お姫様になってもいいですか?

卵丸

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僕達はお姫様

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出かける為に僕達は今、前に八雲先輩と三人でトリプルデート?をした場所である、ショピングモールに来ていた。

「ごめん、アキちゃん女って何して遊ぶかわからんよな?」

藤野先輩は頬をポリポリかいて困っていたので僕は取り敢えず女性に人気があるフルーツケーキ屋さんを調べて行く事にした。

「なに、アキちゃん家のライバル店か?」

「ライバルと言うより、少し気になっていたので行ってみたいと思っていた所なんですよ。」

「ほうほう、そうなんや。」

そこのフルーツケーキ屋さんは女性に大人気で並ぶのに40分かかった。それまでの時間はスマホで新作の化粧品を二人でリサーチしていた。

「どへぇ~やっと座れたわ!」

「でも、待った甲斐はありましたね。」

店のデザインはパステルカラーのピンクや水色やミント色の壁や床で出来てファンシーな感じになっていて、メニューで見たフルーツケーキもフルーツが分断に使われていて可愛らしかったしドリンクもグラスが敢えて小さな金魚鉢みたいな形をしていて愛らしかった。

「いや~、映えを意識してんなぁー!」

「でも、楽しみですね!」

僕はマンゴーケーキとアイスミルクティーを頼み藤野先輩は洋梨ケーキとアイスコーヒーを頼んで、来たのがメニューよりフルーツが使われていてキラキラしたケーキがやってきた。

「わぁ~可愛えなぁ~早速、いただき・・・」

「ちょっと待ってください!」

僕はスマホでケーキとグラスと自分の桃色のネイルをしている右手の写真を綺麗に撮るように何回も取り直した。

「ほほう、確かに女がやる事よなぁー「女子会なう~」みたいな!」

「・・・・先輩も今は女性ですし、写真を撮るのは如何でしょうか?」

「・・・・・・え~アキちゃんは可愛ええけど俺がやったら変な奴になるでぇー。」

先輩は困った笑顔で否定をしたが僕はずずずと先輩の前に出て自分が思ってる事を言った。

「絶対、そんな事ありません!藤野先輩は今、世界一可愛いです。僕が可愛くしたんですから自信を持ってください!!」

その言葉に先輩は唖然としていたが、いつも通り「なはは」と笑い先輩もスマホを取り出した。

「せやな、今は可愛ええ奴になってるし、写真撮ろか!」

先輩はケーキと右手を頬に当ててウインクをしてちゅっとキスのポーズをしてパシャリと撮っていた。

「なあ、これ可愛ええかな?」

先輩が自分のスマホを僕に見せると、みずみずしい洋梨のケーキとクールなお姉さんが可愛いポーズを撮っている不思議な写真になったがこれがシンプルにギャップ萌えになっていた。

「・・・今、俺は可愛ええと思って写真を撮ったんやけど、どうやろか?」

僕は心配している先輩が可笑しくてクスクス笑い笑顔で答えた。

「最高に可愛いです。」

と言った途端写真を撮られしまいアワアワしてしまった。

「ちょっと、先輩!?」

「じゃぁ~ん、アキちゃんも可愛ええで!」

スマホの画面の中には三つ編みの少女が愛らしく微笑んでいる写真が映し出されていた。

「・・・・本当に僕なの?」

「アキちゃん以外誰がおんねん。」

キャッキャと写真を撮り終わったあとにケーキを食べたが、藤野先輩は綺麗に食べてたが僕は不器用すぎてマンゴーがボロボロと皿の上に落としてしまった。


「いやぁ~、ケーキ美味しかったけど金魚鉢みたいなグラスは映え意識してるか分からんけど飲みづらかったな~。」

「でも、可愛い写真が撮れて良かったです。」

「アキちゃんが喜んでるなら別にええかぁ~。」

藤野先輩は腕時計を見ながら言って、僕の方をにかっとした笑顔で言った。

「次、観覧車乗ろか!!」

観覧車は八雲先輩と乗ったことはあったが藤野先輩と乗るのは初めてなのでドキドキした。

「ひゃ~今から空まで行くんか~楽しみやなぁ!」

先輩が子供のようにはしゃいでいて可愛らしいと思い、クスクス笑ってしまった。

「なんやの」

「いえ、少し子供っぽくて愛らしくて・・・つい笑ってしまいました。」

「・・・・笑わんでもええやんか~アキちゃんはわくわくせえへんの?」

「そりゃあ、わくわくしますけど」

「じゃあ、同じやな。」

二人で小さくなって行く人達を眺めていると先輩が真剣な表情で言ってきた。

「・・・・アキちゃん、少しええやろか?」

「なんですか?」

観覧車はあと少しで頂上に着く処で藤野先輩がこれまでに見たことない程、頬を赤く染めて叫んだ。

「わがままなのは分かってるんやけど、これからはマネキンやなくて恋人としてモデルになってくれへんか!!」

その台詞と同時にゴンドラは頂上に来ていて、夕日に照らされた真っ赤な先輩が恥ずかしくなったのか下を俯いて、震えていた。

初めての告白にどうしたら良いのか分からず、僕は本当の気持ちを伝えた。

「すみません、先輩の事を恋愛感情で考えた事がなくて・・・えっと・・・・その・・・・・友達からでいけますか?」

『うう・・・我ながら残酷な選択だよな・・・・。』

先輩の告白を棒に振ってしまって申し訳なく見ると案の定、先輩は呆然をしていた。

「・・・・・俺、振られたん?」

「・・・・・・・すみません」

僕は何回も頭をペコペコを下げると先輩はいきなりやる気満々な表情になり僕の両手を握って
叫んだ!

「友達から恋人になる可能性もあるよな!!」

まさかのポジティブ発言に驚いたが言うのが恥ずかしくなり、小さく頷くと狭いゴンドラの中でガッツポーズをしてルンルン気分になっていた。

「まだ、余裕があって良かったー!!」

「あはは・・・。」

「絶対、晃くんを好きにさせるから期待しといてな!」

「・・・・・・えっ」

「アキちゃん」じゃない呼び方をされて驚いているとゴンドラは地上に到着して降りなければ行けなくなった。

「先輩、もう一回言ってください!」

「恥ずかしいから無理ー。」

ゴンドラに降りて少し歩いてから僕も仕返しに言った。

「・・・・・・鈴矢先輩はずるい人です。」

その言葉に顔を真っ赤にした先輩がニヤリと笑った。

「それ、もう一回言ってよ!」

「恥ずかしいから無理です。」



今、僕達はとある高級ホテルに来ていた。

先輩は会話アプリで画面を見ていて、にっこり笑うと僕の手を引いた。

「アキちゃん今からお姫様になるで!」

ホテルの中を向かう先は結婚式場だった。
真っ白い空間に美しく輝く天使のステンドグラスが飾られていて、スタンドは色んな種類のウエディングドレスが飾られていた。

「・・・・先輩これは・・・」

するとドアからスーツを着た焦げ茶の髪をオールバックにした凛々しい男性が入ってきた。

「いらしゃっいませ、藤野様これより・・・堅苦しいのやめてええか?」

「ええよ、友達の敬語に笑ってまうから・・・なはははは全然似合えへんなぁ!!」

「藤野テメェ!!」

スーツの男性は凛々しい姿が無くなり言葉遣いが悪くなった。

「・・・・・・・。」

「ごめん、ごめんアキちゃんに紹介してへんかったな。大阪の友達の夏目なつめ君やで!」

「どうも、ウエディングプランナーの夏目優吾ゆうごです。今日の予定は二人をお嫁さんにしたら、ええんやな。」

「そうそう」

僕達は女装をしてるのに全く気にしてない彼が少し気になり先輩しか聞こえないように耳元でひそひそと話した。

「夏目さんは先輩と僕の趣味を知ってるんですか?」

「せや、寧ろ前に撮ったドレス姿の写真撮ってくれたん彼でもあんねん!」

「そうなんですか!?」

「そうそう、せやから心配しなくてええよ。」

僕は安心して夏目さんの説明を聞いた。

「今からウエディングドレスに着替えて写真を撮るんだけど二人とも着ることで良いんやな。」

「おう!別嬪さんになるで!」

「・・・・・よろしくお願いします。」

「じゃあ、アキちゃんもう一回メイク仕切り直すでぇ~!」

「その前にドレス着た方がいいんじゃないですか?」

「・・・・・すっかり忘れてたわ!」

「んなもん忘れるな!」

と夏目さんのツッコミが入った。

僕は少し水色が入った肩出しのプリンセスラインのウエディングドレスにして藤野先輩も肩出しだけどマーメイドラインの純白のウエディングドレスを選んだ。

僕達はもう一度同じようにメイクをして僕はウィッグをお団子頭にして、藤野先輩はそのまま黒のストレートにしていた。
煌びやかなウエディングベールを被って僕は桃色のブーケ、藤野先輩は黄色のブーケを持ってステンドグラスの方に向かってカメラを持っている夏目さんの方を振り向いた。

「写真撮るよー」

僕は緊張して、あまり可愛らしく撮れなかったが藤野先輩は優しく微笑む表情をしていて、とても美しかった。
僕は先輩の方を振り向いていると先輩も気づいてニヤリと笑い僕の顔に近づいて夏目さんの方にベールで顔を隠して近づいた・・・・。
その時、唖然としていた夏目さんがつい、パシャリと撮ってしまっていた。撮った写真を確認するとベールの奥でキスをしてる様に見えた。

「・・・・キスしたんか・・・・・?」

夏目さんの問に藤野先輩は「なはは」と笑い人差し指を当てて呟いた。

「な~いしょ!」

すると先輩は僕の手を引いてブーケを思いっきり投げた。

「アキちゃん、ブーケトスしよ!!」

いきなりの行動に僕はふふ、と笑い先輩と同じようにブーケを天高く投げた。



ウエディングドレスに着替えてから二週間が経ち、藤野先輩から連絡が入ったので、大学の庭のベンチに座っていた。

『・・・・あの時の先輩、少しずるかったな・・・。』

あの時、ベールで隠して藤野先輩が近づいて来たがキスされそうになった数cmでピタリと止まり、あっかんべーと舌を出されたのだ。

「・・・・・本当に子供みたい。」

「誰が子供やって~。」

「わぁっ!?」

僕の独り言はベンチの後ろにいた藤野先輩にバレてしまった。

「にしし、ドッキリ大成功やな。アキちゃんのお姫様の写真見るか?」

「ぜひ、見たいです!」

先輩もベンチに座り、出来たカードを捲った。 そこには可愛らしく微笑んでいるウエディング姿の二人がいて男性だと思えない仕上がりになっていた。

「流石、プロの方ですね。」

「せやろ、でも俺もお姫様になれて良かったわ。」

藤野先輩はしみじみと写真を見ていて僕は少し、どきっとしてしまった。

「もちろん、アキちゃんの分もあるで!」

先輩に同じカードを貰ってお礼を言うと先輩はニヤニヤ笑ってセクハラ発言を言った。

「感謝の気持ちも嬉しいけど、出来ればチューでお礼してよ!」

「・・・・仕方ないですね。」

僕の行動が読めなかった先輩は少し戸惑って「アキちゃん?」と呟いたが完全顔に近づいてキスをするフリをして、あっかんべーと舌を出した。

「・・・・・・・ふぇ?」

「ふふふ、仕返しですよ、鈴矢先輩 カードありがとうございます。」

僕は立ち上がって、帰ろうとすると、顔を真っ赤かにした藤野先輩は困った表情で叫んでいた。

「いつ、こんな悪い事覚えたんや~!?」

『鈴矢先輩のせいですよ。』

それから、僕がお姫様のようなウエディングドレスを着て、藤野先輩がタキシードを着て結婚式を挙げるのは後5年後の話・・・・・。

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