R18の乙女ゲーに男として転生したら攻略者たちに好かれてしまいました

やの有麻

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高年期[二学期・後編]

風間くんに天誅!・・・あれ?

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放課後・・・




「さて・・・行きましょうか陽南さん。」

「・・・はい。そうですわね。」

「はぁ~・・・僕、幼い頃は男児だった自分が凄く嫌いだったけど・・・今は男で良かったと思うよ。・・・体、鍛えられるし。前世を引き継いで運動神経が良くて助かったよ。」

「あら、幼い頃は自分が嫌いでしたの?」

「そうだよ。だって僕は元女性だったんだよ?女性にあるモノが無くて、男性にないモノがあるんだよ?トイレから風呂とか苦痛でならなかったよ。・・・0歳で記憶を取り戻せてたら良かったかもしれないけど僕は3歳の頃に記憶が戻ったからね。・・・もうショックで。」

「あぁ~・・・そうですわよね。男性のアレが付いてるんですもんね。私も少し抵抗がありますわ。・・・ところで、風間くんに何をするつもりですの?」

「まぁ・・・とりあえず一発入れときたいなぁと思う。勿論執事さんに許可を得るよ?」

「どうやって?」

「・・・ア~イ、コンタクトでっ☆」

「そ、そうですか・・・。」






あ、ちょっと引かないでよ陽南さん。確かに変なテンションで調子に乗って可愛くウィンクしちゃったんだけど、引かなくても良くない?






理事長室。




ノックをすると返事があったので中へと入る。理事長室には既に執事さんがいた。僕を見るなり一礼してきた。






「・・・あれが風間くんの執事さん?」

「そうだよ。イケメンでしょ?」

「はぁ~確かに。この世界は本当にイケメンで溢れてるので私にとって天国ですわぁ。」

「そ、そう?」





入って早々陽南さんが執事さんを見て呟いた。あーうん、執事さん、まだ20代後半で元侯爵の爵位を持ってたらしいんだよね。何故「元」が付くのかはわからないけど態度を見れば一目瞭然なんだよね。執事だからかもしれないけど一つ一つの動作が丁寧だし言葉使いも綺麗だしね。





さて、とりあえず執事さんに許可をもらわなきゃね。






「(足利さん・・・一発お見舞いしたいのですがいいですか?)」

「(また主が何か粗相したのですか?まったく・・・呆れますね。お好きなように。)」

「(有難うございます。後に理由を本人に語らせますので。)」

「(了解いたしました。思う存分やってくださいませ。)」

「(うん、有難うございます。)」



※これはアイコンタクトでのやりとりです。





端から見たら互いに目を泳がせたり頷き合ったりして奇妙に見えてるだろうが執事さんとアイコンタクトがとれて、了承を得たので早速実行しようと思います。





なんとなく銀徹さんも僕と執事さんのやり取りをみて察したようで・・・風間くんの隣に立ってたのに何故か風間くんから距離を取りだした。・・・うん、流石ですね。





「やっと来たね薫風。さあ、ソファに座って。」

「お待たせしたようで・・・申し訳ございません。あの、失礼ですが、立ってもらえませんか?」

「ん?なんだ?皆の前で抱擁か?・・・仕方ないなぁ。」





・・・うん、その照れ笑い、前ならキュンキュンしてたんだけどねぇ~・・・今はそれすらイライラするわっ。





「失礼」

「っ!なっ・・・」





ドスッと鈍い音が理事長室に響いた。





嬉々として僕の方に歩み寄ってきた所に僕もニコリと微笑みかけ一歩前に出て重心をかけ鳩尾に一発グーで殴り付けました。




あー流石、悲鳴は押し殺したみたい。でも膝から崩れ落ちました。ざまぁ!・・・後ろで何故か3人が拍手してます。パチパチパチと(笑)




・・・誰も風間くんの味方になってやらないんだ(笑)銀徹さんは肩を震わせてるし、執事さんは満面の笑みだし、陽南さんは納得したようにウンウンと頷いていた。






「流石薫風様。見事な拳です。」

「まぁ、妥当だな。顔にもやった方が良いんじゃないか?いや男の弱点でも・・・」

「ふふ。それにしても流石に風間くんでも膝から崩れ落ちましたわね。薫風くんの拳はそんなに重たいのでしょうか?」

「「風間くん・・・!ップ」」

「ふふ・・・僕だって毎日少しだけど鍛えてるからね。まぁ本格的に鍛えてる人には敵わないけどね。・・・というか、こんなに風間くんが腐るとは思わなかったよ。リセットはデメリットが多すぎた。」

「「・・・。」」

「ちょ・・・薫風・・・一体っ、なにを・・・?」






何故か僕と陽南さんが風間くんを君呼びしてるのが気になって仕方ないらしい。まぁ・・・年上の男性に使う言葉ではないよね。



それより風間くん、気を失わなかったね。反吐もなし。流石だねぇ・・・ちょっと残念。でも膝立ちに腹部を抑えてる姿は見下してる感がでて清々しいです。





「前世では僕の方が年上でしたから。でもプレイヤーからしたら誰でも「くん」か「さま」か呼び捨てだからね。僕はくん呼びが多かったかな。」

「ふふ、私は呼び捨てでしたわ。でも薫風くんがくん呼びだったからそう呼んでるだけですわ。」

「さ、左様です、か・・・なんとも、見た目と態度と言葉が合ってませんね・・・」

「仕方ないさ足利。俺は、まあ前世の記憶があろうがなかろうが生きてるには問題ないから気にはしてなかったがな。足利にしたら違和感を感じるだろうな。」

「そうだね。・・・今から話す言葉は前世の記憶が題材で話すから、少しでも疑問を抱いたらすぐに言ってください。」

「・・・わかりました。」

「では・・・どこから話そうかね・・・まず、ゲームについて話しましょうか。」






まずリセットについて話をする前にゲームについて話した方が、後に話す内容を飲みやすいだろうしね。






「『ゲーム』について・・・僕たちが言っているゲームというのは『恋愛シュミレーション』というジャンル、種類に入るもので、これは『テレビゲーム』という、トランプやチェスとは違う部類のゲームの事を言います。」

「てれびげーむ・・・」

「この世界には存在しませんわ。車の様な機械で出来ている物なのですが、『電波』というものが存在しないので『アンテナ』が作れず、テレビゲームもきっと作れないのでしょう。」

「・・・初めて聞く言葉です。」

「まぁテレビゲームをするにあたって電波とかは関係ないけどね。『電気』を使えさえできれば普通にゲームできるんだけど・・・うん、この世界は不思議だよね。」

「・・・あしかが・・・手を、貸してくれ・・・」

「あ・・・」





あらら・・・風間くんを忘れていたよ。一応効いてるみたいで動けないらしいね。執事さん、そんな嫌々な顔しないで手を貸してあげて?





「まったく・・・貴重な話を聞いてるというのに・・・あなたって人は。」

「うっ・・・薫風、何故私を殴ったのだ?」

「えっ!?わかりませんか?・・・それは自分の胸の中に問うてください。」

「なっ・・・」

「今の風間には無理だろう。何故か物凄く皮肉れてしまってるからな。」

「五十嵐・・・お前は知ってるのか?」

「勿論。学校の噂だろう薫風?」

「ご名答。さすが銀徹さん!」

「う、噂・・・?」






え、この人無自覚であんな噂流したわけ?それであんな酷い事言ったの?・・・それにしても皮肉れた?銀徹さんは噂の事知ってるのかな?




「・・・薫風、知りたいか?噂の内容。」

「!・・・う~ん、知りたいような、でも聞いたら後悔しそう・・・」

「まぁ、不愉快な話だな。・・・だがリセット?前のお前や、そこにいる花塚の事はまるで別人のようだぞ?」

「「は?」」





あ、陽南さんとハモった。・・・そうしてるうちに風間くんがソファに座った。席順は3人用に僕と陽南さん。1人用に銀徹さん、風間くんが座り、執事さんは銀徹さんと風間くんの間に斜め後ろに立っている。座ってと促したが「執事は主人の前では座れない」との事で断固拒否された。・・・さすが執事の鏡(笑)





「薫風は入学当初、いろんな男に目をつけられて逃げ回ってたらしい。・・・何故か護身術を使ってる様子がなかった。それで襲われそうになってた所に風間が登場して薫風を助けた。・・・そこまでは知ってるか?」

「はい。本人に聞きましたから。」

「・・・その後が酷い。薫風、お前は暇さえあれば理事長室に押し掛けたり授業中でも風間の姿を見つけては大声で声をかけていたようだ。」

「・・・うそ。」

「確かな情報だ。それで風間とお揃いのピアスを片方ずつ付けてる事で、恋人だと見せびらかし自慢気にしていたらしい。」

「ハハ・・・」

「風間のファンクラブに度々嫌がらせを受けたらしいが気にもせず風間に付きっきりだったらしいぞ。・・・まぁそれでもゲスな奴はどこにでもいてな、風間と恋人だと知りながら薫風を襲う奴がいたらしい。・・・だがタイミング良く風間が助けるから薫風は更に付け上がった?らしいぞ。」

「・・・目眩が」

「薫風くん・・・なんとも大胆な。」

「申し訳ありません五十嵐様、その、ふぁんくらぶと言うのは?」

「ああ・・・あの親衛隊のようなものだ。追っかけをする奴らの事だな。」

「ふぁんくらぶと言うのですか・・・面白いですね。」






目眩がする・・・まるで金魚の糞、パシり?ほんと追っかけだよね・・・うわ、最悪。






「そんなの、僕じゃない・・・穴があったら入りたい・・・」

「続けるぞ?・・・そこで、契約書の事もあって助けてたが毎回助けるのが面倒になった風間はファンクラブを使って噂を流した・・・『薫風は性悪で執着心が凄く、風間理事長に少しでも接触すれば報復が酷い。そのため風間理事長は迷惑している。だが慈悲深い方な為、人助けをしている。体の具合は良いため気に入ってるため薫風に手出し無用。』・・・だったか?そんな感じの噂を流したらしい。なんだか警告の様な内容だったな。自分を養護しつつ薫風に悪印象をつけるような内容だった。・・・まぁ、越名だったか?あいつに聞けばもっと詳しくわかるだろう。」

「・・・」

「執着云々の前に・・・鬼畜ですわね風間くんは・・・」

「我が主はっ・・・なんと酷い事を薫風様にっ!」





うん・・・これは流石に酷いわ。でもその前に僕の態度にも問題あるけどね。・・・これ、流依兄さんも知ってるって事だよね?・・・だからあんな冷たい態度だったんだ・・・まぁ、僕もそんな金魚の糞の様な弟いたら嫌だわ。






「花塚の方は・・・まさに天使の様な少女だとか。」

「「・・・は?」」





あ、また陽南さんと被った。陽南さんが天使ねぇ~・・・


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