしくしてないでしょ」
頬を膨らませて抗議をするファリスに、魔王は目を細めながら言う。
「どこがだ。うるさいのはいつもお前とウォードだろうが」
「あれはあいつが突っかかって来るから相手してやってるだけよ」
「あら、本当かしら」
「めちゃくちゃ仲良さそうに見えるけどな!」
ここぞと言わんばかりに横からシルビアとメイが割り込んで来る。やることがなくて退屈そうにしていたティノールもこれに乗じた。
「仲が良い者たちほどよく喧嘩をすると言うぞ?」
「なっ、何よあんたたち。そんなわけないでしょ、私が好きなのは魔王様だけなんだから。ねっ、魔王様」
人から好きかと問われれば照れるが、自分から言う分にはあまり抵抗がないらしい。そうして自分の腕に抱きつくファリスに、魔王は流し目を送りながら少し嬉しそうに問い掛ける。
「何だお前、ウォードのことが好きだったのか? それならこの俺が仲を取り持ってやるぞ」
普段つまらなそうにしているのに、よりにもよって自分を種にした恋愛話で笑顔を見せる魔王に、ファリスは複雑な気持ちになりながら叫んだ。
「何でそうなるのよ! 違うって言ってるじゃない!」
「あらあら照れちゃって。可愛いわねえ」
「実際どうなんだよ。ウォードのこと、どう思ってんだ?」
メイに問われてファリスは即座に、怒りの形相はそのままで答えた。
「どうも思ってないわよ!」
「ふっ、まあ今日のところはそういうことにしておこうではないか」
「うぐっ……あんたら、いい加減に」
ティノールにからかわれてうめき声をあげたかと思えば、ファリスは突然手のひらをシルビアやメイがいる辺りに向けた。
何かに気付いたティノールが焦ったように言う。
「おい、まさかお主」
「しなさい! 『ヘルファイア』!」
「嵐竜」の背中から灼熱の火柱があがるのであった。
一方フェニックスの背中では、勇者パーティーとジンを除く精霊陣は別々に座っていた。何故かこちらに乗っている門番兄弟は勇者パーティー側にいて、ソフィアは妖精姿のまま、セイラとティナの間を行ったり来たりしている。セイラと恋人同士と言っておきながら浮気性な女神である。
ジンが門番兄弟を睨みつけながら言った。
「何でお前らがこっちに乗ってんだよ」
「仕方ないだろ。不死鳥の上が一番広いんだから」
弟バルバロスの言う通りで、巨大化したフェニックスはドラゴン二頭よりもはるかに大きい。どちらに乗っても他の幹部たちに比べて場所を多く取ってしまう二人は、気を使ってこちらに来ることにしたようだ。
拗ねたような口調のバルバロスとは対照的に、兄のダイダロスが神妙な面持ちで謝罪の言葉を口にする。
「邪魔をして済まぬな。それと魔王城で戦ったことは水に流してもらって、今後は友好的に接していただけるとありがたい」
「まあ、そこまで言うなら別にいいけどよ」
「さすが兄ちゃんはかっこいいなぁ! じゃあ僕も人間たちと仲良くする!」
目を輝かせて兄を見つめる弟。そこに、ソフィアがとてもご機嫌な様子で輪の中に文字通り飛び込んで来た。
「うんうん。仲良しなのはいいことですね! ダイダロスさんのような方が人間やモンスターに一杯いれば、争いはすぐになくなるかもしれません!」
「そうだよ。ジン君も最初の突っかかるような態度はだめだよ」
「うっ。その、何だ。悪かったな」
出来の悪い弟にするかのように微苦笑を浮かべながらティナにそう言われ、ジンは素直に謝った。この男は、ティナには本当に弱いのである。
ダイダロスは手を横に振りながら応じる。
「いや、ジンが気に病む必要はない。喧嘩を最初にふっかけたのは我々だったのだからな。バルバロスも、彼らに謝っておけ」
「ごめんなさい」
尊敬する兄に促されてとても素直に謝るバルバロス。
どうやらこのダイダロスというサイクロプスは、中々に親しみやすく気配りも出来るようだ。会話をするのは三度目、玉座の間で正式に紹介を受けてからは初めてにも関わらずジンの名前を覚えているし、自分に悪い部分があると思えば素直に謝ることも出来る。
「僕たちも、モンスターに対して偏見や誤解を抱いている部分があったから、それを改めないといけないね」
「そうですわね」
ダイダロスを見て、ラッドとロザリアもそんな会話を交わす。
「それは我々モンスターとて同じことだ。今回の戦いを機に手を取り、助け合って生きていければいいと思っている」
人格が出来過ぎていて逆に苦手なタイプだと思ったジンだが、その殊勝さには素直に舌を巻いた。これからの平和な未来を感じさせるダイダロスの存在に、場は温かい空気に包まれていく。
はずだった。
「さすが兄ちゃんだね。キャサリンが好きになるのもしょうがないよ!」
完全に吹っ切れたわけではないだろうに、そんな無邪気を装ったバルバロスの元気な一言が兄を凍り付かせた。ぎぎぎ、と固くなった首をどうにか動かして弟の方に顔を向ける。
「弟よ。今はその話はやめないか」
「あっごめん。そうだよね、こんなところで恋人の話をされると恥ずかしいよね」
「そういうことではなくてだな」
「兄ちゃん、僕、二人のこと応援してるよ。キャサリンが好きになった相手が兄ちゃんで本当によかった」
「弟よ……ではなくて、いいから話を聞いてくれ」
相手が兄だったとはいえ、好きになった女を取られても祝福出来る。そんな弟の成長に一瞬心を動かされた兄だったが、すぐに我に返った。
兼ねてからキャサリンと言う存在が気になっていたティナは、話題に上がったついでに聞いてみることにした。
「そのキャサリンって誰なんですか?」
「名前が出てからずっと気になっていてね。よければ教えてくれないか」
ラッドとロザリアも興味深々なようで、じっとダイダロスを見つめている。
どうやらこのままでは場が収まりそうにないことを悟ったダイダロスは、観念したように一つため息をついてから語り始めた。
「皆が期待をしているのなら話そう。キャサリンというのは、我々の家の近所に住んでいた私よりも年上の女だ」
ソフィアを含むジンたちはほわほわほわんと、それぞれに「幼なじみで近所に住む年上のお姉さん」を頭に思い浮かべた。
「中々に小うるさくてお節介を焼いて来る女でな。小さい頃は私も弟も、よく怒られたりしたものだ」
「必殺のげんこつがすごく痛いんだよね」
「うむ。しかしおやつの盗み食いをわざと見逃す優しさもあったりしてな……」
しんみりとした様子で思い出を懐かしむ兄弟に対して、ジンたちは該当する少女像を作り上げるのに必死だ。ちなみにジンとティナを除く三人は既にサイクロプスで想像することを諦めて人間に置き換えている。
「そんな風だからな、私も最初はキャサリンを女性としては認識していなかった。大切な存在だけれどもどちらかと言えば家族のようなそんな感覚だったのだ。だが成長するにつれて、我々はみるみるうちに大きくなり、キャサリンの身長を追い越していった……」
ここでモンスターの生態にあまり詳しくないティナも脱落して、人間の少女に置き換え始めた。
「そんなある日のこと。家から少し離れたところを歩いていると、キャサリンが見知らぬ男たちに絡まれているのを発見したのだ。勝気で強いキャサリンなら問題なく追い払うだろうと事態を見守っていると、腕を掴まれて強引に連れていかれそうになってしまった。どうやらキャサリンは本気で振り払おうとしても出来ないようだった」
「そんなことがあったんだ……」
どうやらこの話はバルバロスも知らなかったようだ。
「私はすぐさま助けに入り、男共を蹴散らした。魔王城の門番に選ばれるだけあって、その頃の我々は既に腕っぷしには自信があったからな。だがそこで気付かされてしまったのだ。キャサリンがただ一人のか弱い女性であるということに」
「なるほどな……」
そう呟いたのはジンただ一人だった。他の者も想像が追いつかないなりに人間に置き換えて思い出話に没入し、うんうんとうなずいてはいる。
「そこからは早かった。私はキャサリンをデートに誘い、頃合いを見計らって告白をした。キャサリンは受け入れてくれて、めでたく恋人関係になったのだ……」
「そうだったんだ……」
「すまんなバルバロス。お主の気持ちに気付いてはいたが、それはあくまで家族としてであって、女としてではないと思っていた。それどころか、お主なら祝福までしてくれるだろうと勝手に思っていた愚かな私を殴ってくれ……」
瞑目して首を垂れる兄に、弟は勢いよく反論する。
「何を言ってるんだい兄ちゃん! たしかにキャサリンのことは好きだったけど、相手が兄ちゃんならむしろ良かったよ! 僕、本当に応援してるから!」
「弟よ!」
今度こそダイダロスは成長した弟に感動し、抱きしめた。
うん、まあよくわからんけど良かったな……とジンは思う。
「勝気で照れ屋さんというのもいいですね……じゅるり」
「幼なじみかあ。いいなぁ」
想像が追いつかなかったソフィアとティナは、別の方向に想像が膨らんで勝手に楽しんでいるようだ。
「まるで私とラッド様のようなお話でしたわね」
「ロザリアは小さい頃から今のように優しくて素敵だったけれどね」
ラッドとロザリアは、最初からあまり話を聞いていないようだった。
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