お姫様になってもいいですか?

卵丸

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可愛い先輩

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「・・・・・アキちゃん、ホンマに言ってんの?」

珍しく藤野が動揺して聞いてきたので、僕は頷いて応えた。

「はい!藤野先輩が僕と同じで可愛い服を着たいなら僕は先輩を可愛くして、その・・・・遊びに行きたいです!」

僕の言葉にキョトンとしていたが、藤野先輩はぷッと吹いて、遂になはははと大爆笑してきたので少しムキになってしまった。

「何がおかしいんですか!?」

「いやぁ~、アキちゃんはええ子やなぁと思って・・・じゃあ、アキちゃんに可愛くしてもらいましょうかねぇ?」

藤野先輩は挑発的な表情で僕を見つめてきたので僕も自信満々な顔で見つめてみた。

「・・・・・はい!必ず可愛くさせますよ!」

「おう!宜しくな!・・・・その前に真里亜さんに謝らなあかんなぁ・・・。」

「・・・・・そうですね。」

僕達は映画サークルに向かい、藤野先輩が真里亜姉さんに謝った。

「いきなり、怒鳴ってしまってすんません!」

藤野先輩はぺこりとお辞儀をして謝ると真里亜姉さんは先輩の肩を優しく置いて真剣な表情で藤野先輩に言った。

「別に怒ってないし、柚木ちゃんから聞いたんだけど晃君を女装させてくれてありがとう!仕事の時の御守りにするわね!」

真里亜姉さんはスマホを見せるとそこには僕の女装をしている写真が映し出されていた。そしてキラキラした表情で藤野先輩にグッジョブと親指を立てていた。

「・・・・・・なはは」

藤野先輩も苦笑をしてグッジョブをした。映画サークル部の部屋が少し変な空気になってしまった。


僕の藤野先輩を女性にする計画から一週間後、僕の家に藤野先輩がやって来た。

「アキちゃん、遊びに来たでぇ~!!」

藤野先輩がノリノリに入って来たので、僕も出来るだけ、にこやかに話してみた。

「ようこそ・・・です。どうぞ、僕の部屋に上がって下さい!」

「失礼します!・・・二人のお姉さま方は?」

「今日はミュージックフェスタに行ってて、二人とも居てないんですよ。」

「そっか、そしたら、今日はアキちゃんと二人きりやねんなぁ~!」

そう言うと、藤野先輩は僕をぎゅうっと苦しくなるぐらい抱きしめてきた。

「ちょっ・・・先輩!?」

抱きしめたかと思うと、藤野先輩は顔を赤く染めて耳元で囁いた。

「俺の願いを叶えてくれてありがとう。」

珍しく照れてる先輩が見れて嬉しくなり腕をそっと背中に周して抱きしめ返した。その途端、肩がピクンと動いて、つい、笑ってしまうとジト目で睨まれたので、頭を撫でて機嫌直しをした。

「お礼はまだ早いですよ、藤野先輩。」

「・・・せやな・・・・アキちゃんも可愛くするな。」

「えっ僕もですか?」

「うん、二人でなりたかったもんになろう・・・。」



そして僕の部屋で藤野先輩が黒いスカンツを紙袋から取り出し、ズボンを戸惑いも無く、僕の目の前で脱いだ。

「なんやのーアキちゃんジロジロ見て~俺のパンツ姿が気になったんか~?」

と揶揄ってきたので、そこは冷静に返した。

「別にそんな事ありませんよ」

「ドキドキしてもいいんやで~。」

藤野先輩はニヤニヤしながら、スカンツに履き替えると、頭にネットを被り、僕に微笑んで頼んだ。

「じゃあ、よろしくお願いします。」

僕は頷いて、メイクポーチを取り出し、藤野先輩の顔にメイクを行った。

『先輩は多分オレンジ色のアイシャドウが似合うと思うし、チークが無くても、綺麗だし、口紅はシンプルに赤が似合うかも・・・。』

僕は震える手に気づかないフリをして、先輩の顔を丁寧にメイクした。見た目は少し、藤野先輩の目つきの鋭さを残しつつ、アイシャドウのオレンジ色で柔らかくして、つけまつ毛も少し、付いてる程度にして、唇は韓紅色からくれないいろにして、強い女性にしてみせた。

「・・・一応、完成しました。」

先輩に手鏡を渡すと、彼は驚いた表情をして下唇を噛んで、目元が潤んでいた。

「あっあの・・・良くなかっですか!?」

僕はやらかしたと思い、藤野先輩に恐る恐る聞くと、指で目元を拭いて僕の方を見て、可愛らしい笑顔でお礼を言った。

「ホンマにありがとう。」

「・・・・お役に立てて、良かったです。」

「じゃあ、次はアキちゃんを可愛くさせる番やな!」

僕は頭にネットを被って、先輩の方を向くと、綺麗な顔が映し出されて、ドギマギしてしまった。

「アキちゃん、顔を真っ赤やで~。」

「・・・・・そりゃあ、先輩の綺麗な顔を見ると、照れてしまいますよ」

「なはは、ホンマに可愛ええ子やなぁ~。」

藤野先輩は真剣な表情になり、僕の顔をメイクをした。やっぱり、先輩は早くて僕より倍の速さで終わらせた。

「どうやろ?別嬪さんにしたで?」

先輩から、手鏡を貰うと長い付けまつげに桃色のアイシャドウに同じ色のチークを軽く塗っていたが、口紅は塗ってくれなかった。

「先輩、口紅は?」

「もう!野暮な事言わせんといてよ。俺からのプレゼントしたやつ塗りたいから、持ってきて?」

僕はメイクポーチからローズピンクの口紅を渡すと、ハミングしながら僕の唇に口紅を塗った。
塗った後、突然先輩が固まったので、心配になり伺った。

「藤野せんぱ・・・」

ちゅっと音をたてる音が聞こえたのと同時に僕の唇に温かいものが触れた。
先輩が僕の唇にキスをしたのだ。

「完成や!」

「・・・・えっ・・・・・・うええぇ!?!?」

「そんな、驚かんでもええやろ!ホンマに可愛い子やでぇ」

「なはは!」と笑いながら先輩は白いシンプルなカットソーを着て黒色の長いウィッグを被り、金色の輪っかのイヤリングを付けて、僕の目の前で右手でピースサインをした。

「美人なお姉さんの出来上がりやで!」

完璧すぎる女装に見惚れて、「はっ」となり僕も慌ててガーリーなピンク色の花柄ワンピースを着て、栗色のウィッグを被り下をツインテールにしてから緩く三つ編みした。

「・・・・・少し、子供過ぎますかね?」

すると藤野先輩は優しく微笑んで鞄から、黄色の花のピンを取り出して僕の右の髪に丁寧に飾ってくれた。

「うん、よし更に可愛なったな!」

「・・・・・ありがとうございます。」

「・・・・・アキちゃん、少し電話してきてええか?」

「別に構いませんけど?」

藤野先輩は僕の部屋から出ていき、話し声が聞こえたが聞かないように端っこで待っといた。

ガチャリと開けると先輩が愛らしい笑顔で提案してきた。

「今から、デート行こか!!」

「えっデート!?」
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