IT学園○学部

阿井上男

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第四話

目覚め・そして愛しあう兄妹7

「そろそろ出ようか」 

食事を済ませ、真姫と他愛もない話をしている最中、スマートフォンのアラームが鳴った。 

ふと時計を確認したら、入店してからもう二時間くらいたっていた。いくらなんでも長居しすぎだ。 

 「もうこんな時間。お話に夢中になりすぎちゃったね」 

 照れくさそうに真姫が髪をかき上げつつ言う。 

ほつれ髪が宙を泳ぐようにふわりと広がる。 

 よほど丁寧に手入れしているのだろう。 

真姫の髪は、果実のような香りをふわりと漂わせながら、するりと元の一に収まる。 

艶のある黒さに光が吸収されたかのように、美しく輝く妹の髪は、思わず手を伸ばしたくなるほどに流麗な流れを見せていた。 

あの冷静沈着で回りの物事に頓着しない真姫が、何気ない仕草一つ一つに女っぽさを漂わせるようになるなんて。 

「じゃあ、店員さんを呼ぶね」 

席に座ったまま会計できるらしい。真姫が手を挙げ、空中に何かなぞり上げると、デバイスが浮かび上がった。 

その浮かび上がったデバイスのボタンが呼び出しの装置になっているようだ。 

ウエイトレスさんが反応し、少々おまちください、と言って、店内に引っ込んだ。 

会計に来るまでの間、俺は何気なく真姫が空中に持ち上げた手を見た。 

きれいな手、細い指、その指先は照明に照らされわずかに輝いている。 

ネイルだろうか。ややラメの入った淡いピンクの爪は、目ざわりでない程度のアクセントになっている。 

真姫はあまりネイルしないタイプだったのに、と思って何気なく見つめ続けていたら、真姫が俺の視線に気づいて首を傾げた。 

「どうしたの?」 

「真姫がネイルしてるのを見るは初めてだったから、つい」 

 「あぁ、これ? 特別な日だったから色々しようって決めてたの。変じゃないかな?」 

 「変だなんてそんな。すごくよく似合ってる」 

 「本当に?」 

「きれいだよ。真姫の指は長くて細いから、それによくあってると思う」 

少し淡いネイルの入った爪は透明感があって清潔な印象だ。 

 過剰なデコレートがされておらず、真姫の清純さにぴったりだった。 

 真姫の表情が、ぱぁっと明るい笑顔になった。 

「ありがとう。嬉しいな」 

花の咲き乱れるような笑顔、とはこういうことを言うのだろう。 

普段あまりあけすけな笑顔を見せない次女のこのような表情を見せられると、ぐっとくるものを感じてしまう。 

「兄さんに褒めてもらうのが一番うれしい。ちょっと意外な気がするけどね」 

「意外なのか?」 

「うん。兄さんが私の事をそんなふうに女の子扱いしてくれるのって、あんまり多くなかったから」 

「そうだったっけ」 

「そうだったの」 

軽口を漏らしながらも、その表情はひたすら緩い。 

真姫がこうまで表情を緩めるのは珍しい。俺のことを特別と思ってくれている証なのだろう。 

「私ね。兄さんに女の子としてみてもらえるのがいちばん嬉しいの」 

すっきりとした顔立ちに上品な笑みを浮かべる真姫は、名だたる女優もかくやというほどの美少女だ。 

胸の奥にこみ上げるほの温かい感覚は、どう表現すればいいのか思いつかない。 

妹相手に本気の胸の高鳴りを覚えるのは、昨夜のことがあったからというだけではないだろう。 

「やっぱり私、兄さんのことが好きだな……」 

真姫は唇の隙間から言葉を漏らし、テーブルごしにこちらへと片手を伸ばした。 

細く長い指を、俺に広げて見せる。流麗なフォルムを描く手の輪郭は女らしく控えめだ。 
 
俺は自然と真姫の手に自らの手を重ねていた。手のひらを重ね、指を這わせ、そして絡ませる。 

妹の手は俺の手よりも一回り以上ちいさく、ひどく柔らかかった。 

 「真姫の手はあったかいな」 

「兄さんもね。それに硬くて大きい。たくましい」 

ただ重ね合わせているだけなのに、ずっとこうしていたいと思ってしまうほどに心地よい。 

 「恋人繋ぎにあこがれてたの」 

真姫が俺と同じような感想を口にする。 

 絡めあう指をうっとりと眺めながら、真姫はうわごとのようにつぶやいた。 

「クラスの子たちと、彼氏ができたら、こんな風に指を絡めて手をつなぎたいよね、ってよく話してた」 

「言ってくれればよかったのに」 

「それは、だって、恥ずかしいから」 

真姫は俺から目をそらす。 

端正な横顔は黒髪に隠れて表情がうかがえない。 

真姫は耳にかかる髪を、空いた手で掻き上げる。 

そのほつれ髪の隙間から除く耳元は、恥じらいに赤く染まっていた。 

可愛い。 

「ゆうべのコトのほうが恥ずかしくないか?」 

「そ、それとこれとは違うでしょ」 

「そういうものかな」 

「そういうものなのッ。兄さんったら、少し褒めてくれたと思ったら相変わらずだよね」 

かぁあ、と真姫の表情が崩れる。 

あの冷静な次女が無防備に狼狽える姿は、ほほえましい。 

この子のこんな姿を、目の前で堪能できる贅沢は、俺だけの特権だ。 

照れている姿をごまかし紛れに唇に指をあてがう姿すら、とめどない魅力を感じてしまう。 

相手は妹だというのに、なぜこんなにまで胸がざわめくのか。 

いや、実妹だからこその愛情なのだろう。 

頬を赤らめ、笑みの中に恥じらいを浮かべる真姫を見て、俺は改めて実感した。 

この子は俺を兄としても男としても愛してくれているんだと。 

そして、俺はこの子を、女子として愛しているということを。 

「ごめんごめん」 

「もう」 

そろそろ鈍感なのも卒業しなければいけない。 

俺は真姫の指を、きゅ、と締めた。 

「今日からは恋人つなぎ、たくさんしような」 

「……うん」 

俺は真姫の細い指をからめとり、ぎゅ、と握る。 

嬉しそうに細まる真姫の目には幸せが浮かび上がっていた。 

「おっ会計ですねッお客様ッ」 

遠くから特徴的な声が弾み、ほぼ同時に軽快な足音が響いてきた。 

ぎょっとして俺たちは手を慌てて離す。 

「お待たせしましたー」

直後、ぽす、と俺の左半身に軽い衝撃が走る。ウエイトレスが俺の隣に腰かけ、抱き着いていた。 

ウエイトレスが、というか、結だった。 

「結、勢いよすぎないか」 

 「えっへへ。元気いっぱいでかわいいでしょッ」 

脇腹に手を回してしがみつく結は、花がほころぶような笑顔である。 

確かに可愛いのだが、周りの客や同僚の目は気にならないのだろうか。 

「結……仕事さぼってていいの?」 

結と反対側に立つ真姫が、結の登場に顔をこわばらせた。 

さっきまでの愛らしい表情はどこへやら、冷徹な視線が結を突き刺す。 

「さぼりじゃないもん。お会計しに来たのッ」 

「会計? 結が?」 

「なんでそこ疑問形なのよぅ」 

 「結にできるの?」 

「ちゃんと習ったモン」 

真姫は相変わらず結に対してのあたりが厳しめである。 

「巧兄はどう思う? 結、できる子でしょ?」 

「あぁ。信用してるよ」 

「やーん、ありがとー嬉しいー」 

実際、結は仕草が子供っぽいだけで器用にこなせる子ではある。 

 少し褒めると調子にのる癖はあるものの、それなりに賢い子ではあるのだ。 

「ホントに大丈夫?」 

不安そうな真姫とは対照的に、結はいたずらっぽく笑う。 

結は空中に指を数度、十字を刻むように走らせると、テーブルの端あたりに手をかざした。 

すると、空中に浮かび上がった四角の8インチモニター程度の枠に、料金の内訳と総請求額の1850円という文字が浮かび上がった。 

これもこの学園のテクノロジーだろうか。ことごとく特殊な技術をこともなげに扱っている。 

一回は見ているとは言え、慣れるまではまだしばらくかかりそうだ。 

「上手でしょ」 

結は鼻息が聞こえてきそうなほどに誇らしげである。 

「だれでもできそうな操作だけど」 

真姫は冷静だった。 

「操作にはコツがあるんですぅー覚えるの大変なんですぅー」 

真姫のあきれ顔にも結はひるまない。 

こういうやり取りを嫌味なく行えるあたり、意外とこれはこれでいい姉妹関係なのかもしれない。 

「スマホで決済できるか?」 

「もっちろん。ほとんどのアプリに対応してるから安心だよ」 

「じゃ、これで頼む」 

俺がスマートフォンでアプリを開き、差し出すと、聞きなれた決済音が鳴った。 

「あ、兄さん。私のぶん……」 

「いいよ、今回はおごらせてくれ」 

「え、でも」 

なおも気にする様子の真姫の頭を、柔らかく撫でた。 

「気にするなって。少しは彼氏っぽいとこ見せたいんだ」 

「う、うん。兄さんがいいなら、その……ありがとう」 

真姫の、撫でられている最中のくすぐったそうな反応が新鮮だ。 

こんな反応をしてくれるなら男冥利に尽きるというものだ。 

「真姫姉、うっとりしすぎ。だらしないなぁ」 

「結、うるさい」 

はやし立てるような結の声に、真姫は緩んでいた表情を引き締めた。 

「でも気持ちはわかるなぁ。巧兄、イケメンだし優しいし。いいなぁ、私も撫でてほしいー」 

「お仕事が終わったらな。ほら、そろそろ戻らないと怒られるぞ」 

「あぁん。早くバイトおわんないかな」 

結は名残惜しそうに俺から離れ、すた、と足音を立てて床に立つ。 

「またねッ巧兄ッ。今日の夕方、ここでだからねッ。待ってるからねッ」 

元気よく手を振りながら見送る結を背に、俺たちは店を後にした。 

ーーーーーーーーーー 

店でのやりとりは思っていた以上に長引いていたらしい。時間はもう昼を大幅にすぎていた。 

もうそろそろ春が訪れるこの季節、外は少し歩くと汗ばむくらいの気温だ。 

「じゃあ、あと少ししか時間がないけど学園の敷地内を案内するね」 

「あぁ。頼む」 

「こっちに学園の案内図があるの」 

向かった先は、学園の中心部にある施設案内図だった。 

「ここを押すと、ほら」 

図面に書かれている名称を指でなぞると、ぼぅ、と空中に画像が浮かび上がってきた。 

「この学園の敷地面積は、国内すべての学校の中で最大である」 

その説明文には、こんなことが書かれていた。 

「敷地面積は国内最大の9億平米? 日本一広い北海道大学が8億ちょっとだから、それよりも一億平米くらい大きいのか?」 

「すごいよね」 

話を聞く限りでは大規模なプロジェクトらしいから、国や大企業からの協力を得ているのだろう。 

それにしてもこの規模はすごいという表現で収まらないとは思うが。 

「そんな土地がこの県のどこにあったんだろう」 

「不要な農地とかを買い上げたみたい。よく知らないけど、キャンパスの土地を集められるだけ集めたんだって」 

「……手あたり次第、って感じだな」 

「あんまりよく分からないんだけど、日本だけじゃなくて海外の人もお金を出してくれたみたいなの」 

「海外も? 国のプロジェクトなのに?」 

「海外のケースの話もしたでしょ? あれ、協力してくれた人や団体がいたから手に入ったデータだよ」 

よく考えればそうか。 

そうなると、国際的な広がりも視野に入れた計画なのだろう。 

技術面や研究ジャンルのことを考えれば、わからなくもないのかもしれない。 

が、そんな資金を動かせるだなんて、この学園の理事長はいったい何者なんだろうか。 

人となりも含めて、まったく底が見えない。 

「建築中のものも含めるともっと広いみたいだよ」 

「まだ何か建てるのか……」 

学園内は一般的な大学と同等の設備だった。 

校舎、講義館などは一通りそろっている。 

特徴的なのは、すべての建物や部屋に入るには学生証をキーにして入館できる仕様になっていることだった。 

技術的には虹彩や指紋認証を使用した無形デバイス化も可能なのだろうが、そうしてしまうのも問題があるのかもしれない。 

まあ学生証といってもスマートフォンなどの持ち運びできる機器にアプリとしてインストールできるし、ブロックチェーンに近い暗号化技術も適用しているらしい。 

紛失のリスクは少ないようだ。 

施設としての建物は図書館や美術館、博物館、講義棟など10以上あり、部活やサークル用の棟は別にあるようだ。 

陸上競技場やテニスコート、サッカーや野球のグラウンド、プールなども充実している。 

あまりにも広い。 

敷地を端から端まで歩けば相当な時間がかかることだろう。 

真姫もすべての施設を歩いて巡るのは考えていないらしい。 

空中を浮遊するような特殊機構を備えていたりしないかと深読みしたのだが、さすがにそれはないようだ。 

この学園のハイテクは瞠目に値するのだが、講義やスポーツなどではあまり突拍子もないようなことをしでかしているわけではないらしい。 

そこについては少しほっとした。 

「けっこうオーソドックスなんだな。ほっとした」 

「そうでもないよ」 

「?」 

「商業施設がある区域があるんだって」 

「商業施設?」 

「カラオケボックスとかボウリング場とか、そういう施設だね。アクアリウムや映画館なんかもあるみたい」 

「なんだそれ。生徒がそんなの作れるのか?」 

「生徒の身内にすごい人がいるの。この学園の利用者や支持者には、すごい人が多いから」 

そういえば、卒業生も現役生もエリート揃いなんだよな。 

それにしても法律的な問題とかいろいろあると思うんだけど。 

「映画製作部の生徒が部活のために敷地を改装して、それがそのまま残ってる、っていう設定みたい」 

「設定って」 

「いちおう名目上は、次の自作映画の撮影に使うっていうことになってるからね」 

「そうか……それでいいのか」 

この学園というよりもこの国は大丈夫なのか? 

「血液成分の濃度には恋人同士の絆の深さが重要な要素、って言ったの覚えてる?」 

「え? 唐突にどうした」 

「そのために必要な施設なんだって」 

「?? ちょっと意味不明だぞ?」 

「そのままの意味だよ。恋人同士……つまり、私たちみたいな環境の人たちが愛し合うための場所、拠点を提供してくれてるの」 

「えッ?」 

「愛し合う行為は特別なものですが、独りよがりになりがちです。自分と自分の大切な方のために、様々な愛を学びましょう」 

いきなり畏まった口調で、物まねのようなことを言い出した。声色まで変えてだれの物まねなんだろう。 

「母さん……理事長の言葉だよ」 

「え」 
 
「兄妹での恋愛事情と姉弟の恋愛事情は微妙に違ってくるし、母子だともっと違ってくるから、今後のことを踏まえて情報交換するんだって」 

「本音は?」 

「シチュエーションに変化が欲しいんだって」 

「本能まるだしだなッ」 

「あとは、惚気たいんじゃないかな」 

「のろけ?」 

「この学園にいる人、今までこっそり付き合ってた人ばっかりだろうから、こんなことがあって良かったって、堂々とそういう話をしたり聞いたりしたがってる人がたくさんいるんだよ」 

「つまり飽きないようにするための場所の確保と、井戸端会議のための場所を兼用してるのか」 

「そういうこと」 

「目的に対しての行動が壮大すぎないか……?」 

「お金をもっている人ってやることが極端だよね」 

極端という言葉で済ませていいのだろうか。 

それにしても理事長……あの人はどこからどこまでを支配しているんだろう。 

いきなり現れて母親と言われただけで混乱するのに、国内髄一の技術力を持った学園の理事長、そして俺の……パートナーだという。 

謎めいているという言葉などでは表現しきれない、母親の秘密を、俺はいつか知ることになるんだろうか。 

その先には何が待ち受けているのだろうか。 

背筋に冷たいものが走るのを感じた。 

「兄さん。また難しい顔をしてる」 

真姫の声に、俺の意識が引き戻された。 

「不安なことがあるの?」 

「いや、そういうわけじゃないよ。とんでもない場所にきたんだな、って思っただけさ」 

「本当に?」 

「本当だよ。お前に嘘をつくわけないだろ」 

「ならいいんだけど」 

「そういえばだいぶ時間がたったな。真姫は、あとどれくらい時間があるんだ?」 

「あ……はは、本当はもう一時間前に戻らなきゃいけなかったの」 

「そうだったのか」 

「そろそろ行かないと。もっと一緒にいたかったな」 

真姫は寂しそうに俺の顔を覗き込む。 

観念したように苦笑いを浮かべているものの、俺の手を握る手にはぎゅっと力が込められていた。 

俺の隣にぴたりとくっつき、手を恋人つなぎに結ぶ俺たちは、はた目からみると仲睦まじい恋人同士だろう。 

実は兄妹なんです、と言ったら、普通の人なら驚く。 

この学園なら許される、それどころか推奨される。 

妹でもあり恋人でもある真姫を、いつも笑顔でいさせたい。そう思っている。 

ただそのためには、いくつか覚悟をしなければいけないことがある……そんな予感があった。 

まだ予感にすぎないそれは、もしかしたらいずれ無視できないほどに膨らむのかもしれない。 

俺は、その時が来ても問題ないように、準備をしておかなければいけない。 

対抗と絶望、どちらかの準備を。 

「真姫」 

「なに?」 

俺は真姫の髪をかき上げた。 

さらりとした黒髪は、指の間をすり抜けるように流れる。 

俺の様子がおかしいのを感じ取ったのか、真姫は訝しむ様子だった。 

その表情ですら愛嬌が溢れていて、実妹への愛しさが胸中にしみわたっていく。 

「昨日から今日まで、本当にありがとうな。たくさんのことを知れて助かった」 

正面から見ると、本当に美人だ。 

真姫の淡いピンクの唇がわずかにほころぶ。その唇の形が、俺は本当に好きだった。 

「お前がいなかったら混乱するばっかりだったと思う。本当に感謝してる」 

「急に改まって、どうしたの?」 

流線形の体形は奇跡のようなバランスの良さで、胸元から下腹部、両太ももまでのラインは芸術品の人形でもこうはいくまいというクオリティの高さだ。 

細く長い手足に、すっきりとした顔の輪郭、細く切れ長の瞳に鼻梁の流れるような線は、いつまでも見ていられるほどだ。 

甘い唇は淡く桜色に色づいている。清楚、上品、冷静沈着、そして少し夢見がちな少女は、俺への恋慕を打ち明けてくれた。 

俺は不思議そうな表情のまま俺を見つめ返す真姫を、そっと抱き寄せた。 

「あ、に……にいさ、ん」 

少し戸惑っているようだったが、俺はそんな彼女の首の後ろに手をまわし、ぎゅ、と寄せる。 

真姫の香りがふんわり漂う。 

密やかに主張しすぎない年ごろの女子の甘い香りだ。 

それをたっぷり吸い込み、そして、顔を間近から見つめた。 

「俺は真姫のこと、ずっと大事にするからな」 

「うん……嬉しい。大事に、してね」 

胸の中で、真姫がもぞもぞと動く。 

柔らかくしどけない妹の体を抱きしめながら、緩やかに上下する胸の鼓動をしっかりと確かめた。 
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みんなの感想(1件)

オズ研究所《横須賀ストーリー紅白へ》
2022.02.21 オズ研究所《横須賀ストーリー紅白へ》

また読ませて戴きます✨🤗✨✨✨

2022.02.24 阿井上男

ありがとうございます!
ぜひまたよろしくお願いします!

解除

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