万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜

黒城白爵

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第二章

第九十三話 光狼人化

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 ◆◇◆◇◆◇


「──【光狼人化ルー・ガルー】」


 S+ランクスキル【万能通ず陽光王ルー】が内包せしスキルの1つ【光狼人化ルー・ガルー】が発動する。
 黒かった毛髪が白銀色に変わり、頭頂部には狼耳が、腰部からは狼の尾がそれぞれ具現化する。
 着用している白銀色の軽装金属鎧で目視はできないが、防具の下の肉体の大半が同色の毛皮に覆われていくのが感じられる。
 肉体の変容に合わせて、全身が白銀色の光属性のオーラに包まれ、身体能力が大幅に強化された。

 ここまでは【万能通ず陽光王ルー】の元となった【勇猛戦煌の英雄クーフーリン】の【煌獣人化ルプスルキス】と比べると、身体強化率が少し上がっている以外は殆ど変わらない。
 だが、【光狼人化ルー・ガルー】と【煌獣人化ルプスルキス】が決定的に異なる点が1つあった。
 光の狼人と化した俺の周りには4つの球体が浮かんでおり、この具現体と名称は〈光王珠オーブ〉。
 ある意味、【万能通ず陽光王ルー】の根幹を成す物体になる。


「防げ」


 飛来した光線と俺の間に割り込んできた光王珠オーブが、その球体の形状を円状の盾へと変化させる。
 瞬く間に円盾ラウンドシールドに変化した光王珠オーブが光線を受け止め、俺への直撃を防いだ。


「翼からの光線なら問題なく防げるか」


 徘徊主ワンダリングボスの大翼から放たれてくる光線は1つではなく、次々と絶え間無く飛来してくる。
 一撃だけならまだしも、俺1人を狙うには過剰な量の攻撃の全てを受け止められるとは思っていないため、その場から飛び退き、無数の光線を躱わすために疾走した。
 空中歩行を可能にする【天脚】や立体的な動きを補正する【空間機動】を用いて、浮島の上だけでなく空中すらも足場にして縦横無尽に駆け回る。
 【光狼人化ルー・ガルー】以外にも、【光の護り】で防御力と耐性を強化し、【身体強化】で高まった身体能力を更に向上させる。
 加えて、光属性能力全般を強化するために発動した【天使の威光】によって存在感も強化され、副次的にボスモンスターの俺に対する敵意ヘイトも増大した。

 【天使の威光】には盾役タンクであるマリヤが持っている【挑発】スキルほど強力な敵意ヘイト稼ぎ効果はない。
 だが、ボスモンスターの注意を俺に引き付けておく必要がある現状では何もしないよりかはマシだろう。


「そういえば、この徘徊主ワンダリングボスの名前って何だったっけな?」


 高速で動き回ることでボスモンスターの攻撃を回避し、その合間に異能【万物変換コンバート】の能力で有する魔力属性を〈闇〉へと変えた〈混幻銀銃レフーラ〉から闇の魔弾を放ちながら、回帰前の記憶を振り返る。
 目の前のボスモンスターに関する情報の多くは人伝に聞いていたが、ボスモンスターの名前自体は探索者協会の公式サイトで公開されるまでは知らなかった。
 確か、〈浮動晶騎の大天使フロータルナイト・アークエンジェル〉だったかな?
 他に同族がいないらしく、名前持ちネームドではない。
 大天使アークエンジェル種自体は他にもいるので、区別するためにフロータルナイトと呼ぶべきだろう。

 【思考乖離】で思考時間を引き延ばして、徘徊主ワンダリングボスであるフロータルナイトの情報の再確認を済ませると、接敵してから1度も引いていなかった〈混幻黒銃ドライド〉の引き金を引いた。
 銀銃レフーラと同様に、天使系モンスターに有効な闇属性へと変化させた魔弾が極大の閃光となって放たれる。
 ドライドの魔弾の威力はレフーラの比ではなく、直撃したフロータルナイトをよろめかせ、ここまで放ち続けていた光線攻撃を中断させるほどだった。


「チッ。ドライドのチャージショットでもこの程度か」


 黒銃ドライドの能力【竜咆魔弾】には、竜属性の魔弾を生成する以外にも、チャージ時間に応じて魔弾の破壊力が増大していくという効果もある。
 今の一撃はこのチャージ効果によるもので、上限までチャージしたおかげで大ダメージこそ与えられたようだが、致命傷を負わせるほどではなかった。
 凡ゆる遠距離攻撃を強化する【光王ノ投射撃タスラム】を併用していなかったら、よろめかせることすら出来なかったに違いない。


「厄介な耐久力と防御力だ。伊達に摩天楼ダンジョンのボスじゃないな」


 脳内でこの後の戦闘の流れについて考える。
 再びドライドを最大までチャージしつつ、レフーラで闇の魔弾を撃ち続ける。
 フロータルナイトには持続的な自己回復能力がある上に、ボスモンスターらしく膨大な体力を持つ。
 そのため、全回復するのを防ぐには常に攻撃を仕掛け続けなければならない。
 だが、魔弾や魔法による攻撃だけでなく、【光狼人化ルー・ガルー】の維持にも魔力を消費し続けるため、長時間の戦闘は不可能だ。
 回復アイテムの〈天使の雫〉も数に限りがあるので、惰性で時間稼ぎをしていては俺のほうが先に力尽きるだろう。


「スタミナも有限だし、やはり敵の勢いを削ぐためにはもっと攻撃するべきか」


 俺には【光狼人化ルー・ガルー】をはじめとしたスキルによる身体強化と、リリアからの支援魔法効果、そして高速移動時に攻撃誘導効果を持つ残像を発生させる〈祝福の銀騎靴〉の【銀影ノ足】がある。
 これだけ強化されていれば、攻撃主体に転じても早々被弾することはないはずだ。
 何よりも、時間稼ぎのために防御に専念するよりも、討伐するために攻撃を仕掛ける方が、〈捕喰者〉のクラスを持つ俺に相応しいだろう。


「切り札もあるし、ボスの体力次第では俺だけでも倒せるかもしれないな」


 懐から取り出した〈天使の雫〉を使用して1割を切ろうとしていた魔力を全回復させると、【光王ノ武戯ブリューナク】を発動させた。



 
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